レンズ保証でレンズを返却する意味
『工事現場で働いているので、小石が飛んできます。
なので、コーティングが強いレンズの方が良いですよね?』
という相談があります。
こういう風に、使用環境も相談してもらえると、
レンズを提案しやすくなります。
この場合、コーティングが強いレンズを提案するのも1つではあるものの、
自分ならコーティングは標準で、設計なども含めて安価なレンズを提案します。
標準のコーティングを提案する理由
レンズの価格は、メーカーだけでなく、設計・素材・コーティング・その他で変わります。
そのため、キズに強いコーティングのレンズは価格がそれだけ上がることになります。
コーティングが強いレンズを使用した場合、
確かにキズはつきにくくなりますが、
どんなにコーティングが強くても、日常的に飛石がある場合は、
当然キズがつく可能性があります。
そういうことで、コーティングが強いレンズを使用するよりも、
標準コートのレンズを使用し、キズがついたら交換することを提案します。
コーティングの強さ
昔から、ガラスレンズはキズに強く、プラスチックレンズはキズに弱いと言われます。
この問題を克服するため、プラスチックレンズのコーティングは進化しています。
コーティングの強さを調べるための実験として、
メーカーは、スチールウールなどに3~6kgの加重をかけたを用いた実験を行います。
標準コートでは当然キズつきますが、ガラス並に強いコーティングもあります。
ガラス並に強いコーティングでも、この実験ではキズがつきますが、
さらに強いコーティングもあります。
ただ、この実験に関しては、スチールウールではなく、
砂消しゴムなどを使った実験もあり、混同されている方もおられるので、
見せてもらった資料はしっかりと見ておいた方が良いです。
耐傷性と耐衝撃性
メガネレンズの場合、耐傷性のことを良く言われ、耐衝撃性のことはあまり触れられません。
というのが、ガラスレンズの場合、落として割れることがよくあります。
ただ、プラスチックレンズが主流となり、落として割れることは少なくなってます。
なので、耐傷性の話が多くなり、耐衝撃性の話はあまり意味がないので、説明する必要が減りました。
その中で、この割れにくくなったレンズの中でも、
バイクレースなどで使用する、耐衝撃性が強いレンズもあります。
軍用ヘリのカバーなどにも用いられるプラスチックもあり、
耐衝撃性はかなり強いものになります。
試しに、コンクリートの上にサンプルレンズを置き、
トンカチでたたいてみたところ、割れることはありませんでした。
ただ、それほどまでに強いレンズでもキズは入りました。
例えば、ダイヤモンドは硬いことで有名ですが、
簡単に割ることはできます。
一般的に、硬いと言われるものは、モース硬度のように、
ひっかきキズに対する硬さを言われることが多いように思えます。
現在のプラスチックレンズは、元々の割れにくい性質がありながら、
ひっかきキズに対する耐傷性も有しており、
コーティングによって、耐傷性の強さが異なります。
まとめ
・様々な考えがあるため、使用環境や眼鏡店によって、提案が異なることがある
・どういう環境で、どういう風に使うかを伝えると、眼鏡店も提案の参考になる
どんな環境で、どんな風に使用し、どこまでなら許容できるかなど、ご要望を伝えることで、
それらを考慮して、眼鏡店に提案してもらうと良いと思います。
次は、『冬の紫外線量』について