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AI(人工知能)の実用化は、「ディープラーニング」技術の技術の発展によって
「囲碁AIがトッププロ棋士に圧勝」「AIによる車の自動運転技術」など、一気
に活躍の場を広げています。
実はその背景にあるのは「ディープラーニング」と呼ぶ人間の脳を参考にした
新しいアルゴリズムです。子どもが成長する過程で多くのことを学び取り成長
するように、教師データによりAIは成長します。
だが、実際に導入しようとすると、「学習の基となる教師データが足りない」
「高速なコンピュータが不足し、十分な学習ができない」といった課題に直面
することになります。これらの課題を解決するためにはどうすればよいのか?
1.ディープラーニングと機械学習の違い
ディープラーニングは機械学習のひとつの特殊な形と言えるものです。通常の
機械学習では、画像から手作業で特徴量を抽出することからスタートします。
そして、抽出した特徴データを使って物体を分類するモデルを作成します。
一方、ディープラーニングでは、特徴量は画像から自動的に抽出されます。また
ディープラーニングは「エンドツーエンドな学習」を実行できます。つまり、
生の画像データから自動的にその処理方法を学習していきます。
もう一つの大きな違いは、機械学習がデータの増加に対して性能が頭打ちになる
のに対して、ディープラーニングではその性能がデータの量が多いほど学習が
進み精度が向上していく点にあります。
機械学習には幅広い手法とモデルがあり、用途や処理するデータサイズ、解決
したい課題のタイプに合わせて選択することができます。一方、ディープラー
ニングを成功させるには、データを高速で処理するためのGPUだけでなく、
モデルを学習させるための大量のデータ(数千もの画像)が必要となります。
2.AIの現状と、製造業の取り組みの課題
ディープラーニングでは、人の脳の神経回路を模した「ニューラルネット」の
層を5階層、10階層と「ディープに(深く)」重ねることで、より高度な認識が
可能になります。ディープラーニングの活用領域が一気に広がった背景には、
コンピュータの高速化が進み、大量データを多階層のニューラルネットで処理
できるようになったことが挙げられます。
事実、20年前のニューラルネットワークは3階層くらいだったものが、コンピュ
ータの高速化によって、今では20階層から200階層まで作れるように進歩して
います。
コンピュータの高速化と同時に欠かせないのが、十分な量の“教師データ”を用意
することです。教師データとはコンピュータが学習するためのデータであり、
その出来がディープラーニングの精度を決定します。
優秀な教師は優秀な生徒を育てますが、問題は「優秀な教師をどうやって揃えるか」
で、例えば「工業製品の外観不良を検知するシステムを作ろうとしても、そもそも
不良品の画像データ自体が不足しており、十分な量の教師データを用意できず
検知の精度が向上しないという問題に直面します。
今、この教師データをいかに十分に用意できるのかがAIを活用するための大きな
ネックになります。「AIの適用方法がわからない」と並んで「教師データ作成が
難しい」が、AI活用における悩みのトップを占めています。
3.教師データを人工的に作り出す
どうすれば十分な数の教師データを用意することができるのか。こうした悩みに
応えるために様々な取り組みが行われています。
その中で、データを加工して教師データを人工的に作りだすため、もともと教師
データとして使える不良品の画像は数十枚しかない場合でも、画像をデータ拡張
技術を使って、数百枚程度にまで増やすことが可能です。これにより十分な数の
教師データを確保して、数日間でほぼ100%識別できることが可能になります。
従来方法で人間が特徴点を決めて画像を認識させる画像処理では、モデルの構築
に少なくとも半年以上掛かると予想されます。
他にも自動運転や安全運転支援(ADAS)などで求められる車両認識シーンでは
3次元コンピュータグラフィック(3DCG)を駆使して車種や色、見る角度などを
変えて様々なバリエーションの画像を作りだすことで教師データの数を増やして
います。
「車種を認識する場合でも、リアルな写真からの学習には限界があります。そこで
CGを使って色や角度や当たる光の強さなどの違う画像を教師データとして作成して
認識精度を上げます。
精度を上げるために、3DCGとリアル写真が混ざった教師データを作成する際にも
工夫をしている。フロントガラス越しに写る車内の人物やナンバープレートはマス
キングするなど、CGとリアル写真の特徴量を合わせている。
余計なデータを学習すると、かえって認識精度が落ちることからこのような処理
を施しています。
4.どちらを選ぶか?
機械学習かディープラーニングを選ぶときは、まず高性能なGPUと大量のラベル
付けされたデータがあるかどうかを確認して下さい。もしどちらかが欠けている
場合、ディープラーニングではなく機械学習が適当と言えるでしょう。
ディープラーニングは一般的に機械学習より複雑であるため、信頼できる結果を
得るには少なくとも数千の画像が必要となります。より高性能なGPUがあれば、
そうした大量の画像の学習に必要な時間はさらに短縮していくことができます。
経済産業省では、中小企業のAI活用促進について様々な情報を発信しており
中小企業がAIを導入する際に必要となる体制整備や準備・実証手法等の資料が
ホームページよりダウンロード可能となっています。
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