小学生の「伝える力」はどう育てる?「結論・理由・例」の3つの箱と、世界の学び方

子どもがお小遣いを稼ぐとは、だれかの「こまった」や「うれしい」に役立つ物やサービスをつくり、そのお礼としてお金を受け取ることです。
お手伝いをしてお金をもらうことと、少しにています。でも、大きなちがいがあります。それは、お金を出してくれるのが家族ではなく、外のお客さんだということです。
「お手伝いにお金を払っていいのかな」と迷っている親御さんは多いと思います。このコラムでは、お手伝いとは別に、子どもが自分の力でお小遣いを稼ぐ方法を紹介します。親が教えるのは、小さなお店の「仕組み」です。
お手伝いのお金と、「稼ぐ」お金はちがいます
おすすめしたいのは、家の仕事とお金を分けて考えることです。
お皿洗いや洗たく物たたみは、家族みんなで暮らすための仕事です。ここにお金をつけると、「お金がもらえないならやらない」という気持ちが育つこともあります。
一方で、外のだれかに喜ばれる物をつくり、それが売れたときのお金は、子どもが自分で生み出したお金です。「人の役に立つと、お金になる」。この順番を体で覚えることが、稼ぐ力の入り口になります。
親が教える、お小遣いを稼ぐ5つのステップ
会社の社長がしていることを、子どもサイズにすると、次の5つになります。親は、横で一緒に考える「相談役」です。
1. 売る物を決める:「得意なこと」と「だれかのこまった」を重ねる
まず、子どもの得意なことを書き出します。絵をかく、工作、お菓子づくり、パソコン。
次に、まわりの人のこまったことを考えます。「本にはさむしおりがほしい」「プレゼントに小さなカードをつけたい」。この2つが重なったところが、売る物の候補です。
2. 値段を決める:材料のお金を引いて、いくら残るか
たとえば、手づくりのしおりを1枚100円で売るとします。紙とリボンの材料が30円なら、1枚売れるごとに70円が残ります。この残るお金が「もうけ」です。
10枚売れたら、いくら残るか。材料を買いすぎたら、どうなるか。かんたんな計算を、ノートに書いて一緒に考えます。これが、会社のお金の考え方の第一歩です。
3. だれに売るかを決める:作戦を立てる
「みんなに売る」は、じつはいちばんむずかしい作戦です。
本が好きなおばあちゃん、絵本を読む小さな子のいる家、学校の先生。だれに一番喜ばれそうかを1つ決めると、色や形、売る場所が自然に決まります。会社でいう「事業の作戦」は、このように、喜ぶ人を先に決めることから始まります。
4. 知らせる:SNSは親のアカウントで
よい物でも、知られなければ売れません。チラシ、家族や親せきへの声かけ、地域のフリーマーケットへの出店。そして、親のSNSで写真を紹介するのも1つの方法です。
投稿の文は、子どもと一緒に考えます。「だれに向けて、何がうれしいのかを、1行で書く」。この練習は、大人の仕事のことばづくりと同じです。
5. ふり返る:売れた理由、売れなかった理由
売り終わったら、何が何個売れたか、いくら残ったかを書き出します。売れた物と売れなかった物をくらべて、「次はどうする?」を話し合います。
売れなかった日こそ、大切な学びの日です。
世界の子どもたちは、こうして稼ぐ力を学んでいます
アメリカ:子どもだけのお店がならぶ「子ども起業フェア」
アメリカのテキサス州オースティンで、2007年に始まった「アクトン子どもビジネスフェア」という行事があります。子どもが自分で考えた物をつくり、自分のお店で売る1日だけの市場です。
最初は7人の子どもからのスタートでした。今では、オースティンの会場だけで100人をこえる子どもがお店を出し、1,500人ほどがお客さんとして集まるといいます。
アメリカ:4歳で始めたレモネードが、1,500店にならんだ話
このフェアに出るために、家族にすすめられて商品を考えた女の子がいます。ミカイラ・アルマーさんです。4歳のとき、ひいおばあちゃんのレシピをもとに、はちみつ入りのレモネードをつくりました。
その後、レモネードは大きなスーパーにも置かれるようになり、アメリカの1,500をこえるお店でならんでいると報じられています。売り上げの一部は、ミツバチを守る活動に使っているそうです。
世界100か国以上:学生が会社をつくる「ジュニア・アチーブメント」
1919年にアメリカで生まれた「ジュニア・アチーブメント」は、子どもや学生に、お金や仕事、会社のしくみを教える団体です。今では100をこえる国で活動し、1年に約1,000万人の子どもや学生にとどいているとされています。
中高生がチームで小さな会社をつくり、商品を売るまでを体験するプログラムが、最初の取り組みでした。
SNSやネットを使うときに、親が守りたいこと
SNSは、子どもの商品を知ってもらう強い道具です。そのぶん、親がしっかり守る役目があります。
1. アカウントは親のもの:多くのSNSは、13歳以上でないと自分のアカウントを作れない決まりです。投稿も、お客さんとのやりとりも、親が行います
2. 顔・名前・学校・住所は出さない:写真は商品と手元だけにします
3. 売り買いの約束は親が:子どもがする売り買いの約束には、親の同意がいるという法律のルールがあります。ネットで売るときは、親が窓口になります
4. 金額が大きくなったら確かめる:売り上げが大きくなってきたら、税金などのきまりを、税務署や専門家に確かめましょう
マーケターとして伝えたいこと
私はふだん、コピーライター・マーケターとして、お店や会社の「売り方」や「伝え方」をお手伝いしています。
大人の商売でも、つまずくところはほとんど同じです。「だれに売るか」が決まっていない。「何がうれしいのか」が1行で言えない。子どもの小さなお店でこの2つを練習しておくことは、将来どんな仕事をするときにも役立つ力になります。
親御さんが気になりやすい3つの疑問
お手伝いにお金を払うのは、よくないことですか?
よくないわけではありません。ただ、家族の仕事と、外のお客さんへの仕事は分けて考えるのがおすすめです。お手伝いは家族の一員としての仕事、稼ぐのは外の人に役立った結果、と伝えるとわかりやすくなります。
何歳から始められますか?
お店屋さんごっこができる年なら、始められます。小学校の低学年なら値段と数を、高学年ならもうけの計算や、だれに売るかの作戦まで考えられます。
売れなかったら、子どもが自信をなくしませんか?
売れなかった理由を一緒に考えれば、次の作戦が生まれます。親が「失敗」ではなく「わかったこと」とよびかえてあげると、子どもは前を向きやすくなります。
まとめ
子どもがお小遣いを稼ぐとは、だれかに役立つ物をつくり、そのお礼としてお金を受け取ることです。親が教えるのは、売る物を決める、値段を決める、だれに売るかを決める、知らせる、ふり返る、の5つのステップです。
アメリカでは、4歳の女の子のレモネードが、たくさんのお店にならぶまでに育ちました。最初の一歩は、家のテーブルの上の小さなお店からでも始められます。
「だれに、何がうれしいのか」を伝える力は、大人の仕事でも大切な力です。私のメールマガジンでは、共感を呼ぶ伝え方の集客成功事例集を、無料でお届けしています。毎朝7時には、ニュースメールもお送りしています。お子さんと「売り方」を考えるときのヒントとしても、ぜひお役立てください。
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