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中小製造業におけるM&Aの目的、効果、メリット、デメリット、注意点など

2024年5月20日

テーマ:中小製造業の生き残り策

コラムカテゴリ:ビジネス

近年、中小製造業におけるM&Aが活発化しています。事業承継や経営課題解決
さらには成長戦略の一環として、M&Aを活用する企業が増えています。

1. M&Aの目的
中小製造業におけるM&Aの主な目的は以下の通りです。
①事業承継
 経営者の高齢化や後継者不足により、事業承継が困難な場合に、M&Aを通じて
 事業を譲渡することで、事業の存続と従業員の雇用を守る。

②経営経営課題の解決
 単独では解決困難な経営課題を、M&Aを通じて解決する。例えば、資金調達、
 技術力強化、販路拡大、人材確保などが挙げられる。

③成長戦略
 規模の経済やシナジー効果を追求し、企業の成長を加速させる。例えば、新規
 事業への参入、海外進出、競合企業の買収などが挙げられる。

2. M&Aの効果
M&Aを行うことで、以下のような効果が期待できます。
①事業承継の円滑化
 事業承継を円滑に進めることで、事業の停滞や混乱を防ぎ、事業の価値を維持
 ・向上させる。

②経営課題の克服
 M&Aにより、資金調達、技術力強化、販路拡大、人材確保などの経営課題を
 克服し、企業の競争力を強化する。

③新たな事業機会の創出
 M&Aを通じて、新規事業への参入や海外進出が可能となり、新たな事業機会
 を獲得することができる。

④語規模の経済の追求
 M&Aにより企業規模を拡大することで、購買力や生産性を向上させ、コスト
 削減を実現することができる。

⑤シナジー効果の創出
 双方の企業が持つ経営資源やノウハウを組み合わせることで、新たな価値を
 生み出すことができる。

3. M&Aのメリット
中小製造業にとって、M&Aには以下のようなメリットがあります。
①短期間で経営課題を解決できる
 事業統合や経営資源の共有により、単独では解決困難な経営課題を短期間
 で解決することができる。

②新たな技術やノウハウを獲得できる
 M&A相手企業の技術やノウハウを獲得することで、自社の商品・サービス
 の競争力を強化することができる。

③新規市場への参入が可能になる
 M&A相手企業の顧客基盤や販路を獲得することで、新規市場への参入が
 可能になる。

④経営者個人のリスクを軽減できる
 事業承継の場合、M&Aにより経営者個人のリスクを軽減し、円滑な事業
 承継を実現することができる。

4. M&Aのデメリット
一方で、M&Aには以下のようなデメリットもあります。

①費用がかかる
 M&Aには、仲介手数料、弁護士費用、会計士費用などの多額の費用がかかる。

②文化や価値観の違いによる摩擦
 異なる企業文化を持つ企業が統合する場合、文化や価値観の違いによる摩擦
 が生じ、経営統合が円滑に進まない可能性がある。

③経営統合後のリスク
 M&A後の経営統合がうまくいかず、業績悪化や事業売却につながるリスク
 がある。

④労務問題
 M&A後の雇用形態や人事制度変更により、従業員の離職や労務紛争が発生
 するリスクがある。

5. M&Aの注意点
M&Aを成功させるためには、以下の点に注意する必要があります。

①明確な目的を設定する
 M&Aを行う前に、具体的な目的を明確に設定し、その目的に合致する相手
 企業を選ぶことが重要である。

②十分な準備を行う
 M&Aは複雑な手続きであり、専門的な知識や経験が必要となる。十分な
 準備を行い、必要に応じて専門家のサポートを受けることが重要である。

③相手企業との相性
 M&A相手企業との文化や価値観の相性を十分に検討し、経営統合後のスム
 ーズな運営を図ることが重要である。

④従業員への丁寧な説明
 M&A後の経営統合や人事制度変更について、従業員に丁寧かつ分かりや
 すく説明し、不安を解消することが重要である。

⑤アフターフォロー
 M&A後の経営統合を円滑に進めるために、アフターフォロー体制を整備
 することが重要である。

6.中小製造業におけるM&Aの最新動向
近年、中小製造業におけるM&Aの活発化と同時に、その形態や目的も多様
化しています。以下、最近のM&Aの動向についていくつかご紹介します。

①事業承継型M&Aの増加
 経営者の高齢化や後継者不足により、事業承継を目的としたM&Aが増加
 しています。特に、後継者不在企業のM&Aが増えており、事業譲渡や事業
 統合など、様々な形態のM&Aが行われています。

②海外企業によるM&Aの増加
 近年、日本の製造業の魅力が高まっており、海外企業によるM&Aが増加
 しています。特に、欧米企業による日本の技術力や人材を獲得目的とした
 M&Aが目立ちます。

③業界再編に向けたM&A
 国内市場の縮小や競争激化により、業界再編に向けたM&Aが活発化して
 います。特に、同業他社間によるM&Aや、上下流企業間によるM&Aが
 増加しています。

④デジタル技術を活用したM&A
 近年、M&Aの仲介や情報収集などにデジタル技術が活用されるようにな
 っています。M&AプラットフォームやAIマッチングサービスなどの登場
 により、M&Aの効率化が進んでいます。

7. 中小製造業におけるM&A成功事例
M&Aは中小製造業にとって大きなチャンスとなる一方で、失敗すれば大きな
損失を被る可能性もあります。M&Aを成功させるためには、事前に十分な
準備を行い、専門家のサポートを受けることが重要です。

以下、中小製造業におけるM&Aの成功事例をいくつかご紹介します。

①A社によるB社の子会社化
 A社は、B社の持つ技術力と顧客基盤を活かし、新規事業への参入を成功
 させました。

②C社とD社の経営統合
 C社とD社は、経営統合により規模の経済を追求し、コスト削減と収益向上
 を実現しました。

③E社によるF社の事業譲渡
 E社は、F社の事業譲渡により、自社の経営資源を集中し、コア事業の強化
 に成功しました。

8. 中小製造業向けのM&A支援サービス
近年、中小製造業向けのM&A支援サービスが充実しています。M&Aを検討
している中小製造業は、これらのサービスを活用し、専門家のサポートを受
けることをおすすめします。

M&A支援サービスには、以下のようなものがあります。

①M&A仲介
 M&Aの相手企業探しや交渉などをサポートします。

②M&Aコンサルティング:M&Aの企画立案から実行まで、総合的にサポート
 します。

③資金調達支援:M&Aに必要な資金の調達をサポートします。

④法務・税務支援:M&Aに関する法務・税務手続きをサポートします。

9. まとめ
中小製造業にとって、M&Aは事業承継、経営課題解決、成長戦略など、様々
な目的に活用できる有効な手段です。M&Aを成功させるためには、事前に
十分な準備を行い、専門家のサポートを受けることが重要です。

この記事を書いたプロ

濱田金男

ものづくり現場の品質管理、人材育成のプロ

濱田金男(合同会社高崎ものづくり技術研究所)

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