フレームの材質について(その他、自然由来の素材)
今回、福井県鯖江市にある『増永眼鏡』の工場を見学させていただきました。
日本製眼鏡といえば福井県鯖江市
よく『鯖江市で作られた眼鏡』と言われますが、
日本製であれば、97%以上は福井県鯖江市になります。
つまり、数千円でも、数万円でも、10万円超える眼鏡でも、
日本製のメガネフレームであれば、鯖江で作られたものがほとんどです。
また、鯖江市には数百社以上の眼鏡関連会社があると思いますが、
どこで作られているか、どういう工程で作られているか、何にこだわっているのかなど、
その背景を含めて知らないと、なかなかお客様に伝えられないなと考えます。
眼鏡工場に限らず、多種多様な業種の製造工場を見てきて思うのは、
同じ素材でも、作り方によっては、品質に雲泥の差はでるという点は同じだなと思います。
増永眼鏡といえば
増永眼鏡は世界的に評価の高いアイウェアブランド『MASUNAGA』の会社であり、
福井県鯖江市を眼鏡の産地にした発祥の会社です。
明治時代の当初は福井市にあったそうですが、鯖江市に移転し、
多くの職人を育てていったそうです。
育った職人には独立を推奨しており、その結果、多くの眼鏡関連会社が増えていったという話。
普通なら育てた職人は自社で囲いたいだろうけど、
自社の利益より地域の産業や経済に貢献にするという方針だったのかなと。
福岡県でも似た話はあるけど、昔の人たちがどれだけすごかったのかを知る機会になりました。
製造工程について
福井県鯖江市は、フロント・テンプル・クリングス・パッド・智・鎧など、
パーツごとに会社が違う『分業』が主流。
その中で、増永眼鏡は自社一貫製造の珍しい会社になります。
製造工程は200~300工程あるそうです。
工程数については、数分で終わる工程もあれば、数時間~数日かかる工程もあると思うので、
目安にしかならないですが、1本作るのに3~6ヶ月程かかるそうです。
作業状況と製造の精度
大雑把にできる部分は機械で製造されているものの、
細かい作業については職人による手作業が多くありました。
職人など、製造に関わる方が作業状況を見ると、わかると思うけども、
機械化して簡単にとはいかないと思います。
例えば、各パーツや色の組み合わせでデザインを増やす場合、大量生産は可能と思います。
ただ、『MASUNAGA』に限らず、このクラスのブランドは、デザインも多種多様で、
精度も0.01mmと厳しいものであるため、数値のパラメータだけでは不十分なため、
そのような機械化は難しいかなと。
0.01mm精度というとかなり厳しいと感じますが、レンズを入れる場合、
多くの眼鏡専門店では0.1mm精度で気にしていると思います。
そのくらい気にしないと、最終製品のメガネになった際に、
1mm以上ズレてしまうことがあります。
PD(瞳孔間距離)が0.5mm精度で合わせるため、
逆算するとフレームの精度はそれくらいないといけないのかなと。
自分達、眼鏡専門店も、レンズの微調整のため、
機械ではなく、手刷りすることはよくあります。
特に良かったと思うこと
会社の歴史や背景、工程、製造の手法・IP・メッキ・塗装などのメリットやデメリットなど、
様々な部分を見せていただき、多くのことを学ぶことができました。
その中で、特に良かったのは、研磨工程でした。
『MASUNAGA』を初めて手に取って思ったことは、表面の触感が違うこと。
その理由は、研磨工程を見て、よくわかりました。
もちろん、『MASUNAGA』に限らず、トップクラスのブランドでは、
それぞれにこだわりがあり、特長があります。
研磨工程だけ見ても、各ブランドの製造工場が独自で異なる手法を使っている場合もあり、
動画やHP、教科書などだけでは分からないことが多かったと感じました。
まとめ
増永眼鏡の社是に、
『当社は、良いめがねをつくるものとする。
出来れば利益を得たいが、やむを得なければ損をしてもよい。
しかし常に良いめがねをつくることを念願する』
とあります。
正直なところ、今の時代は、コスパという言葉が、
『性能や満足度に対する価格』ではなく、『コスト重視』になっている部分が強いと感じます。
価格が安いから悪い、高いから良いでもなく、
自分自身が望んだ性能・満足度と、価格のバランスが良いものが
コスパが良いと思います。
お客様自身が自分が望んでいるものが、
価格なのか、品質なのか、価格と品質のバランスなのか、
それぞれで違うはずなので、安価な商品だけでなく、こういう技術力が高い会社は、
良品を作り続けてもらいたいと思いました。
次は、『ジャポニスムやベセペセなどのブランドを立ち上げたボストンクラブ』について