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働き方改革のパラダイムシフトが始まりました。

2017年4月6日

テーマ:経営

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 働き方改革サービス残業 請求

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『「働き方改革」のパラダイムシフトが始まりました。』(その2)
…働き方改革の流れに時流適合してください。
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…前回のつづきです。

■「働き方改革」は、経営にとって必ずしもマイナスではない、
この仮説を持って考えてみたいと思います。

「…日本の2015年度の時間当たり労働生産性は、OECD35カ
 国中20位で42.1ドルです。米国68.3ドル、ドイツ65.5ドル、
 イタリア51.9ドル…」〔公益財団法人日本生産性本部労働生
産性の国際比較2016年度版から引用〕

日本人が、国を挙げて「働き方改革」に取り組まねばならない
ほど、日本人は長時間働いています。一方、上記の国際比較か
らもわかるように、時間当たり生産性は極端に低い状況です。
では、なぜ時間当たり生産性がこれほど低いのでしょうか?

1.労働が間延びしているから、店舗ビジネスでは営業時間が
  長すぎるから。
2.価格が安すぎるから、総じて皆が安売りを仕掛けているか
  ら。
上記の二つの仮説には一定の信憑性がありそうです。
(※諸説ありますが。)

この仮説が正しければ、
1.間延びした労働時間を強制的に縮めてしまう、店舗ビジネ
スでは営業時間を短縮する。
間延びした労働時間を圧縮する、店舗ビジネスでは低収益時間
帯の営業を止めることになるため、労働時間を少なくしても収
益力は落ちない。労務費を正確に計上しておれば、収益力は逆
に向上する。
2.値上げする。
適度な値上げでは、減収効果よりも増収効果の方が上回る。
上記の新たな仮説もある程度納得できるはずです。

働き方改革は、経営にとって実はプラスではないか?と考える
論拠はここにあります。

■サービス残業、未払い残業代…ブラック企業に対する制裁が
厳格化されそうです。

「政府の規制改革推進会議(議長・大田弘子政策研究大学院大
教授)は、長時間労働などの監視を強めるため、企業に立ち入
り検査する労働基準監督署の業務の一部の民間委託を検討する。
委託先は社会保険労務士を想定、主要国に比べて見劣りする監
視体制を強化…」
※大企業だけでなく、広く法令順守を徹底するための体制整備
の姿勢が伺えます。駐車違反の取り締まりを民間の「駐車監視
員」に委託して、駐車禁止が一掃された事例などから、実現の
可能性も少なからずありそうです。

これは大きな変化をもたらしそうです。
「残業時間の上限規制」や「勤務間インターバル規制」などの
法整備を再度行う一方で、その監視体制を充実させようとして
います。中小企業に対するお目こぼしも激減しそうな予感がし
ます。

■時流は「働き方改革」です。時流に逆らわず、適合する道を
選択しましょう。

大企業と中小企業では背景が異なりますが、その方向性は参考
になります。大企業は、「働き方改革」に舵を切りはじめまし
た。パラダイムシフトが始まりました。
以下、ほんの一部をご紹介いたします。

○「ヤマト運輸は値上げ、サービス内容の見直しの検討を始め
 ました。」
○「ドコモは、営業日を年中無休から月1日程度の休業日を導
 入し、夜8時の閉店時間を1時間繰り上げる店舗を増やす方
 針で、4月から順次導入する。」
○「博多阪急(福岡市)は、店舗の営業時間の見直しに乗り出
 す。低層階を中心に、午後9時までだった閉店時間を1時間
 前倒しする。」
○「すかいらーくは、深夜2時以降朝5時までの深夜時間帯に
 営業を行っている、987店のうち約8割にあたる店舗を対
 象に、原則深夜2時閉店、朝7時開店の営業時間短縮を実施
 することを決定したと発表しました。」
○「低価格路線と24時間営業店舗の拡大で業績を伸ばしたマ
 クドナルドも、営業時間短縮にかじを切った。」

繰り返しになりますが、「働き方改革」は時流です。パラダイ
ムの転換は誰にも止められそうにありません。また、「働き方
改革」は経営にとって必ずしもマイナスではない、この点も踏
まえて、前向きに適合して行きましょう。
大きな時流、パラダイムの転換に逆行しても良いことは何一つ
ありません。

◆以下のメッセージは参考です。
「日本の企業は顧客の声を聞きすぎる。顧客の過度な要望への
対応は、企業を疲弊させ、低生産性の元凶になっている。顧客
を神さまと勘違いして、過剰な対応を行うということは、一方
で、自社の経営と社員を疲弊させることになる。顧客に提供す
るサービスの内容と、負担いただく価格のバランスが、国全体
として崩れてしまっていることが、日本の生産性を著しく低く
してしまった。〔お人好し症候群〕が起点となり、〔分散症候
群〕と〔安売り症候群〕が常態化している。…」
この仮説をご確認ください。

この記事を書いたプロ

石田雄二

会社設立と銀行融資のプロ

石田雄二(石田雄二税理士事務所)

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