バランスを取る
修学旅行から帰った孫からのお土産が自宅に届きました。
「何故、その品にしたのか?」と母親に問われた時に、孫は、
「おじいちゃんが、欲しいと言っていたから。」
と、答えたと妻から聞きました。
実際には、私は、孫とお土産について話したことがありません。
なぜ、そんな話を母親にしたのか、日頃の孫の言動から考えてみました。
きっと
・母親にうまく説明できない。
・母親に説明するのが面倒だ。
だろうと思いました。
母親が納得できる内容を瞬時に思いつくところが、すごいと思いました。
私たちは、人が何か行動をした時、その意図を知りたくなると、母親のように「何故?」という質問をすることがあります。
この「何故」という質問は、相手の内面(心)に迫る言葉になります。
もし、内面を探られたくないと思った時、素直に
「話したくない。」
と答えると、質問した方は、嫌な気分になります。
これは、相手の中に入りたいという思いを拒絶されたと脳が反応したためです。
嫌な気分にさせないために、内面に入らせず、外面に向けて取り繕う事ができれば、お互いに傷つくことがなく、その場を切り抜けることができます。
これが、孫が利用した「おじいちゃん」になります。
このような事は、日常的に何気なく使っています。
例えば、食事に誘われた時に断る時、
・「先約があるので、行けません。」(他人)
・「忙しいので、時間がなくて行けません。」(時間)
・「その場所まで行く手立てがなくて、行けません。」(空間)
内面でも、影響の少ない断り方として
・「体調がよくないので、行けません。」(身体)
があります。(心に影響を与えない。身体は心の外側)
話した内容が、事実かどうかわかりませんが、誘いを断るよい口実になります。
よく子どもが、失敗した時、
「だって、〜さんが、やれって言ったから。」(他人)
「だって、みんなが、やっているから。」(他人)
「だって、先生が教えてくれなかってから。」(他人)
なども、同じ理由です。
この時、内面(心)を知りたいと思い、
「本当の理由を知りたいのにどうして話してくれないの。」
と、突っ込んでも、閉じた心を開ける事はできません。益々頑なになって、心を閉じてしまいます。
拒否されると、質問する側は、次第に感情的になっていきます。
この感情を抑えることができずに、怒ってしまう事もあります。
「何故」と問いかけた時に返ってきた言葉を素直に(相手の意を汲んで)受け入れると、その場を丸く納めることができます。
遊びに来た孫に
「お土産ありがとう。よくおじいちゃんが、欲しがっていた事が、分かったねえ。」
と、話しかけると、にやけた顔で、
「だって、美味しそうだったもん。」
と話してくれました。
(だから、私に食べてもらいたかったのでしょう。)
同じ品を2つ買ってきて、残りの1つを家族で食べた事を、後から妻に聞き、納得しました。