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フィッティングによる頂点間距離と度数変化

豊福祐史

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テーマ:知っておくべきレンズの話

『フィッティングは何のために行うのか?』
というと、装用感を良くしたり、光学中心のズレを直すなどの意味があります。

その際、傾斜角やそり角、頂点間距離(眼とレンズの距離)などが変わることもありますが、
今回は、頂点間距離が変わった場合の度数変化について。

フィッティングをしない?

最近、フィッティングをせずにメガネを渡している店もあると聞きます。
もちろん、フィッティングを行う必要がない場合もありますが、
見た目にも、体感的にもズレていると感じる場合は、フィッティングが必要です。

眼鏡専門店の場合、『見え方や掛けた感じなどはどうですか?』と聞くと思いますし、
『落ちる感じがする』『違和感がある』『痛い』『もっと締めた方が良い』など、
要望を伝えてもらえたら、フィッティングで調整してくれると思います。

ただ、メガネは渡した時点では慣れていないので、
数日間、使ってもらい慣れてからフィッティングする場合もあります。

フィッティングをすると、レンズ度数が変化する?

フィッティングした場合、頂点間距離(目とレンズの距離)が変化することがあります。
当然、頂点間距離が変化すると、レンズ度数も変化します。

ただ、ある程度は許容範囲と思いますし、
そもそも、検査時の仮枠と実際のフレームでも頂点間距離が異なるので、
気にする程ではないと考えてます。

例えば、レンズは頂点間距離を12mmを基本とすることが多いため、
頂点間距離12mm、ー10Dのメガネがあるとします。

フィッティングにより、頂点間距離10mmとなった場合、
2mm分だけ度数が変化することととなります。

DA=新しい度数、DB=元の度数、
LA=元の頂点間距離(m)、LB=新しい頂点間距離(m)とすると、

公式としては、
DA=DB/{1-(LA-LB)×DB}
となります。

DA=-10/{1-0.002×(ー10)}
  =-10/1.02
  =9.8039・・・・・・D

となります。

逆に、頂点間距離を狭めて、8mmになった場合、
DA=-10.2040・・・・・D

となります。

このように、強度近視や強度遠視の場合、頂点間距離が少し変わるだけで、度数が変化します。

度数が-0.25D単位なため、強度近視や強度遠視でさえ、1段階まで変わるかどうかなので、
レンズの度数が過矯正などでない限り、許容範囲とは、個人的には思います。

ただ、たった数mmの違いで、大きく変化することがあるため、
加工時に0.1mmの精度を気にするわけです

最初から数mmズレてても良いと考えていればズレも大きくなるし、
0.1mmの精度を気にすれば最終的なズレも小さくてすみます。

近視や遠視が弱かったら?

近視や遠視が弱かった場合の度数変化も計算してみます。

先ほどの計算式では、-10Dとしたので、-1Dで考えてみます。

その結果は、
12mmの時にDA=-0.998・・・・・D
8mmの時にDA=-1.002・・・・・D

強度の場合よりも度数変化は小さくなり、
ほとんど影響は少ないのではないかと思います。

ただ、体感的には大きく変化したような感じがすることもあり、
これについては、個々人の感覚によるものと考えます。

メガネを作製するにあたり、機械による他覚検査よりも、
仮枠などを用いてヒアリングしながら行う自覚検査を重視するのも、
単純な自動測定ではわかり得ない部分があるからになります。

フィッティングによる度数変化は気にしなくて良い?

フィッティングによる度数変化については、お客様は気にしなくて良いと思います。
というのが、眼鏡店の方が気にしているからです。

フィッティングに限らず、検査も、加工も、
どういう風にしたら、どう変化するなど、大まかにでもイメージを持ちながら、
行っています。

ただ、その人の感覚になれるわけではないため、
『これで問題ないはずです』とは絶対に言わず、
『どうですか?』『大丈夫ですか?』『違和感はないですか?』と確認します。

理論や理屈で合っていたとしても、それが必ずしも正しいわけではないので、
ヒアリングが大事になります。

目を大きく(小さく)する方法?

近視の方の中には、目が小さく見られることを気にされる方もおられます。

それを解消する方法として、フィッティングにより、
頂点間距離(眼とレンズの距離)を狭める場合もないことはないです。

ただ、そのためだけに行うのはどうかなと思います。

例えば、完全矯正値で測定し、その度数でメガネを作製した後に、
頂点間距離を狭めた場合、過矯正になる可能性も出てくると考えます。

そのため、そういう要望があるなら、眼鏡作製前に事前に言ってもらわないと、
眼に負担がかかることもあると思うので、
測定時にでも『強度近視なので、目が小さくなるのが気になる』
ということを伝えておけば、フレームと合わせて考えてくれると思います。

まとめ

フィッティングによる度数変化などは、元の度数によっても異なります。
様々な面で、眼鏡店側で調整してくれるので、
お客様には体感的に感じたことを伝えてもらったら良いと思います。

次は、『遠近レンズと中近レンズ、近々レンズの違い?』について

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豊福祐史
専門家

豊福祐史(眼鏡小売店)

株式会社とらや眼鏡店 メガネのとらやG-room

顧客の要望や好み、ライフスタイルに合った納得の眼鏡をお勧めしています。仕入れでは、フレームのデザインはもちろん、細かい点までもチェック。視力測定や加工などは、国家資格の1級眼鏡作製技能士が対応します。

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