【第16回】生成AIを「壁打ち相手」にする方法

生成AIが登場してから、よく耳にする言葉があります。
「これからはAIを使える人と、使えない人で大きな差がつく。」
確かに、そうかもしれません。
生成AIを使えば、文章作成や情報整理、企画立案など、さまざまな仕事を効率化できます。
一方で、AIを使わなければ、これまでと同じように時間をかけて仕事を進めることになります。
では、AIを使っている人は、使っていない人より必ず優秀なのでしょうか。
私は、そうは思いません。
むしろ、もっと大切な違いがあると考えています。
それは、
「新しいものを、自分の仕事や生活にどう取り入れていくか」
という姿勢です。
今回は、AIを使う人と使わない人の間に生まれる、本当の差について考えてみたいと思います。
AIを使っているだけでは差はつかない
例えば、二人の会社員がいたとします。
一人は毎日ChatGPTを使っています。
もう一人は、ほとんど使っていません。
では、毎日使っている人の方が、必ず仕事ができるのでしょうか。
そうとは限りません。
AIに文章を作ってもらい、そのまま提出する人。
一方で、自分の頭で考え、時間をかけて丁寧な文章を作る人。
どちらの仕事の質が高いかは、内容によって変わります。
AIを使っていても、内容を確認せず、間違った情報をそのまま使ってしまえば、かえって問題になることもあります。
つまり、
「AIを使っていること」と「AIを上手に活用していること」は違う。
ここを混同してはいけないと思います。
差が生まれるのは「試してみる人」
私は65歳になった今でも、新しいことに興味があります。
生成AI。
Python。
プログラミング。
新しいデジタル技術。
もちろん、分からないことばかりです。
新しいことを始めると、必ず壁にぶつかります。
「これはどういう意味だろう?」
「なぜ動かないのだろう?」
「さっきまでできていたのに……」
そんなことの繰り返しです(笑)。
でも、私はそれが面白いのです。
最初から何でもできる必要はありません。
大切なのは、
「分からないけれど、ちょっと試してみよう」
と思えるかどうか。
AIを活用するうえでも、この姿勢が大きな違いになると思います。
「知らない」と「やってみない」は違う
生成AIについて、
「難しそうだから使わない」
「自分には関係ない」
「若い人が使うものでしょう」
という声を聞くことがあります。
その気持ちも分かります。
私自身、新しい技術に触れるたびに、分からないことがたくさんあります。
しかし、
知らないことは、決して恥ずかしいことではありません。
今は使う必要がないと判断することも、一つの選択です。
ただ、興味があるのに、
「どうせ自分には無理だ」
と決めつけてしまうのは、少しもったいないと思います。
まず一度、触ってみる。
簡単な質問をしてみる。
自分の趣味について聞いてみる。
それだけでも、AIに対する印象は変わるかもしれません。
本当の差は、仕事の改善に現れる
私は長年、店舗運営や販売の仕事に携わってきました。
その経験から感じることがあります。
仕事ができる人は、必ずしも最新の道具を持っている人ではありません。
「今より良くするにはどうすればいいか」を考え続ける人です。
例えば、家電量販店の販売員なら、
お客様からよく質問される内容を整理する。
商品ごとの違いを分かりやすくまとめる。
接客でうまく説明できなかった部分を振り返る。
こうした改善にAIを活用できます。
しかし、AIに質問しただけで終わってしまえば、仕事はあまり変わりません。
得られた情報を実際の接客で試してみる。
お客様の反応を見る。
説明方法を修正する。
そして、また改善する。
この繰り返しによって、少しずつ差が生まれていくのです。
AIが優秀だから成果が出るのではありません。
AIを使って、自分の行動を変えられるかどうか。
私は、そこが重要だと思っています。
AIを使わない人にも強みがある
ここで、もう一つ考えておきたいことがあります。
AIを使っていない人が、時代遅れというわけではありません。
長年の経験。
専門的な技術。
人との信頼関係。
現場で培った判断力。
こうしたものは、AIを使っていなくても大きな価値があります。
