品質工学(タグチメソッド)のパラメータ設計を簡単に説明します。

濱田金男

濱田金男

テーマ:製造業の正しい品質管理手法

タグチメソッド、品質工学、パラメータ設計など一連の手法について、その意味を
整理して説明します。

タグチメソッド、品質工学、パラメータ設計は、いずれも製品・サービスの品質向上
に役立つ手法ですが、それぞれ異なる役割と特徴を持っています。

1.タグチメソッドとは?
タグチメソッドは、日本の統計学者であるタグチ 玄氏によって開発された、実験計画
法と品質管理を組み合わせた手法です。品質工学とも呼ばれ、以下の3つの柱で構成
されています。

●システム設計
 品質目標を達成するための製品・サービスの構造や仕組みを決定します。
●パラメータ設計
 製品・サービスの特性に影響を与える要因(パラメータ)を分析し、品質に悪影響
 を与える要因を排除または低減する設計を行います。
●許容差設計
 製造工程や使用環境におけるバラつきを考慮した設計を行い、品質目標を達成できる
 製品・サービスを実現します。

タグチメソッドの特徴は、以下のとおりです。
●少ない実験回数で高精度な分析が可能
 直交実験計画と呼ばれる手法を用いることで、少ない実験回数で必要な情報を効率的
 に収集することができます。
●ノイズの影響を考慮した設計が可能
 製品・サービスが使用される環境における様々なノイズ(ばらつき)を考慮した設計
 を行うことができます。
●品質目標を達成するための最適な設計を見つけられる
 SN比(Signal-to-Noise ratio)と呼ばれる指標を用いることで、品質目標を達成する
 ための最適なパラメータ設定を見つけることができます。
 タグチメソッドは、様々な業種で広く活用されており、特に以下のような場面で効果
 を発揮します。
 ・新製品・サービスの開発
 ・既存製品・サービスの品質改善
 ・生産工程の改善
 ・品質コストの削減

2.品質工学とは?
品質工学は、タグチメソッドを基盤とした、製品・サービスの品質向上を目指す学問
分野です。品質工学では、統計学、実験計画法、システム工学などの知識を用いて、
以下の目的を達成します。
 ・品質目標を明確化し、それを達成するための具体的な方法を策定する
 ・製品・サービスの品質特性に影響を与える要因を分析し、その影響を低減する
 ・品質コストを削減し、効率的な品質管理を実現する

品質工学は、製造業だけでなく、サービス業やソフトウェア開発など、様々な分野で
活用されています。

3.パラメータ設計とは?
パラメータ設計は、タグチメソッドにおける3つの柱の一つであり、製品・サービス
の特性に影響を与える要因(パラメータ)を分析し、品質に悪影響を与える要因を
排除または低減する設計を行う手法です。

パラメータ設計の特徴は、以下のとおりです。
●ノイズの影響を受けにくい設計が可能
 製品・サービスが使用される環境における様々なノイズ(ばらつき)の影響を受け
 にくい設計を行うことができます。
●品質目標を達成するための最適なパラメータ設定を見つけられる
 SN比と呼ばれる指標を用いることで、品質目標を達成するための最適なパラメータ
 設定を見つけることができます。
●試作・試験回数を削減できる
 パラメータ設計を行うことで、試作・試験に必要な回数を大幅に削減することがで
 きます。パラメータ設計は、新製品・サービスの開発段階で特に効果を発揮します。

4.タグチメソッド、品質工学、パラメータ設計の関係性
タグチメソッド、品質工学、パラメータ設計は、密接に関連する概念です。
タグチメソッドは、品質工学を構成する3つの柱の一つであり、パラメータ設計を含む
手法体系全体を指します。

品質工学は、タグチメソッドを基盤とした学問分野であり、パラメータ設計を含む様々
な手法を活用して、製品・サービスの品質向上を目指します。

パラメータ設計は、タグチメソッドにおける重要な手法の一つであり、製品・サービス
の特性に影響を与える要因を分析し、品質に悪影響を与える要因を排除または低減する
設計を行います。

これらの概念は、それぞれ独立して使用することもできますが、組み合わせることでよ
り効果的に品質向上を図ることができます。

5.タグチメソッド、品質工学、パラメータ設計:実践的な活用方法
前述のとおり、タグチメソッド、品質工学、パラメータ設計は、製品・サービスの品質
向上に役立つ強力なツールです。しかし、これらの手法を効果的に活用するためには、
いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。

(1)明確な品質目標を設定する
どのような製品・サービスを作りたいのか、どのような品質を実現したいのかを明確に
定義することが重要です。品質目標が曖昧であれば、適切な設計を行うことができま
せん。

(2)影響を与える要因を分析する
製品・サービスの特性に影響を与える要因(パラメータ)をすべて洗い出す必要があり
ます。ブレインストーミングやFMEA(故障モード影響分析)などの手法を用いること
で、漏れなく要因を特定することができます。

(3)実験計画を立てる
必要な情報を効率的に収集できるよう、適切な実験計画を立てる必要があります。
タグチメソッドでは、直交実験計画と呼ばれる手法が有効です。

(4)データを分析し、改善点を見つける
実験で収集したデータを分析し、品質に悪影響を与える要因を特定します。そして、
その要因を排除または低減するための対策を検討します。

(5)改善点を具体化し、実行する
対策内容を具体化し、実際に実行に移します。実行後には、効果を測定し、必要に
応じて再度改善を行うようにします。

(6) 品質管理体制を構築する
製品・サービスの品質を継続的に維持・向上させるためには、適切な品質管理体制
を構築する必要があります。

6.タグチメソッド、品質工学、パラメータ設計の活用事例
タグチメソッド、品質工学、パラメータ設計は、様々な業種で活用されています。
以下に、具体的な活用事例をご紹介します。

●自動車メーカー
 車体の騒音や振動を低減するために、パラメータ設計を用いて最適なボディ構造を
 設計
●電機メーカー
 電子機器の品質を向上するために、タグチメソッドを用いて最適な部品や製造条件
 を設計
●食品メーカー
 食品の味や食感のばらつきを低減するために、品質工学を用いて最適なレシピや製造
 工程を設計

これらの事例からも分かるように、タグチメソッド、品質工学、パラメータ設計は、幅
広い分野で品質向上に役立てることができます。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

濱田金男プロは上毛新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

ものづくり現場の品質管理、人材育成のプロ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ群馬
  3. 群馬のビジネス
  4. 群馬の人材育成・社員研修
  5. 濱田金男
  6. コラム一覧
  7. 品質工学(タグチメソッド)のパラメータ設計を簡単に説明します。

濱田金男プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