本気は伝わる
反抗期の子どもにどのように向き合えばよいのかわからないと悩んでいる親さんから質問がありました。
私の思いをお伝えしたいと思います。
今まで何のトラブルもなく素直に育ってきた子どもが、反発し始めると、今まで通用していた事が通用しなくなるのでどのように対応すればよいかがわからなくなるのは当然の事だと思います。
これには、子どもと親との距離が大きく関わっています。
子どもにとって、生活する上で一番頼りになり、安全な場所は、母親になります。
動物が成長する様子を描いたテレビ番組を見ているとよく分かれますが、生きていく上で大事なことを体験しながら、生きるために必死で学びます。
小鳥が、餌の取り方だけでなく、飛び方も、親の真似をしながら必死で練習をしている映像を見ると、微笑ましく、美しささえ感じます。
子どもも全く同じで、生きるため必死になって親の言動から産まれた世界で生きるための情報を得て、体験して、学び続けます。動物よりも成長に時間がかかる人間ですから、変化が遅いため、なかなか実感しないと思います。
でも、確実に成長していきます。
人間の場合は、家庭だけが子どもが生きる世界ではありません。親から離れ自立した一人の人間として、広がる目の前に現れた自分の社会でも精一杯生きようとしています。
その時に役立つのが、これまで親の言動から学んだ生き方です。
しかし、子どもの社会が広がるにつれて、家庭では通用しても、自分の社会では通用しなくなる事がたくさんある事を知ることになります。
通用しなくなる事が増え、何とかしようともがき苦しむ事もきっと大きくなります。
この時に抱える不安や不満をぶつける事ができるのは、一番身近で一番自分の事をわかってくれている母親ではないでしょうか?
不安のぶつけ方はさまざまですが、反抗する事で不安や不満をぶつける方法もその一つです。
子どもと同一化している事が多いと、なかなかこのような見方をして子どもを見つめる事はできません。
子どもが発する言葉に反応しているときは、子どもとの距離が近過ぎます。冷静ではなく、感情的になりがちです。
これまで培った事を否定され、冷静ではいられなくなり、つい感情的になってしまいます。
自分と子どもとの距離を置き、冷静に子どもを眺め、子どもの周りで何が起きているのか、どんな思いで反抗するのかをじっくり考える事が必要です。
そして、言葉をそのまま受け取るのではなく、そんな言葉を発しなければならない子どもの心の中を探ります。
長い人生を経てきた親であれば、様々な人と関わってきた経験から、反抗する子どもの気持ちを察する事は、容易にできるのではないでしょうか。
子どもを理解し、その上で対応しようとしている親の姿は、子どもにもしっかりと伝わります。
反抗する子どもとぶつかり合っている姿とは異なるため、必ず、子どもに投げかける言葉も事なってきます。また、対応の仕方も違ってくると思います。
(もし、気持ちが分からなければ、子どもの言葉に反応するのではなく、理由が知りたいと子どもに尋ねるのも一つです。
「何か不安はないか。」「困っていることはないか。」
「わかりたい。」「知りたい。」と訴えることになります。)
子どもの心の中を探って出てきた反応が、反抗する子どもへの対応はどうすればよいのか」の回答になっています。
マニュアルがあるわけではありません。我が子の心に寄り添う事で、その答えが湧き上がってくる感じです。
ただ、子どもへの依存が強く、子どもから離れたくないと思っていると、冷静さと客観性を妨げることになってしまい、答えが見つかりません。親としての自分を見つめる事が反抗期の子どもへの対応を考える前に必要になります。