壁を乗り越える
父の体調が悪くなり、4回目のコロナワクチン接種をした時の副反応と同じような症状があったので、救急車で病院に父を運びました。
救急隊の方や病院の医師、看護師、事務担当者などいろいろな方に出会いました。
相手の対応によってさまざまな感情が、次から次へと湧き上がってくる自分を発見しました。
脳外科医の説明を聞きながら、今後の措置について説明を受けている時は、親身になって一緒に考えてくださる姿にホッとし、感謝の気持ちが湧き上がりました。
ただ、熱の原因がわからないという事で、コロナを疑い検査を続けているという話を聞き不安が増してきました。
しばらくすると、看護師が来て、私を隔離スペースに案内しました。
何の説明もなく、30分以上一人でその中で過ごす事になりました。
もしかすると陽性だったのだろうかという不安な気持ちになり、次第に、対応の悪さに不満が募り、時間が経つにつれて、その不満が強くなり、居ても立っても居られなくなりました。怒りが湧き上がってくるのを感じながら、近くを通りかかった事務職員に事情を説明しました。
「しばらく待って下さい。」
との事でした。
しばらく待っていると携帯に電話が入りました。転院先の病院の事務職員からでした。訳が分からず事情を聞くと、脳外科医の説明の通り、手術をするための転院まで対応が進んでいる事がわかりました。そして、コロナ感染していることもはっきりしました。
この事がわかると、怒りは消えていました。
転院先の病院の対応の早さに感謝の気持ちが湧き、怒りを爆発させる事はありませんでした。
電話中に医師や看護師が来ました。電話を切ると、医師が、状況を説明されました。
「はい、今の電話は、転院先の病院からの電話で、その説明を受けました。」
と、怒りではなく、不満を嫌味の気持ちを込めて伝える程度になりました。
この流れの中に現れる感情を観察してみると、
初めの不満が怒りに変わって行く過程には外からの刺激はなく、自分の中で考えた事(内側の刺激)に動かされています。
そして、外からの刺激が、怒りを助長する刺激ではなかったため、怒りが続く事なく、感謝が湧き上がり、怒りは消えてしまっていました。
その後、新しい外からの刺激は、怒りにつながる事なく、感謝からつながり、不満が出る程度になっています。
この事から私の感情は、
・内側・外側の両方の刺激を受けて変わること
・前の感情を引きずりながら時間の経過と共に刺激を受けて変化すること
・急激な変化ではなく、緩やかな変化をすること
がわかりました。
また、これらの感情を決める判断基準が、相手に対する「思いやり」になっていることにも気付きました。
感情がまるで振り子のように動いているのです。
「とても思いやりがある対応」と感じる時、振り子が大きく右に触れ、怒りとなって現れます。「とても思いやりがない対応」と感じる時は、振り子が大きく左に触れ、感謝となって現れます。
その時々の対応によって右に振れたり左に振れたりしますが、今の状態が、右寄りであれば、少々思いやりがない対応を感じても左に大きく揺れを戻すことはないということです。
振れ幅はあまり大きくない方がいいかと思いました。
また、今の状態がとても重要だという事もわかります。
今は、右寄りの振れを感じ、医師の対応を信じつつ、父の頑張りを祈っています。