中小製造業の利益の出る事業計画の立て方(その2)具体的手順を教えます。
工場のIoT導入は、工場全体の効率化、生産能力アップ、チョコ停把握など、経営視点
から多くのメリットをもたらします。しかし、導入を成功させるためには、具体的な
目標設定と段階的なデータ分析・改善が重要です。
1. 経営目標と課題の明確化
まず、経営目標と現状の課題を明確にすることから始めましょう。
・経営目標: 売上高向上、利益率向上、コスト削減など、具体的な経営目標を設定します。
・課題: 工程のボトルネック、機械の稼働率低下、チョコ停の頻発など、工場全体の課題
を特定します。
経営層は、何を改善するため、どこの工程の、どのデータを取り、どのように分析したい
のか明確な、具体的な目標を持つことが重要です。
2. データ取得項目の選定
経営目標と課題に基づき、必要なデータを収集するための項目を選定します。
2.1 生産量・稼働率
・各工程・設備ごとの生産量
・設備稼働率
・停止時間・原因
2.2 品質
・不良率
・不良内容
・検査結果
2.3 作業時間
・作業時間
・非稼働時間
・作業者の動き
2.4 エネルギー
・電力使用量
・水使用量
・圧縮空気使用量
2.5 環境
・温度
・湿度
・振動
3. データ分析・改善
収集したデータを分析し、課題解決に向けた具体的な改善策を検討します。
3.1 データ可視化
・グラフ、表、ダッシュボードなどを用いて、データをわかりやすく可視化します。
・リアルタイムデータと過去のデータを見比べ、変化を分析します。
3.2 異常検知
・過去のデータに基づいて、異常値やトレンド変化を検知します。
・チョコ停などの予兆を早期に発見し、対策を講じます。
3.3 原因分析
・異常検知の結果に基づき、原因を分析します。
・設備故障、作業者のミス、材料不良など、様々な原因を検討します。
3.4 改善策の検討
・原因分析に基づき、具体的な改善策を検討します。
・設備改修、作業方法の改善、材料選定の見直しなど、様々な改善策を検討します。
4. 導入・運用上の注意点
・セキュリティ対策: サイバー攻撃などのリスク対策を講じます。
・データの保存・管理: データを安全に保存・管理するための仕組みを構築します。
・人材育成: 従業員にデータ分析やIoTに関する知識・スキルを習得させます。
・継続的な改善: データ分析に基づいて、継続的に工場を改善していくことが重要です。
5. 成功事例
・工作機械の振動データを分析し、故障予知を行うことで、チョコ停を大幅に削減
https://www.ntt-tx.co.jp/column/feature_blog/20190219/
https://www.ntt-tx.co.jp/whatsnew/2017/171130.html
https://www.ntt-tx.co.jp/products/yellowfin/
・製造業のIoT成功事例7つ!導入するメリットや課題も解説
https://aoigk.co.jp/column/manufacturing-iot/
https://aoigk.co.jp/column/iot-application-case-studies/
6. 失敗事例
製造業において、IoT導入が失敗するケースはいくつかあります。
以下にいくつかの事例を紹介します。
6.1 コスト制限による最適化の不足
IoT導入には、システムの構築や運用保守のコストがかかります。中小企業では資金面
での制約があるため、予算を割けずに導入してしまうことがあります。その結果、IoT
化が小規模に留まり、本来の効果を得られないことがあります.
6.2 現場でのIoT定着の難しさ
現場の従業員がIoTを使いこなせない場合、技術とコストが無駄になります。従業員へ
の教育や管理体制を整え、IoTの利用方法を明確に説明することが重要です.
6.3 目的意識の不明確さ
IoT導入の目的が明確でないと、思うように活用できないことがあります。自社の課題
を明確にし、目標設定を行うことが重要です¹.
6.4 短期的な視点での効果の求め方
IoT導入は時間を要するプロセスです。短期間で効果を求めて諦めてしまうことがあり
ますが、長期的な視点を持ち、最終的な目標に向かって取り組むことが大切です.
6.5 既存システムとの連携の難しさ
既存の設備や機器との連携が難しい場合、IoT導入が上手く進まないことがあります。
工場全体でIoTを活用するシステム基盤を構築する必要があります.
・製造業のIoT導入はなぜ失敗する?活用が進まない理由
https://yokohama-iot.org/entry-709/.
・製造業のIoT化が失敗するケースと成功させるポイント
https://conexio-iot.jp/blog/48.
・工場のIoT化とは? IoT導入のメリットと具体的な活用事例
https://www.godo.co.jp/blog/linka-05.
小規模企業におけるIoT導入による仕事の効率化:始め方
小規模企業におけるIoT導入は、限られた予算と人員の中で効果的に進めることが重要
です。以下に、段階的なステップと具体的なポイントをご紹介します。
1. 課題の明確化と目標設定
・現状分析: 業務内容、作業時間、人員配置、コストなどを分析し、課題を明確にします。
・目標設定: 課題解決に向けた具体的な目標を設定します。目標は、定量的な指標を用い
て設定することが望ましいです。
2. 導入に適したIoTソリューションの選定
・課題解決と目標達成に貢献できるソリューションを選びます。
・予算と人員に合致した導入コストと運用コストを抑えられるソリューションを選びます。
・将来の事業拡大にも対応できる、拡張性の高いソリューションを選びます。
・堅牢なセキュリティ対策が施されたソリューションを選びます。
3. 導入計画の作成
・具体的なスケジュールを立て、関係者と共有します。
・必要なハードウェア、ソフトウェア、ネットワークなどを設計します。
・収集するデータの種類、方法、保存方法などを計画します。
・システム運用のための体制を構築します。
4. パイロット導入
・小規模な範囲で導入を行い、課題や問題点を洗い出します。
・導入効果を検証し、必要に応じて改善を行います。
5. 本格導入
パイロット導入で得られた知見を活かし、本格導入を行います。
全社的な導入に向けて、関係者への教育・研修を実施します。
6. 継続的な改善
導入効果を定期的に測定し、必要に応じて改善を行います。
新しい技術やソリューションを取り入れ、システムを更新していきます。
参考情報
・中小企業庁「IoT等活用事例集」
https://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/iot_robot/iot_katsuyo_jireishu.html
・経済産業省「中小ものづくり企業IoT等活用ガイドブック」
https://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/iot_robot/iot_katsuyo_jireishu.html
・IT導入支援サイト「中小企業のIT導入ガイド」
https://console.it-shien.smrj.go.jp/IT-02/
その他、以下の点にも注意が必要です。
・経営層だけでなく、現場の従業員も含めた社内全体で合意形成を図ることが重要です。
・サイバー攻撃などのリスク対策を講じることが重要です。
・従業員にデータ分析やIoTに関する知識・スキルを習得させることが重要です。
7. まとめ
IoT導入は、小規模企業にとって大きな変革をもたらす可能性があります。
上記のステップを参考に、計画的に導入を進めることで、仕事の効率化、コスト削減
売上向上など、様々なメリットを実現することができます。工場のIoT導入は、経営
目標達成のための強力なツールとなり得ます。
導入を成功させるためには、経営目標と課題の明確化、適切なデータ取得、データ分析
・改善、導入・運用上の注意点への理解が重要です。
具体的な導入方法やシステム選定については、専門業者に相談することをおすすめします。