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コラム

円安傾向により変動金利から【フラット35】への借り換えが増えるかもしれない

2022年4月23日

テーマ:住宅ローン選び

コラムカテゴリ:お金・保険

コラムキーワード: 住宅ローン 借り換え住宅ローン 固定金利

円安ドル高の傾向と住宅ローンの変動金利

連日報道されているとおり、外国為替市場では円安ドル高の傾向が続いています。
大きな原因の一つはアメリカが政策金利の引き上げを決めたことによって日本との金利差が広がったことにありますが、数日後には1ドル130円を突破して更に円安傾向が続くことも予想されます。そしてこの状況が続くと日銀が政策金利を上げる可能性が考えられます。
しかし経済の専門家の間では、ずっと異次元の金融緩和を続けてきた黒田総裁が任期満了を迎える前に政策転換をすることは考えにくい、政策金利の引き上げがあるとすれば来年以降ではないか?との見解もあります。
いずれにせよ日本で政策金利の引き上げがあれば、住宅ローンの変動金利が上がるリスクも考えなければなりません。

変動金利の仕組みをあらためて理解することが重要

ではこれからの変動金利はリスクがあるのでしょうか?
ここで、現在変動金利で住宅ローンを返済中の人、これから住宅ローンを変動金利で取り組むことを考えている人、両方とも変動金利の仕組みをあらためて理解することが重要だと言えます。

変動金利は毎年2回、多くの金融機関では4月1日と10月1日に金利を見直し、それぞれ7月と1月の返済から適用されます。
しかし元金と利息を合わせた返済額が変更されるのは、5年に1度です。
金利が上がったからといって、すぐに返済額も上がるということではありません。
返済額が変わらない間に金利が見直されたら、同じ返済額の中で元金と利息の内訳が変わります。
このようなイメージだと思ってください。

金利見直しイメージ
しかし見直しによって金利が上昇してその状態が続くと、元金の返済ペースが当初の予定よりダウンしてしまいます。
そのペースを取り戻すために5年に1度、返済額が見直されるのです。
しかし金利が上昇したことによって返済額を見直す際、新たな返済額は「従来の返済額の1.25倍まで」というルールがあります。
例えば従来の返済額が8万円の場合、見直し後の返済額は最大で10万円までということになります。
この金利上昇リスクは、返済する人の収入状況やライフイベント、また将来の返済計画によって様々です。
これからの変動金利に不安を感じる人の中には、現在返済中の人なら全期間固定金利の商品に借り換えたり、新たに住宅ローンを取り組む人なら最初から全期間固定金利で取り組むことを考える人が増えるかもしれません。

変動金利から全期間固定金利【フラット35】への借り換え

【フラット35】なら全期間固定金利なので、将来において市場金利が上がったとしても返済額が変わらないという安心感はあります。
ただし全期間固定金利は、変動金利に比べて金利が高いという大きなデメリットがあります。
現在の変動金利は、ネット銀行で約0.4%前後、都市銀行で約0.5%前後、福岡県内の地方銀行で約0.8%弱、というのが大体の相場です。
一方で今月の【フラット35】の金利は、返済年数20年超で言えば、融資率(総費用に対する借入金額の割合)が90%以下で1.44%、90%超で1.70%です。
新規で借りる場合は【フラット35S】や今年度新設された【維持保全型】の適用で、当初5年間ないし10年間の金利割引があるものの、それでも変動金利と比べると金利が高いということは否定出来ません。

しかし今は将来の金利上昇リスクが考えられるので、現時点で金利が高いのは保険だと思って【フラット35】を検討する人の増加が予想されます。
現在変動金利で返済中の方でも【フラット35】への借り換えを検討する人が出てくるものと考えられます。
しかし借り換えをすると安心感を得られる反面、返済額は間違いなく今より上がります。
どれくらい上がるのか、ここで簡単なシミュレーションをしてみましょう。

フラット35への借換えシミュレーション
このケースだと毎月の返済額が約8,000円ほど上がりますが、これは将来も返済金額が変わらない「安心感に対する保険」だと考えるしかありません。
ただし変動金利が上昇したとしても上昇幅がさほどなければ、その差額は「保険料」としてはかなり高いものとなってしまいます。
そして借り換えをすれば、フラット35の融資手数料や登記費用などの諸経費がかかります。
フラット35の融資手数料は窓口機関によって異なりますが、このケースだと諸経費として70万円以上かかる場合もあります。
それを借り換えをする際の融資額に含めることも出来ますが、そうすると毎月返済額が更に約2,000円ほど上がるでしょう。

現在変動金利で返済中で、将来の返済額上昇にどうしても不安がある人の中には【フラット35】への借り換えを検討する人が出てくるかもしれませんが、そのようなデメリットを十分に理解してください。

リーマンショック以降の変動金利

2008年のリーマンショック以降、住宅ローンの変動金利の推移は多くの金融機関で変わっていません。
リーマンショックから現在まで「自民党と民主党の政権交代」「東日本大震災」「アベノミクスによる株価上昇」「新型コロナ問題」など、日本経済に影響を及ぼす出来事がいくつもありましたが、異次元の金融緩和政策が続いていることから変動金利には変化がありませんでした。
しかし今の円安ドル高傾向が続けば、来年あたり政策金利と変動金利にいくらかの上昇がある可能性は否定できません。

まとめ

個人的な見解を言えば、円安ドル高とはいえ賃金が上がらず物価だけが上昇する現在の状況で、変動金利が今の全期間固定金利に追いつく、または追い越すほどの金利上昇があるとは考えにくいと思っています。
よって現在変動金利で返済中の人でも
・家計状況において現在の返済額はまだ余裕がある
・今後数回にわたって一部繰上返済を計画している
・固定金利への借り換えで間違いなく返済額が上がったり諸経費がかかることに抵抗がある
などの人は、変動金利のままでも良いかもしれません。

ただしこれから住宅を購入し、住宅ローンを変動金利で取り組む予定の人は、金利上昇リスクを避けるために以下の事柄に注意することをおすすめします。
・変動金利の仕組みを十分に理解して取り組むこと
・家計状況においてぎりぎりの返済額になるまでの借入をしないこと

今後の円安ドル高傾向次第では、住宅ローンの変動金利に影響を与える可能性があることは否定できませんので。

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