過去不具合情報を水平展開するにはどうすれば良いか?生成AIを活用した情報の「ナレッジ化」について考える

濱田金男

濱田金男

テーマ:生成AIによる業務効率化

過去の不具合発生情報を水平展開するにはどうすれば良いか?

社内の情報共有による、類似の問題の再発防止・予防の考え方について
解説します。
過去の不具合情報として、「クレーム対策書」「是正処置報告書」などに
まとめられますが、これらの情報が有効に使われているかというと、必ず
しも使われておらず、また同様の不具合が繰り返し発生することがよく
あると考えられます。

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そこで、不具合情報の水平展開を行うツールとして、品質情報ナレッジ
システムについて以下のように考えてみます。

 ★参考記事
   https://monozukuri-japan.seesaa.net/article/503472293.html

1.故障モード抽出表・キーワード検索ツール
故障モードがどのようなメカニズムで発生し、どのような重大な影響を
与えるか?について見過ごすことなく予防策を講ずるために、過去事例
のメカニズム解析結果の情報は大いに参考になります。
また、設計~製造工程まで考慮し、どのように予防策を講ずるかを考える
ヒントとなります。

例えば、過去の問題発生事例から以下のような故障モード抽出表を作成
し、誰でも検索できるようにします。

故障モードがどのような状況で発生し、どのような問題(事故)が起きた
のかを知ることで、新たな製造工程や、新製品などで類似の問題が発生
しないようにあらかじめ予防対策を講ずることが可能となります。

 故障モードとは
  例えば、部品の断線、短絡、折損、磨耗、特性の劣化などの物理的
  化学的な構造が壊れること。
  (故障とは、部品の構造が壊れることによって引き起こされる機能
   の障害のことで故障モードと区別される) 
  
2.下流工程における情報の欠落・劣化防止
顧客の期待や要求は仕様書、図面などの形でアウトプットされますが
要求内容を、すべて表すことはできません。また、さらに上流の設計
工程から、下流の製造工程に渡す情報は、徐々に欠落・劣化し、100%
伝えることはできません。情報はどんどん欠落・劣化していきます。

設計図面をもとに作成されるQC工程図や作業指示書は完璧に作成した
つもりでも、そこには必ず情報の欠落・劣化が生じています。

例えば、プレス曲げ加工時のストレスにより亀裂が生じ、そこに車両
振動など繰り返し応力が加わり曲げ部分が破損したなどの事故が発生。
これは製造時に発生した亀裂を見過ごしてしまうと重大事故につながる
という事例で、作業者は亀裂発生が重大事故につながるとは考えていま
せん。

そこで、情報欠落を防ぐ対策として、工程間のレビュー・コミュニケー
ションが欠かせません。デザインレビューやFMEAレビューによって顧客
要望や、製品の使用環境などに対する製造技術上の制約など設計/製造
工程間の情報欠落、劣化を防止する必要があります。

3.ITの活用
そこで、品質情報ナレッジシステムをどのように構築するか、を考えます。
社内に不具合情報を水平展開することによって類似の問題発生を防止する
水平展開する情報には、以下のようなものがあります。
 ①不具合報告書
 ②手順書、規定制定・改定情報
 ③故障モード抽出表

不具合報告書は、是正内容が記載されており、同時に手順書類、規定類の
改定情報が含まれます。関係者はこの情報確認済みボタンを押すことで、
周知したものとします。対策書とルール改定情報は必ずペアとなって関係者
へ流されます。

故障モード抽出表は、新製品、新規工程あるいは既存製品であっても水平
展開情報として「故障モード」をキーワードにして、どのような問題が
発生し得るのか?予測するツールとして使用します。

これはFMEAの実施と同じ効果が得られ、予防対策として非常に効果が得ら
れるものと思われます。

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 ★参考記事
   https://monozukuri-japan.seesaa.net/article/503472293.html

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濱田金男
専門家

濱田金男(企業経営コンサルタント)

合同会社高崎ものづくり技術研究所

大手電機メーカーで設計、製造、品質管理に長く携わり、中国工場立ち上げ、韓国での生産ライン効率化など海外支援実績も多数。新しい時代を見据えた工場改革、付加価値向上と人材育成で、ものづくりの現場をサポート

濱田金男プロは上毛新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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