工場の利益をアップするためのデータ分析と方向性の明確化、デジタル化の推進方法<事例紹介>

濱田金男

濱田金男

テーマ:DX化で製造業は変わる!

損益分岐点分析では、工場の利益は、出荷額(売上)から材料費や労務費などの工場
でかかった費用を引いたものです。
工場の利益を増やすには、生産性を上げ、出荷額を増やし付加価値をアップするか、
材料費・社内費を減らすしかありません。

そこで、「儲かる工場づくり」のためには、生産性を上げることに注力します。
工場の製造現場、および管理部分の「ボトルネック」を探し出し、そこにポイントを
置き、集中的に、原因究明・対策・改善を実施します。

 ★参考記事
   https://monozukuri-japan.seesaa.net/article/503472293.html


1.具体的な手段
(1)生産性を上げる
労働生産性を上げる、生産速度を上げる、稼働率を上げる、利益率の高い製品を売る
(2)見える化の推進
作業の進み具合の見える化、管理の見える化、原価の見える化を行い改善につなげる
(4)限界利益を把握する
製品ごとの限界利益率を知る、利益が出る製品を区別する、経営分析をする
(5)製品の価値を上げる
製品企画力、設計品質力、製造品質力、製品ブランド力アップにより付加価値を高める
などが考えられますが、(1)~(4)に対してデータ分析を行って、デジタル技術
の導入を図る方法を考えます。

2.工場利益向上のためのデータ分析とデジタル技術活用案
工場利益向上には、生産性向上、コスト削減、付加価値向上などが重要です。
従来の分析方法に加え、データ分析とデジタル技術を活用することで、より効果的な
施策を立案・実行することができます。以下、具体的な提案をいたします。

(1)現状把握と課題特定
・データ収集・分析
生産量、稼働率、不良率、納期遵守率、材料費、人件費、エネルギー使用量などの
データを収集・分析します。データ分析ツールや可視化ツールを活用し、現状を多角
的に把握します。

・課題特定
データ分析結果に基づき、生産性、コスト、品質、納期などの課題を特定します。
ボトルネックとなっている工程や作業を特定します。

(2)施策立案
・課題解決に向けた施策を立案
生産性向上のための設備投資、作業改善、人員配置の見直しなど、課題解決に向けた
具体的な施策を立案します。
シミュレーションツールを活用し、施策の効果を事前に検証します。

・デジタル技術の活用
IoTセンサーを活用し、設備稼働状況や製品品質をリアルタイムで監視します。
AIを活用し、異常予知や故障予知を行い、予地的な保全を実現します。
RPAを活用し、定型的な作業を自動化し、人件費を削減します。
ビッグデータ分析を活用し、顧客ニーズや市場動向を分析し、製品開発やマーケテ
ィングに活かします。

(3)施策実行と効果測定
・立案した施策を実行
関係部署と連携し、立案した施策を実行に移します。
進捗状況を定期的に確認し、必要に応じて調整を行います。

・効果測定
データ分析ツールを活用し、施策の効果を測定します。
目標達成度を確認し、必要に応じて施策を改善します。

(4)継続的な改善
・PDCAサイクルを回す
現状把握、課題特定、施策立案、施策実行、効果測定のサイクルを継続的に回し
ます。データ分析結果に基づいて、工場全体の改善を図ります。

・最新技術の導入
新しいデータ分析技術やデジタル技術を積極的に導入し、工場の競争力強化につ
なげます。

3. 中小製造業におけるデータ分析とデジタル技術活用事例
(1)株式会社K製作所
・課題: 熟練工のノウハウの属人化による品質不安定化と、生産性の低下
・取り組み: 工程データを収集・分析し、熟練工の作業手順を可視化。作業の標準化
 と新人教育に活用
・成果: 品質安定化と生産性向上を実現

(2)株式会社T
・課題: 受注から生産、出荷までのリードタイムの長期化
・取り組み: 生産管理システムを導入し、受注状況、在庫状況、生産状況をリアル
 タイムで把握
・成果: リードタイムを大幅に短縮し、顧客満足度を向上

(3)株式会社R
・課題: 顧客ニーズに合致した新製品の開発力の不足
・取り組み: 市場調査データと顧客データに基づいて、新製品の企画・開発を実施
・成果: 顧客ニーズに合致した新製品を開発し、売上を拡大

(4)株式会社ティー・エム・アイ
・課題: 設備の老朽化による故障頻度の増加と、保守コストの増加
・取り組み: 設備センサーデータを収集・分析し、故障予知を行い、予地的な保全
 を実現
・成果: 設備故障による生産停止を削減し、保守コストを削減

(5)株式会社Y
・課題: 紙による伝票処理による事務作業の非効率化
・取り組み: 業務プロセスを分析し、RPAを活用して伝票処理を自動化
・成果: 事務作業時間を大幅に削減し、人件費を削減

これらの事例は、中小製造業でもデータ分析とデジタル技術を活用することで、様々
な課題を解決し、利益向上を実現できることを示しています。

4.中小製造業におけるデータ分析とデジタル技術活用のポイント
データ分析やデジタル技術を導入する前に、自社の課題を明確にすることが重要です。
課題がなければ、投資効果が得られません。そして、自社の課題に合ったデータ分析
ツールやデジタル技術を選ぶことが重要です。

また、データ分析やデジタル技術を導入した後の運用方法を検討する必要があります。
データ分析やデジタル技術を活用するためには、人材育成が必要です。

まとめ
データ分析とデジタル技術を活用することで、工場の生産性、コスト、品質、納期を
改善し、利益を向上させることができます。上記を参考に、自社の状況に合った施策
を立案・実行し、工場の競争力強化につなげてください。

 ★参考記事
   https://monozukuri-japan.seesaa.net/article/503472293.html

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濱田金男
専門家

濱田金男(企業経営コンサルタント)

合同会社高崎ものづくり技術研究所

大手電機メーカーで設計、製造、品質管理に長く携わり、中国工場立ち上げ、韓国での生産ライン効率化など海外支援実績も多数。新しい時代を見据えた工場改革、付加価値向上と人材育成で、ものづくりの現場をサポート

濱田金男プロは上毛新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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