新築とリフォーム 設計者が知りたいこと
今年の6月に国土交通省より既存住宅インスペクション・ガイドラインが策定、公表されました。
どういう内容かというと、中古住宅の売買の時に物件の状態を第3者が調査し、消費者が
物件を購入するときの判断に利用することを目的として、調査を行うときの調査項目や調査方法などのガイドラインが書かれています。
この場合のインスペクションとは「現況劣化検査」、「現況不具合検査」「現況省エネ診断」「耐震診断」などの業務を含む言葉として使われています。
上記の検査を行う人をインスペクターと表現されていますが、現在、NPO団体認証のインスペクター資格と一般社団法人 住宅瑕疵担保保険協会認定の資格があり、今後、どちらかの資格を持ってインスペクター業務をする事務所が増えてきそうです。札幌でも中古住宅の売買において、売り主側が詳細なインスペクション報告書をつくって買主側に提示しているケースも既にあるようです。
私の事務所も業務としてはそういった調査、検査、診断業務を従来より行ってきていますが、新たにガイドラインに沿った業務に整理し、インスペクション資格を含めて準備をしているところです。
ガイドラインでは、インスペクターの中立性が強調されています。
検査の依頼者が宅地建物取引業、建設業、リフォーム業であった場合は、そのことと更に検査対象住宅の業務を受託している場合はそのことを書面で説明しなければならないことになっています。また、自らが売主となる住宅については、インスペクション業務を受託しないこととなっています。
検査業務費用は、それぞれの会社で定めていくことになりますが、首都圏の調査事務所では戸建住宅の検査で5万円~6万円程度のようです。当事務所でも依頼があった場合に都度見積もりをして、行ってきた業務ですが、新しいガイドラインに沿った業務内容の整理がつき次第、各業務の料金設定をおこない明示する予定です。
瑕疵保険とインスペクション業務との関係について
中古住宅物件を購入する方が「既存住宅売買(個人間売買)瑕疵保険」に加入する際、これまでは保証者となる検査機関と、住宅瑕疵担保責任保険法人の2回の現場検査が必要でしたが、既存住宅現況検査技術者に登録された検査技術者の検査を受けることにより、住宅瑕疵担保責任保険法人の検査を書面審査に省略できるようにした保険検査機関もあり保険費用が軽減されるメリットもあるようです。
今回のガイドラインの対象ではありませんが、中古住宅ではなく新築マンションでも購入時の内覧会立会い業務という検査業務もあります。内覧会に同行して、買主側の立場で床の不陸や、ドア、窓の開閉、各種備品の固定状況などを調査し、買主に報告する業務です。以前より調査をメインで行う設計事務所等で行われていた業務ではありますが、今後、利用者が多くなっていく気配を感じています。
当事務所でも依頼があった場合、都度、見積もりをして行ったきましたが、今後は、調査を行う側として、業務内容の整理・明示と料金の明確化を図る予定です。
中島建築設計事務所
http://nakajima-sekkei.com