『年商対比で、今より10%多くの運転資金を持ち続けることをご提案します。』
■粗利益率の低いビジネス、高いビジネスは…
○最も粗利益率の低いビジネスは金融業です。
※金利を粗利益率と並列で表現することは少々乱暴ですが、こ
こではあえてそうさせていただきます。
数%、住宅ローンには1%を割り込む金利の商品があります。
大きな資金を極めて低コストで調達できて、長期間寝かせるこ
とができる事業背景があって、はじめて金融業は成立します。
○次に粗利益率の低い業態は商社です。
その与信力や保有する商圏を背景に、大きな取引の間に入って、
10%以下のマージンを収入源にします。安定した資本力・資
金力があって、はじめて商社ビジネスができます。
※商社のビジネスモデルは大きく変化しています。現時点では、
事業への直接投資を行って、より多くのリスクとリターンをと
る形態が主流です。
○次に粗利益率が低いのは流通業でしょうか。
商品を作るメーカーがあって、そのメーカーから商品を仕入れ
て売ります。製造に関する利益はメーカーがシェアします。販
売に関する利益が流通業態の利益になります。粗利益率は、
30%~50%弱でしょうか。
(…中略)
○最も粗利益率の高いビジネスは、コンテンツやノウハウを提
供するビジネスです。
仕入れはありません。自分たちの知恵で価値を創造して、それ
を販売します。
■粗利益率は外部との関わり度合いで決まります。
粗利益率20%、これはエンドユーザーに届くまでの役務・価
値の内の、80%は自社以外が担っている・生み出しているこ
とを意味します。
同様に、粗利益率50%はその関わり度合いが50%、粗利益
率100%はそれが100%であることを意味します。
■粗利益率100%が必ずしも優ではありません。
粗利益率100%とは、ユーザーに商品やサービスを届けるま
でに、他人の力を借りないことを意味します。良く言えば自前
主義、悪く言えば協業ができない、故に、一般論として粗利益
率100%のビジネスは大きくなりません。
■低粗利益率のビジネスは、小資本企業には不向きです。
低粗利益率のビジネスは、大資本家向けです。他人の知恵と、
自身の資本力・資金力をうまく活用して利益を上げます。金融
業や商社がこれに該当します。
一方、小さな資本しか持ち合わせていない中小・零細企業や独
立開業者は、「金は無いけど知恵を使う」ビジネスを行ってい
かねばなりません。その多くを他人の力に頼る低粗利益率ビジ
ネスで成功することはできません。極めて難解です。
■小資本企業にとっての適正な粗利益率とは…
○感覚論で恐縮ですが…40%以上を目指してもらいたいと思
っています。
◆(相談者様)
ネット通販で商品を仕入れて売ります。自己資金300万円と
借入れ600万円で事業を始めます。想定する粗利益率は20
%ぐらいです。これ以上の粗利益率をとると、売れないように
思います。
◇(当方)
事業資金総額900万円(内自己資金300万円)、粗利益
率20%で資金繰り計画・利益計画を作るとこうなります。
◆(相談者様)
そんなに厳しくなりますか。
◇(当方)
そうです。粗利益率を20%以上設定できないと考える前に、
粗利益率40%を設定しても売れる商品開発(商品発掘)に力
を入れませんか?
○仕入れの支払いサイトや資金の回収サイトにもよりますが、
総じて低粗利益率のビジネスは資金の動きが忙しくなります。
また、20の粗利益を得るために、100の回収リスクを背負
うことにもなります。経営が複雑で難解になります。
小資本企業が始める低粗利益率ビジネスは、成功の確率を最初
から大きく引き下げてしまっていることをご認識ください。
この機会にご一考ください。