「下請け製造業」から「受託製造サービス業」に変身する3つのポイント
日本は“老舗大国”ともいわれ、創業 200 年を超える企業の数は世界で約5,600社
その中で約3,100社が日本の老舗企業が占めていると言われています。
また創業100年以上となると老舗企業は全国で約3万3,000社に上ると言われて
います。
よく、企業の寿命は30年などといわれますが、そのような短い寿命の中でも幾度
もピンチがやってきます。ましてや200年続いた企業であれば、なおさらのこと
です。そのようなときに、どうやって乗り切ることができたのでしょうか。
戦後を見ても、ドルショック、オイルショック、バブル崩壊、リーマンショック
そして東日本大震災、2020年は新型コロナウイルスと、10数年に一度は危機に
見舞われ、その都度乗り越えてきたのが老舗企業です。
例え倒産寸前にまで追い込まれても復活を遂げ、事業の継続を成し果たしてきた
危機対応とそれを可能にする「4つの源泉」について考えてみます。
1.企業の個性を生み出す「のれん」
企業が長期間に渡って事業を運営していくためには、他社と異なる個性が必要に
なります。そのためには、何よりも自社のビジネスに対して一貫した考え方や
経営理念を貫くことが大切です。
そして、その理念を社内で共有し行動の基本となる社内風土を形成していくこと
で企業の個性が生まれます。そんな企業らしさ、つまり「のれん」を創ることは
老舗企業を目指す上で欠かせません。
老舗の「のれん」は窮地に陥ったときこそ見えてくる価値なのです。
一般的に目に見える財務諸表上の数字や売上状況の数字などで表せることができる
会社の価値だけでは図れない無形の資産が「のれん」なのです。
老舗企業の強みは何かを聞くと、「信用」(73.8%)「伝統」(52.8%)「知名度」
(50.4%)の回答割合が高いという調査結果があり、長年の事業活動を通じて形成
されたこれらの無形の財産が老舗企業の強みだと認識されているのです。
2.価格競争に巻き込まれない強み
多くの老舗企業に見られる共通点の一つに、価格以外の付加価値で競合企業と勝負
できるという強みが挙げられます。そんな「強み」を創るために必要な要素が以下
の3つの項目です。
①中核的な技術・ノウハウ
②小さな差別化の積み重ね
③顧客との接点・対面
中核的な技術はモノとして現れる場合と、アフターサービス・顧客に対する安心感
や安らぎなどの無形のノウハウなどがあります。顧客と向き合い、その期待に応え
るためにがどうすればいいかを常に追求していくことで「強み」が形成されていく
のです。
3.業種や世代を超えた「地域ネットワーク」の構築
人は一人では生きていけないように、企業も自社だけで事業を継続するのは困難です。
そのため、老舗企業の多くは、業種や世代関係なく地域に交流の場を設けるための
「地域のネットワーク」作りを積極的に行っています。
異なる業種や世代の経営者同士で様々な情報を共有し合うことが、それぞれの企業
の強化に繋がります。このような交流を積み重ねることで、「地域ネットワーク」
が形成され、信頼関係を築くことができます。
決して自社の利益に走ることなく、取引先、顧客、地域という一連の繋がりを尊重し
全体としての繁栄を見据えるからこそ長期に渡って事業の継続を可能にしているの
ではないでしょうか。
4.事業を支える「人材」の育成
「のれん」「強み」「ネットワーク」によってサービスを提供するための土台が形成
されます。しかし、それを生かすも殺すも「人」次第です。中小企業において、限ら
れた人材資源の中で商品・サービスの品質を維持させる「人材育成」が至上命題に
なります。
100 年単位の永きにわたって経営を続けてきた「老舗企業」にとっては、幾たびも
経験してきた「存亡の危機」も、ひとつの通過点に過ぎないのかもしれません。
そのたびに老舗企業の存在は、世界中の注目を集め始めています。これは、活力を
失いかけているわが国が世界に誇るべきことです。
一方で、「危機」に遭遇した企業が淘汰され、消えていく企業も少なくありません。
その多くの企業が現在の事業に安穏と甘んじており、時代の変化に追従できず、変革
を怠っているのです。移り変わりの激しい世の中で、現在の事業が今後も継続可能な
環境にあるかどうかを常にアンテナを張って敏感に変化を捉え、自社の資源をそこに
集中させていかなければ未来は開けません。
長い間事業を営んでいる会社は、含み資産はもちろん、数多くの取引先従業員など、
有形無形の資産を多くを徐々に食いつぶしていくことでかろうじて存続していますが
体力が衰えている中「危機」に直面すると、ついに力尽きてしまうのです。