生とつながる性
年度末となり、会計監査を受けることになりました。
昔のように全て自分の力で帳簿仕上げていた頃と違い、今では、既に計算式が組み込まれ、数字を入力するだけで、帳簿が完成するように操作が簡単になりました。
監査を受けた会計が、監査役から、表の誤りを指摘され、かなり長い時間、帳簿と格闘していました。
気になったので、作成された帳簿の計算式を確認させていただきました。
計算式を確認していくと、いくつか計算式を触り、修正してある事が分かりました。
計算式を元通りにすると、正しい帳簿ができました。
これは、今の時代を象徴する出来事のように思いました。
自動化され、それを信じて活用する事が多くなっている時代です。便利になる一方で、仕組みが複雑になるため、一旦狂うと自分の力では何ともならない事が増えていくように思います。
自動化に関わる人だけが修正する事ができる危うさを抱えています。
・現金を使わずにカードで支払いができます。
・洗濯機に洗濯物を放り込めば、スイッチを入れるだけで洗濯ができます。
・家にいながら、ネットで買い物ができます。
・自動運転が可能な車が開発されています。
その陰で、島津メディカルシステムが、X線装置の故障装うタイマーを設置したように、自動化のできる者だけが修正を加え、悪意に利用する事案も発生しています。
自動化は、信頼の上に成り立っている事がよくわかります。それと同時に自分が次第に無力になって行くことも実感する事になります。
これは、自然の力と人間の力の関係に似ていると思いました。
自然の偉大な力の前では、私たちは無力です。
抵抗する事なく、自然を敬い、自然に従って生きてきた時代があります。
そして、今でも私たちは、自然の摂理に従って生きています。
便利な時代を創る事は、この自然の働きと同じことを人の力で創り上げていくようなものです。
根本には、信頼があります。
悪意がなくても、信頼を損なう事があってはならないと思います。
私は、古い時代の私かも知れません。
・現金で買い物ができる事が嬉しい自分がいます。
・自力で修理できる喜びを感じる自分がいます。
・ネットで買い物をしても、必ず届くだろうかと、品物が届くまで、不安を抱える自分がいます。
・検索して直ぐに調べようとする子どもに、辞書を使うように指導する自分がいます。
・自動運転の車には、怖くて乗りたくないと思っている自分がいます。
人を信頼しますが、神様のように信頼しきれない危うさを抱えているのが私たち人間のように思います。
危うさを抱えているけれども、信じていかなければならない時代になっているのかも知れません。