感情をコントロールする

須田敏男

須田敏男

テーマ:メンタルヘルス

 感情をコントロールすることは、難しいと思ったことは、何度もあります。
 
 楽しい出来事が起きると楽しくなります。辛い出来事が起きると辛くなります。
 自然に湧き上がる感情をコントロールすることはできないのではないかと思います。
 例えば、旅行に出かる事になると、旅行先での様子をイメージし、旅行の準備をします。準備の間も楽しく過ごす事ができます。
 そして、旅行に出かけます。買い物をしたり、散策したりしている時も楽しい気分でいます。
 その時、財布をなくしたとすると、気分は一変します。不安で一杯になり、楽しく過ごすことはできなくなります。

 このように私たちは、出来事に反応して、その出来事に合った感情を湧き上がらせます。
 これは、意識的というよりも、無意識的です。

 無意識は、意識よりも2万倍ほどの強さがあるそうなので、この感情をコントロールする事は、難しいと言うのは、そのためです。

 この場合、湧き上がった感情が次第に収まってくるまでの時間をできるだけ、短くすることも感情のコントロールの一つですが、ここでは、別の方法を考えています。

 旅行の話に戻すと、感情が湧き上がる前に、必ずイメージが浮かんでいる事に気づくはずです。
 このイメージが、感情を湧き上がらせる火種になっています。
財布を落とした時には、落とした後の様子がイメージされ、楽しい時とは異なる不安を呼び起こすに相応しいイメージが浮かび上がっています。
 そこで、火種にならないように別のイメージを意図的に用意しておく事で、無意識の活躍を塞ぐ事ができます。

 例えば、財布を落とした場合であれば、事前になくした場合を考えて、別の財布を用意しておけば、なくしたときのイメージが変わり、何もしない時の辛さとは異なる感情が湧き上がります。

 また、なくした事に別の意味をつける事で、緩和する事もできます。
「財布をなくす事には、何か意味があるはずだ。」と考えるだけで、「なくしてしまった。どうしよう?」と不安を呼び起こすイメージは浮かびにくくなります。そのため、不安の感情が湧き上がりにくくなります。
 
 これを日常生活に当てはめ、ストレスを感じやすい場面に応用すれば、ストレスを感じにくくする事も可能になります。

 例えば、ゲームで夢中になってやめられない子どもを叱ると、かなりストレスが現れます。
 こんな時、
 ・事前に時間を決め、守らなかった場合の対応を明らかにし、子どもに了解を得ておく。
 ・夢中になってやめられない事のメリットとデメリットを明らかにして、叱り方を工夫してみようと事前に考えておき、叱った後の子どもの反応に、「この反応には、どんな意味があるのだろう?」と考える。

 一度試して見ると、出来事に反応して叱った場合のような感情とは異なる感情が湧き上がることを体験する事ができると思います。

 このように、感情のコントロールには、事前に対応を準備をし、別のイメージが浮かぶように準備する事が役立つとわかると思います。
 
 もし、上手く使う事ができれば、仕事や日常生活に役立てる事ができます。
 
 そして、嫌な感情が湧き上がった時に、「自分の準備不足が、この感情を湧き上がらせたのだ。」と考える事ができたならば、出来事に反応して、感情に振り回される事が、少なくなるように思います。

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須田敏男(メンタルヘルスサポーター)

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 最新の脳科学をベースにした「NLP心理学」を生かし、家庭への支援から働く人への支援と支援の範囲を広げ、悩みを持つ人の相談活動や企業向けの研修などにも幅広く対応。

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