中小製造業におけるM&Aの目的、効果、メリット、デメリット、注意点など
半導体製造には、精密な技術と特殊な設備が必要です。以下は、部品加工業とプラスチック製造業が半導体製造に貢献するために必要な主要な要素です。
1.精密金属加工技術
半導体製造装置の部品は、ミクロンレベルからナノレベルの精度が求められるため、高度な精密金属加工技術が不可欠です。これには、CNC(コンピュータ数値制御)マシン、レーザーカッター、エッチング装置などが含まれます。これらの技術を使用して、ウエハや部品を正確に加工できます。
2.洗浄・乾燥装置
製造プロセスの各段階でウエハを洗浄し、ナノオーダーの超微細加工を行うためには、バッチ式や枚葉式の洗浄装置が必要です。これにより、ウエハ表面から不純物を除去し、高品質な半導体デバイスを製造できます。
①バッチ式洗浄装置
バッチ式洗浄装置は、複数のウエハを一度に洗浄できる装置です。ウエハはバスケットやキャリアにセットされ、洗浄液に浸されます。
洗浄液は酸性、アルカリ性、または超純水などで構成され、ウエハ表面から不純物や粒子を取り除きます。
洗浄後、ウエハは乾燥装置に移され、乾燥されます。バッチ式のため、一度に多くのウエハを処理できる利点があります。
②枚葉式洗浄装置
枚葉式洗浄装置は、ウエハを一枚ずつ処理する装置です。ウエハはコンベヤベルトに載せられ、洗浄液を通過します。
枚葉式は連続的なプロセスであり、ウエハの洗浄と乾燥が同時に行われます。
ウエハごとに洗浄液の濃度や温度を調整できるため、より細かい制御が可能です。
3.帯電防止プラスチック
半導体製品の製造には静電気を蓄えにくい帯電防止グレードのプラスチック材料が利用されます。これは、部品や装置が静電気によって損傷を受けないようにするためです。帯電防止プラスチックは、射出成形や射出押出などのプロセスで使用されます。
①帯電防止グレードと導電グレードの違い
帯電防止グレードと導電グレードは、どちらも静電気を防止するための樹脂ですが、それぞれ異なる特性を持っています。
代表的な材質として、三菱ケミカルアドバンスドマテリアル株式会社(旧:クオドラントポリペンコジャパン)のMCナイロンには「MC501CDR6-帯電防止グレード-」と「MC501CDR2-導電グレード-」があります。
電気抵抗値(体積固有抵抗)に違いがあり、導電グレードの方が低い抵抗値を持ちます。一般的に、抵抗値が10⁸~10¹⁰ Ω・cm以下であれば静電気を帯びにくいとされています。
②帯電防止グレードの用途
帯電防止グレードは、パレット、治具、間仕切り、覗き窓、カバーなどの部位で使用されます。これらの部位では異物(埃など)の吸着を防ぎたいため、静電気を帯びにくい材料が求められます。
③導電グレードの用途:
導電グレードは、常時帯電しない箇所で使用されます。例えば、パレット、作業台、治具などが該当します。導電性に優れているため、静電気を防止します。
帯電防止グレードと導電グレードは、半導体製造やクリーンルームなどで重要な役割を果たしています。
4.低アウトガス性材料
真空中でのプラズマ処理に使用されるプラスチック材料は、ガス化する物質の量が少ないことが重要です。これにより、真空中でのプロセスが安定し、ウエハや部品の品質が向上します。低アウトガス性材料は、半導体製造において欠かせない要素です。
低アウトガス性材料は、真空環境下での使用に適した素材で、有機材料などから放出されるガスの量が非常に少ない特性を持っています。
こうした材料は、半導体、航空宇宙、エネルギー産業などで重要とされており、高真空用途において安定したパフォーマンスを発揮します。
例えば、PEEKやPPS、PEKKなどの高機能プラスチックが低アウトガス性素材として挙げられます。
低アウトガス性材料の主な特徴は以下の通りです。
①高真空用途
航空宇宙や半導体製造など、高真空が必要な環境で使用されます。
②安定した性能
最小限の吸水性と低イオン含有により、高純度で安定した性能を提供します。
③環境適応性
真空中でのプラズマ発生や化学反応処理において、不純物のリスクを低減し、精度を維持します。
これらの材料は、特定の産業での要求に応じて選ばれ、精密な技術環境での使用に適しています。詳細な情報やデータベースは、JAXAの材料データベース2やEnsinger社のウェブサイト3で確認できます。
また、Stella Mechanics社のウェブサイト1では、低アウトガス性素材に関する追加情報が提供されています。
これらの技術や設備を備えることで、部品加工業やプラスチック製造業は半導体製造に大きく貢献することができます。