例えば、長年の経験を持つ職人さん。
熟練した販売員。
子どもの小さな変化に気づく先生。
そうした人たちが持つ経験や技術は、簡単に置き換えられるものではありません。
私は、そうした人たちがAIを活用できるようになれば、さらに可能性が広がると思っています。
「AIの知識がある人」と「現場の経験がある人」。
どちらが優れているかではなく、両方を組み合わせることが大切なのです。
もう一つの差は「学び続ける力」
生成AIの世界は、変化が非常に速いと感じます。
少し前までできなかったことが、いつの間にかできるようになっている。
新しい機能が登場する。
使い方が変わる。
昨日覚えたことが、明日には古くなることもあります。
だからこそ、私は、
「一度覚えたら終わり」ではなく、「学び続けること」
が大切だと思っています。
ただし、すべての新機能を追いかける必要はありません。
自分の仕事や生活に役立ちそうなものを選び、少しずつ取り入れていけばよいのです。
大切なのは、知識の量よりも、新しいことを学ぼうとする姿勢です。
AIを使う目的を忘れない
私は、AIを使うこと自体が目的になってはいけないと思っています。
例えば、
「毎日ChatGPTを使っています」
というだけでは、何が変わったのか分かりません。
大切なのは、
「AIを使って、何ができるようになったのか」
ということです。
仕事の時間が短くなった。
お客様への説明が分かりやすくなった。
新しい知識を身につけられた。
今まで挑戦できなかったことに取り組めた。
そんな変化があれば、AIを活用する意味があります。
逆に、AIを使わなくても十分に成果が出ている仕事なら、無理に導入する必要はありません。
「AIを使うかどうか」ではなく、「何を実現したいのか」。
私は、そこを出発点にしたいと思っています。
Today's English Phrase
"Keep learning, keep growing."
(学び続けよう、成長し続けよう。)
今回のテーマにぴったりの英語です。
"Keep learning" は「学び続ける」。
"Keep growing" は「成長し続ける」。
という意味です。
AIの世界では、昨日まで知らなかったことを、今日一つ覚える。
今日できなかったことが、明日できるようになる。
そんな小さな積み重ねが大切だと思います。
私も65歳になりましたが、まだまだ学びたいことがたくさんあります。
"Keep learning, keep growing."
これからも大切にしたい言葉です。
最後に
AIを使う人と使わない人。
これから、その違いが話題になることは増えていくでしょう。
しかし、私は単純に、
「AIを使う人が勝つ」
「AIを使わない人は取り残される」
とは考えていません。
本当に大切なのは、
新しいことに興味を持つこと。
必要だと思ったら試してみること。
自分の経験と組み合わせること。
そして、学び続けることです。
AIは、私たちの能力を広げてくれる便利な道具です。
しかし、AIを使っただけで、誰もが成長するわけではありません。
AIが提案したことを、自分で考える。
実際に試してみる。
失敗したら改善する。
その経験を次に活かす。
こうした積み重ねによって、少しずつ本当の差が生まれていくのだと思います。
AIが人間を成長させるのではなく、AIを活用して人間自身が成長していく。
これも私が考える、
「ヒューマンAIバランス」
の一つです。
私はこれからも、新しい技術に興味を持ち、分からないことを学び、失敗しながら挑戦を続けていきたいと思っています。
65歳だから、もう遅い。
そんなことは思っていません。
むしろ、
「65歳だからこそ、まだ知らない世界を楽しみたい。」
そう思っています。
AIを使う人と使わない人の本当の差。
それは、AIの操作技術だけではなく、
「新しい可能性に向かって、一歩踏み出せるかどうか」
にあるのかもしれません。
次回は、
【第24回】AI時代に「経験」は古いものになるのか? ― ベテランの価値を考える
について考えてみたいと思います。
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