問題を根本から解決するために親だからこそできること
家族の機能がはたらいていますか?
【機能不全家族】という言葉があります。
この意味は、
「家族機能が適切にはたらかず、問題解決能力が低いので、
家族の発達的、状況的危機に際して、的確な対応ができない家族」
ということです。
子どもは常に変化しています。
だから、次から次へと、これでもか、これでもかというほど
問題をもってきてくれます。
親としては、その都度、それに対して適切な対応が取れて
いかなければなりません。
しかし、どうすればいいかと考えあぐねることも少なくありません。
無力を悟る
こういった場合、つい方法論、技法にとらわれてしまいがち
ですが、どういう行動を起こすかという、その行動の
精度(適、不適)を決めるのは、その問題に向き合う態度と、
姿勢なのです。
態度・姿勢を左右するのは、かねての心がけと心がまえです。
子育てにおいては、最も心がけなければならないことは、
コントロール幻想を捨てるということではないでしょうか。
つまり、無力さを知るということです。
私たち親は、つい期待という鎖でわが子を縛ってしまう
ことがあります。
わが子が自分の意のままにならぬことをすっかり忘れ、
意のままにコントロールしてしまおうとしてしまいがちです。
これは親の慢心です。
だから、無力さをしっかり自覚する必要があります。
「お蔭さまで」の感謝の心
そのためには、謙虚さを養うことが大切です。
わが子に対しても、慎み、敬う姿勢をもつことです。
一人の人間として、人格、存在を尊重することです。
わが子とは言っても、わがものに非ず。
決して所有物にしてしまわないことです。
謙虚さを養う訓練として私がお薦めしているのは、
「お蔭さまで、ありがとうございます」を日常的によく使うことです。
私たちは、何ひとつ自分の力だけでやれることはありません。
見えないところ(蔭)で、支えてくれている人がいて成すことが
できています。
だから有り難いことですし、「お蔭さま」なのです。
心がけること
適切な行動をとれるようになるためには、「受容」することが
最初の入口です。
その受容ができるためには、何事からも学ぶ姿勢が求められます。
そのためには、常に成長・上達を心がけておくということです。
より困難な問題、課題を抱えた時ほど、そこから学ぶものは大きいものです。
でも、学ぼうという姿勢がなければ、ただただ悔いて、
グチや恨み言を吐くことになります。
感謝の心がまえ
心がまえとしては、先ほど言ったように、知らないところでも
誰かのお世話になっているのが実情ですから、その恩に報いる
報恩感謝の心がまえをもってことにあたることです。
報恩感謝なんていささか古いでしょうか?
「恩」という概念は、日本独特のもので英語には訳せる言葉はないそうです。
なんでも「契約」のお国柄ですからね。損得が基準です。
昔の日本人は、口約束でも守りました。
あたりまえのことです。
ブラジルには、「ジャポネーズ・ガランティーノ」という言葉があるそうです。
日本人の移民が多いのですが、「日本人は保証付き」
という意味合いだそうです。
律儀に約束を守る日本人への信頼を表わしているのです。
日本って素晴らしいですね。
さて、現代の日本人はいかがでしょうか?
「恩に報いる」古くても大切な姿勢です。
「子はかすがい」と昔から申しますが、調律師と表現した方が
より相応しいと思います。
家庭のバランスの崩れをいち早くキャッチし、調和させようと
してくれています。
絶妙なハーモニーを奏でられるよう調律してくれるのです。
しかも、ある時は自分を犠牲にしてでも実行してくれます。
ありがたいではないですか。
わが子に感謝が必要ですよね。
大切なことに心を向ける
心がけと心がまえができたら、あとは行動の方向を決める心向けです。
常にどこへ心を向けているかです。
つまり、価値観です。
どこに重点を置き、重心を定めるのか。
重点の置き所で、優先させるものが決まってきます。
【機能不全家族】は、問題解決能力が低いとありますが、
何を問題とするのか、どの方向へ解決すればよいのかを判断するのも、
この価値観です。
価値観次第で、問題解決にあたって優先させるものが違い、
誤った解決策が講じられてしまうこともでてきます。
問題に向き合う態度としては、受容するか、目をそらすか、
固まってしまうか(フリーズ)です。
これらの態度を左右するのが、心がけ、心がまえ、そして心向け
なのです。