思考は暴れ馬にもなる?
この場で表現している日本語は、日本語のわかる人が読んで理解することになります。しかし、日本語がわかる人全てが、わかるわけではありません。
書き手は、できるだけわかるように書く努力をしますが、書き手の思いが十分に伝わるとは限りません。
これは書き手の努力とは関係なく、言葉そのものの持っている性質と考えた方がよいかもしれません。
この理解に役立つのが、コミュニケーションに関わるメラビアンの法則です。
ーメラビアンの法則ー
人と人がコミュニケーションを図る際、言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%の割合で、相手に影響を与えるという心理学の法則です。
つまり、書き言葉は、「言語情報」に当たり、相手の思いを理解する上での7%の情報を元に、私たちは、一生懸命に相手を理解しようとしていることになります。
7%ですから、ほとんど書き手の思いは伝わらないと考えた方がよいということになります。
でも、何となくわかったように「いいね。」と反応するのはなぜでしょう?
残りの93%をどのように埋めているのか考えてみるとそれがよくわかります。
脳は「わからない」を嫌うため、何とか埋めようとします。
この時に利用するのが、記憶です。
つまり、理解を深めるために必要な自分の体験経験やそこから生まれ出た自分の見方考え方、願いなど、役に立ちそうな情報を片っ端から集めて、「わかる」を作り出します。
それが、「いいね。」につながっていくことになります。
脳が、93%のわからない事を、書き手の思いとつながる自分の中にある情報を活かして理解に努め、93%を埋めるためにこのような事が起きます。
ある意味、自分の都合の良い解釈をしていることになります。
つまり、言葉は、個々の体験を元に築かれているため、相手の意図がそのまま伝わらず、自分の都合のよい解釈になり、一般化されやすく、誤解を招きやすいということになります。
逆に言うと、読み手の体験経験、見方考え方、願いなどの合う言葉を選んで書くとすれば、「いいね。」を増やすことにつながると言うことになります。
マッチングアプリなどは、まさにそれです。
共通するものがあるから、親しみを感じ、引き合っていきます。
言葉巧みに誘い出されてしまうのは、その気にさせてしまう言葉を選んでいるからです。
言葉は、印象を生み、その印象から、感情が湧き上がります。
つまり、この「言葉→感情」の流れをうまく使えば、その気にさせてしまう事ができると言うことです。
その罠にハマってしまっては大変です。
このことを逆手にとって、丸ごと書き言葉を信じるのではなく、
「これは私の思い込みだ。自分の都合の良いように解釈している。」
と考え、
「本当のところは何か、これだけではわからない。」
と、疑いの目を持ちながら、冷静に判断したり、他の情報を得たりしながら、書き言葉を読んでみると理解が変わってくると思います。
書き言葉に振り回されない自分をしっかり保つ事がとても大事です。