水面下が見える偏光レンズ
累進レンズ、いわゆる遠近レンズを初めて使うと、
『きつい』『疲れる』『違和感が強い』など、様々な問題があります。
少なくとも2~3日、長くて1週間くらいは慣れるまで掛けてもらってます。
ただ、累進レンズがどうしても苦手という方、特に数本作って駄目だった方に関しては、
『中心がズレている』『度数が合っていない』
『求めている見え方に対して設計グレードが低すぎる』『加入度が強すぎる』
などの問題があることが多くあります。
今回は、『加入度が強すぎる』、具体的には
『初めての累進レンズで加入度を2.25D以上入れると?』ということについて。
加入度とは?
加入度とは、いわゆる老眼の度数と考えてもらうとわかりやすいと思います。
眼は毛様体筋を緊張させ、水晶体を膨らませることで、近くを見ることができます。
どこまで近くを見られるか、その力を調節力といいます。
この調節力は年齢とともに低下していき、それを老眼(老視)といいます。
この低下した調節力を補うためのレンズ度数が加入度ADDとなります。
加入度を強くいれると?
初めて累進レンズを入れる場合、加入度2.00D以下にすることが基本となります。
累進レンズは累進帯長の間で度数が変化します。
この累進帯長は当店の場合、14mmのものを使うことが多いですが、
中近レンズなら20mm、短累進なら9~11mmなど、状況によって使い分けます。
この度数変化を坂道に例えるとわかりやすいと思います。
加入度(標高)が上がっていくほど、また累進帯長(距離)が短い程、
斜面角度が急になり、きつくなっていくイメージになります。
累進帯長と加入度を、距離と標高に換算して例えてみると?
以下は、累進帯長14mm=距離1.4km、加入度1.00D=100mと置き換えた、
あくまでも例え話で、実際の累進レンズの疲れやきつさとは無関係ですが、
こういう違いがあると、イメージとして認識してもらえたら。
度数が標高、累進帯長を距離と例えた場合、
坂道の距離が1.4km(累進帯長)あるとして、標高が100m(ADD1.00D)とします。
すると、角度が約4度。
これが200m(ADD2.00D)の場合、角度が約8度になります。
250m(ADD2.50D)の場合、角度が約10度になります。
約4~8度の坂を1.4km歩くことは、意外に普通に行けるかもしれません。
でも、約10度の斜面といえば、初心者用のスキー場の斜面と同じくらいの坂になると思います。
つまり、初めての累進レンズで加入度2.00Dより強く度数を入れた場合、
運動していない人に、いきなり初心者用といえど、
スキー場の斜面を登らせているのと同じと考えたら、
ADD2.00Dを超えて入れたらきつくと感じる場合があるとわかると思います。
ADD3.00D必要であったとしても、遠くの見え方または近くの見え方を犠牲にして、
慣れることから始め、慣れてきた後にレンズを入れ替える方が無難と思います。
ただし、年齢によっては加入度が強くても慣れる方もおられるため、
求められる見え方があり、テストレンズで問題ない場合は、提案することはあります。
初めての累進レンズだけど、処方箋でADD2.25以上?
処方箋の場合、なにかしらの理由があって、その度数に決められているため、
眼鏡店では勝手に度数を変更できません。
初めての累進レンズで2.25D以上の場合、その加入度でも問題ないと判断されているはずです。
病気のためか、生活のためか、慣れると判断されたのかは、
診断された先生に聞いてみないとわかりませんが、何かしらの理由があるはずです。
また、丁寧な眼科の先生は
『初めての累進(遠近)なので、テストレンズで確認後、必要ならば変更してください』と
備考に書かれている場合もあります。
眼鏡店ではその理由を確認する術がないため、
疑問がある場合は、診断された際に、聞いてみると良いと思います。
まとめ
・累進帯長が短い程、度数(S、C)や加入度が強い程、歪みが大きくなる
・累進レンズはADD2.00以下にした方が良い
・まずは累進レンズに慣れることが重要
・処方箋は変えることができないので、疑問があるなら眼科医へ。
次は、『累進レンズは何歳から?』について