「立ち止まり」の時間

須田敏男

須田敏男

テーマ:メンタルヘルス

 保護者の方がお迎えにいらっしゃると、できるだけ早く子どもたちを帰したいと思い、活動をやめて帰しています。
 すると、黒板にスケジュール用のカードが貼られた状態になり、子どもたちは、「振り返り」をせずに帰ることになってしまいます。

 子どもたちには、振り返りを済ませてから、遊ぶように話していますが、遊びを中断して、振り返りをすることは、かなり意思が強くなければできません。

 これに似た姿を見つけることができます。
 勉強を終えて、すぐに遊び始めるため、勉強道具が机上に勉強道具が残っていたり、おやつタイムになると、すぐに遊びをやめて飛んでくるため、遊び道具の後始末が不十分になり、遊び道具の一部が取り残され忘れ物になります。

 後始末が十分にできないためによく忘れ物をする子を見ていると、始める時の準備不足になる事も多いように感じています。

 時間にゆとりがなく慌てて活動を始めたり、早く活動を始めたい気持ちが強かったりすると、その場になって、物が足りないこと(準備不足)に気づく事が多いように思います。

 忘れ物も準備不足も、目の前に起きる出来事にすぐに反応してしまうため、どちらも視野が狭くなっている事が原因のように思います。

 忘れ物や準備不足を解消するためには、「立ち止まり」が必要になります。
 立ち止まって、過去を見る(忘れ物)か、未来を見る(準備不足)かの違いはありますが、「立ち止まり」が視野を広げる機会になります。

 儀式やお祝い事の「〜の日」などは、過去を振り返ったり、未来をイメージしたりする機会ですので、「立ち止まり」に当たります。ただ、これらは、外の力で設けた「立ち止まり」になります。

 日常的には、自分の内にある力(意思)を使わないとなかなか「立ち止まり」は、できません。

 日記は、1日の「立ち止まり」の機会になります。これは、自分の内にある力(意思)を使った例になります。
 
 忘れ物や準備不足を解消するためには、1日という長い時間時間での「立ち止まり」よりも、もっと短時間での「立ち止まり」が、必要になります。
 
 理想的には、一つ一つの活動後になりますが、なかなかできません。

 現実的には、食事の時間、入浴の時間、休憩時間、移動時間、隙間時間などが活用できそうです。

 「立ち止まり」は、長い人生を生きていく上で、身につけるとよい一つの習慣だと思います。

 振り返ってみると、「振り返りの時間」が、十分機能していないのは、私自身の意思の弱さがそのまま反映されているように思います。

 「保護者に早く渡さなければ」を理由にしている自分の甘さが、現状を作り出している事に気づきました。

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須田敏男(メンタルヘルスサポーター)

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 最新の脳科学をベースにした「NLP心理学」を生かし、家庭への支援から働く人への支援と支援の範囲を広げ、悩みを持つ人の相談活動や企業向けの研修などにも幅広く対応。

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