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『金融機関対応・資金調達Q&A』(その6)

2016年3月30日

テーマ:経営

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 資金調達 方法

Q11:
 「新しい投資計画書を示しながら新規の融資を打診したが、
  計画書の内容を確認するまでもなく、『融資は難しいです。
 (銀行担当者)』」と言われた。
Q12:
 「リスケジュールの交渉中だが、直近に借入れた銀行分だけ
  は、返済額も少ないので返済を続けようと考えていたが、
  他の金融機関が強硬に反対してきた。ダメなのか?」

税務に付加して、金融機関対応と財務に対する強みを有するこ
とを宣言する当事務所には、様々な相談が寄せられます。3回
前に続いて、一部をご紹介させていただきます。

Q11:
「新しい投資計画書を示しながら新規の融資を打診したが、
 計画書の内容を確認するまでもなく、『融資は難しいです。
 (銀行担当者)』」と言われた。

A11:
精魂込めて作り上げた投資計画書を確認してもらえない段階で、
融資を断られたことに納得がいかない様子の相談者様でしたが
…金融機関は、新規の融資を検討する時、まず、直近の決算書
(及び試算表)を確認します。この決算書と足元の推移が健全
であると判断した時に、新規融資の検討を開始します。健全で
なければ、新規融資の検討自体を行いません。

○直近の決算書(及び試算表)の確認方法は…
1.直近の決算書から簡易キャッシュフロー(税引き後利益+
  減価償却費)を確認します。この簡易キャッシュフローの
  金額が、現時点の借入総額の10分の1以上であることが最
  低条件です。
2.債務超過でないことが必要です。
※1又は2が突出して優良な時、または、提供できる担保があ
る場合など、上記の限りではありません。上記はあくまでも簡
易的な診断です。実際には、突っ込んだ財務分析を行います。

○1と2を満たす時、現時点においては健全である…と判断さ
れて、新規融資の検討、投資計画書の確認を始めます。直近の
決算書の確認で融資できないとなれば、当然投資計画書の確認
は行いません。

◎当事務所にて、診断を行った結果、新規融資を受けられる可
能性は極めて低いことがわかりました。相談者様に対しては、
融資を受けられない理由、どうなれば融資を受けられるのかを
ご説明して納得いただきました。

Q12:
「リスケジュールの交渉中だが、直近に借入れた銀行分だけは、
 返済額も少ないので返済を続けようと考えていたが、他の金
 融機関が強硬に反対してきた。ダメなのか?」

A12:
数カ月前に融資を受けたばかりの金融機関にリスケジュールの
相談をしたら、厳しい口調で叱責されたそうです。であるなら
ば、その金融機関に対しては返済を続けて、他の金融機関には
リスケジュールをお願いしようと他の金融機関に相談したら、
他の金融機関に断られた、との相談です。

○融資の借入れを行ってすぐに返済猶予を求めることは、そも
そも返済できないことがわかっていたのに借入れを行ったので
はないか、との疑念を生みます。返済できないことがわかって
いて借入れを起こす行為は、信義に反します。程度加減によっ
ては法律に違反する犯罪行為になります。新規借り入れ直後の
返済猶予は認められないケースがあります。

○金融機関に対して返済猶予などの金融支援を依頼する時は、
衡平でなければならないとするルール「衡平性の原則※」(=
すべての金融機関に対して衡平に金融支援を受ける。)があり
ます。ある金融機関にのみ返済を続ける、このような例外は原
則成立しません。この場合では、返済猶予依頼先の金融機関の
同意が得られません。
このままでは、すべての借入れに対してリスケジュールができ
ません。
※一部例外があります。

◎当事務所にて、状況の確認を行った結果、当該事象は、直近
借入後の予見不可能な緊急事態による急激な業績の悪化が原因
であり、借入れ時においては予見が難しかった旨を、対象金融
機関に丁寧に説明しました。一部担保(実質価値は小さい)を
追加で提供して了解を得ました。(これも厳密に言うと「衡平
性の原則」から外れますが。)
借入先の全金融機関からリスケジュールの承諾を得ることがで
きました。
当事務所が、モニタリングを継続し、会社様のサポートと金融
機関への窓口業務を担っています。

この記事を書いたプロ

石田雄二

会社設立と銀行融資のプロ

石田雄二(石田雄二税理士事務所)

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