これからの品質管理はデータ活用・デジタル化の進展など、急激な環境変化に対応できるか?

濱田金男

濱田金男

テーマ:製造業の正しい品質管理手法

品質管理は変わる!急激な環境変化に対応できるか?
製造業の課題と2030年に向けてどう向き合うべきか?

製造業において、脱炭素化、EV化、人手不足などの環境変化が進む中、品質管理は
ますます重要な位置づけを占めるようになっています。これからの品質管理には、
以下のような変化が必要とされています。

1.グリーン品質管理
製造業において、環境負荷を低減することが求められるようになっています。
グリーン品質管理は、製品のライフサイクル全体にわたり、環境負荷を低減すること
を目的としています。具体的には、製品の設計段階から環境負荷を考慮し、省エネル
ギー・省資源・低CO2排出などの取り組みを行うことが求められます。

2.デジタル品質管理
製造業においては、IoTやAIなどのデジタル技術が進化し、製造プロセスの自動化や
効率化が進んでいます。デジタル品質管理は、デジタル技術を活用して、製造プロ
セス全体を可視化し、品質改善につなげることを目的としています。具体的には、
生産ライン上での自動検査や不良品の早期発見・対応などが挙げられます。

3.人材育成
製造業においては、高齢化や人手不足が深刻化しています。今後は、人材育成が重要
な課題となってきます。具体的には、若手社員の育成や技能職の継承などが求められ
ます。

4.サプライチェーン管理
製造業においては、サプライチェーン全体を見渡した上でのリスクマネジメントが
求められます。具体的には、サプライチェーン上でのリスク分析やBCP策定などが
挙げられます。

以上のような変化が必要とされています。これからの品質管理では、グリーン・デジ
タル・人材育成・サプライチェーン管理などを総合的に取り組むことが求められます。

工場の品質管理の変化への対応として、以下の3つのポイントを考えることが重要です。

ポイント1:プロアクティブな品質管理
問題が発生する前に予防策を講じることが大切です。品質データの分析により、品質
の向上につながるアクションを事前に取ることができます。

 ★品質情報ナレッジシステムの体系
  品質情報ナレッジシステムとは、過去に発生した不良やトラブルなど、二度と
  発生させないため、あらかじめ上流工程で品質を作り込む際の手順を明確化
  見える化するためのツールであり、ナレッジ情報として以下の3種類を対象と
  します。
   ①顧客要求事項(特に注目すべき品質特性)
   ②新規点変更点情報(新たに追加、または変更された品質特性)
   ③過去トラブル情報(発生原因と再発防止対策)
  これらの情報を収集し、知識化を行い、それを基に、実際に製造工程設計や
  製造準備、そして製造工程において、具体的な品質作り込み作業の内容を
  導き出します。

ポイント2:データ分析と改善サイクル
定期的なデータ収集と分析に基づいて品質改善計画を策定し、進捗をモニタリングし
継続的に改善を進めます。

 ★データ活用による品質向上対策事例
  相関分析、回帰分析、実験計画法など統計解析を使った部品寸法精度向上対策
  手順を示します。
  この記事では、エンドミルで自動車部品を加工する際に、加工条件(工具の
  切削速度、切削量、送り速度)などによって、寸法精度にばらつきが出るため
  加工テストを行い回帰分析、相関分析、実験計画法などをうまく使って統計的
  に最適な切削条件を求めるステップを解説します。

ポイント3:デジタルツールの教育とトレーニング
従業員に対してデジタルツールの適切な使用方法やデータ分析のスキルを提供し

変化に適応できるようにサポートします。

 ★QC七つ道具はどう使うのか!
  データとデジタル技術を活用するDX品質管理とは?
  QC七つ道具は、デジタル技術と組み合わせて、後追いの品質管理ではなく
  予知・予防を主体とした効果的な品質管理と企業変革を実現するための重要
  なツールとして活用していきます。

これらのアプローチを採用し、環境変化に合わせて変化する製造業の品質管理を強化
し、持続可能な製造プロセスと高品質の製品を提供することが不可欠です。

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濱田金男プロは上毛新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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