ステンレス製の時計とチタン製の時計

衞藤憲太郎

衞藤憲太郎

テーマ:時計メンテナンスの知識

ステンレスシンク
ステンレスは、
ステイン:Stain 汚れ・サビ
レス:less ~ない
という意味です。文字通り解釈すれば「錆びない金属」ということになります。
確かに他の合金鋼に比べれば格段にサビない金属です。プロの調理場ではピカピカに磨き上げられたステンレス製のシンクや調理器具が多くみられるようです。

ステンレスの長所と弱点

(1)ステンレスは空気中の酸素と触れることにより、酸素と結合してごくごく薄い皮膜を形成してサビを防いでくれます。
傷などでこの皮膜が欠損してもすぐ再生してくれます。
でも! 逆にいえば 汚れが付着したままですと酸素と触れることが出来ず皮膜が形成されません。
キッチンなど 汚れを放置しているとサビが出来てしまうのがその結果です。

(2)酸やアルカリには強いが、塩素には弱い。
塩素を含む汗や海水はステンレスに付着したままにしないように心がけてください

(3)ステンレスは他の金属と接続するとサビてしまう性質があります。
ステンレスのシンクに空き缶を置いてたら 缶の跡が残ったりしたことはないでしょうか?

チタン製の時計バンドの問題点

最近は腕時計の金属ブレスレットにチタンが使用されているものが多く出回っています。
軽くて、強くて、アレルギーを起こしにくいという性質は腕時計のブレスレットやケースにピッタリです。
ステンレスと同じように皮膜を形成しサビに強い性質をもっています。
ところがチタン製のブレスレットの場合 強度確保の為に連結部分に使用されているピンはステンレスである場合が多いのです。
ここで (3)の性質を思い出してください。
チタン+ステンレス+水分(汗等)→他の金属との接触→サビやすい

人間に長所と欠点があるように、腕時計もデザインや材質によってウィークポイントがあります。
チタン製のバンドをご使用中の方は軽くて強い性質メリットがある反面、ピンがサビてしまうリスクがあることを覚えておいてください。
一定期間毎にバンドピンのチェックや交換をされることをお勧めします。
ピンが錆びてしまいバンド交換が出来なくなったり、ピンが折れてバンドが外れてしまう危険性があるからです。

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衞藤憲太郎
専門家

衞藤憲太郎(時計修理技能士)

株式会社ハナブサ

時計の寿命を延ばすビフォーケア(事前のケア)として「分解掃除を伴わない時計クリーニング」を提唱し10年。壊れていない時計のメンテナンスまで受付出来るのは、しっかりとした修理技術の裏付けと豊富な経験値が

衞藤憲太郎プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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