日本流のDXの定義とは?「伝統とデジタルの融合による価値創造」欧米のDXとは一線を画す
2024年現在、製造業におけるAI導入が最も進んでいる業務は、検査
品質管理、生産管理の3つです。
では内容について詳しく見てみましょう。
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1. 検査
AI画像検査機を用いた外観検査や、画像データ分析による異常検知など
が盛んに行われています。従来の人手による検査と比べて、精度、速度
コストの面で優位性があることが評価されています。
2. 品質管理
生産工程におけるデータ収集・分析を行い、不良品の発生を予測したり、
工程の改善を行ったりする取り組みが進んでいます。AIによる分析は、
膨大なデータを効率的に処理し、人間の目では見つけにくい潜在的な問
題を発見することができます。
不良品の発生予測と工程改善へのAI活用は、主に以下の3つのアプロー
チで進められています。
(1)データ分析による現状把握と課題発見
①生産履歴データや検査データなどを分析し、不良品の発生状況や傾
向を把握します。
②過去のデータに基づいて、不良品の発生要因を特定し、問題点を可
視化します。
③異常検知や相関分析などの手法を用いて、従来の手法では発見でき
なかった潜在的な問題を発見します。
(2)機械学習による不良品発生予測
①過去の不良品発生データと関連する工程データなどを学習データと
して用いて、機械学習モデルを構築します。
②構築したモデルを用いて、新製品や新規工程における不良品の発生
確率を予測します。
③予測結果に基づいて、予防策を立案し、不良品の発生を未然に防ぐ
ことができます。
(3)工程改善のためのシミュレーションと最適化
①生産工程をシミュレーションし、様々な改善策の効果を評価します。
②AIによる最適化アルゴリズムを用いて、生産工程や設備設定を最適
化します。
③シミュレーション結果に基づいて、実際に工程を改善し、不良品率
の低減や生産性の向上を実現します。
これらのAI活用事例に加え、近年ではAIとIoT(モノのインターネット)
を組み合わせたソリューションも開発されています。
AIとIoTを組み合わせることで、リアルタイムで生産状況を収集し、よ
り精度の高い不良品発生予測や工程改善が可能になります。
AIを活用した不良品発生予測と工程改善のメリットとしては、以下の
ようなものが挙げられます。
・不良品率の低減
・生産性の向上
・コスト削減
・品質向上
・リードタイムの短縮
一方、導入にあたっては、以下のような課題も存在します。
・データが必要
・専門知識が必要
・導入コストが高い
・システムの精度と信頼性
・倫理的な問題
これらの課題を事前に十分に検討し、適切な対策を講じることで、AI導
入を成功させることができます。
3. 生産管理
生産スケジュールの最適化や、設備の予知保全など、様々な場面でAIが
活用されています。AIによる分析は、過去のデータに基づいて最適な生
産計画を立案したり、設備の故障を事前に予測したりすることで、生産
性の向上に貢献することができます。
製造業におけるAI活用は、過去のデータに基づいて最適な生産計画を立
案したり、設備の故障を事前に予測したりするなど、様々な場面で進ん
でいます。
ここでは、AIがどのように活用されているのか、具体的な事例を交えな
がら詳しく説明します。
(1)過去のデータ分析による現状把握と課題発見
①生産履歴データや設備稼働データなどを分析し、生産量、稼働率、
リードタイムなどの現状を把握します。
②過去のデータを可視化することで、生産のムラや設備の劣化状況
などを視覚的に確認することができます。
③異常検知や相関分析などの手法を用いて、従来の手法では発見で
きなかった潜在的な問題を発見することができます。
(具体的な事例)
自動車部品メーカーA社は、AIを活用して生産ライン全体の稼働状況を
分析しました。その結果、特定の工程でボトルネックが発生している
ことが判明しました。このボトルネック解消に向けて、設備増設や作業
員の配置換えなどの対策を講じたところ、生産量を10%向上させるこ
とができました。
(2)機械学習による生産計画立案
①過去の生産データ、需要予測データ、設備能力データなどを学習デ
ータとして用いて、機械学習モデルを構築します。
②構築したモデルを用いて、将来の需要や生産能力を予測し、最適な
生産計画を立案します。
③従来の経験や勘に頼った計画立案と比べて、より精度の高い計画を
立案することができます。
(具体的な事例)
食品メーカーB社は、AIを活用して需要予測の精度を向上させました。
その結果、在庫や廃棄を大幅に削減することができ、コスト削減と環境
負荷低減に貢献しました。
(3)設備の故障予測と予知保全
①設備センサーデータや過去の故障履歴データなどを学習データとし
て用いて、機械学習モデルを構築します。
②構築したモデルを用いて、設備の異常兆候を検知し、故障を事前に
予測します。
③故障を未然に防ぐことで、生産ラインの停止や品質問題の発生を
抑制することができます。
(具体的な事例)
電機メーカーC社は、AIを活用して設備の故障予測の精度を向上させま
した。その結果、計画的なメンテナンスを実施できるようになり、設備
の予寿命を延長することができ、コスト削減に貢献しました。
AI導入のメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
・人手不足の解消
・品質向上
・コスト削減
・生産性の向上
・業務効率化
一方、導入にあたっては、以下のような課題も存在します。
・導入コストが高い
・専門知識が必要
・データが必要
・セキュリティ対策が心配
AI導入を成功させるためには、これらの課題を事前に十分に検討し、
適切な対策を講じることが重要です。
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参考情報
・製造業でのAI活用事例20選!生産性向上・工場自動化は可能?
・総務省「日本企業のAI・IoT導入状況」
・なぜAI導入は失敗する? 失敗事例から学ぶ傾向と対策
・工場におけるAI活用事例25選|不良品検知〜設計の自動化まで