【第5回】 生成AIを使っている人・使っていない人の「小さな差」が、1年後に大きくなる理由

生成AIが登場してから、私たちの仕事の進め方は大きく変わり始めています。
文章を書く。
資料を作る。
情報を整理する。
企画のアイデアを考える。
これまで人間が時間をかけて行っていた仕事の一部を、AIが短時間で手伝ってくれるようになりました。
さらに最近では、AIエージェントという仕組みも注目されています。
人間が一つひとつ指示するだけでなく、AIが目的に沿って複数の作業を進めることも可能になってきました。
これは本当にすごい進化だと思います。
でも、私はここで一つ疑問を感じています。
「AIに仕事を任せて時間ができたら、人間は何をするのでしょうか?」
今回は、このことについて考えてみたいと思います。
AIで仕事が早く終わる。それでどうする?
例えば、これまで3時間かかっていた資料作成が、AIを使うことで1時間になったとします。
2時間の余裕が生まれます。
素晴らしいことです。
ところが、その2時間で何をするのでしょう。
さらに多くの資料を作る。
別の仕事を増やす。
もっと忙しく働く。
もちろん、それも一つの選択です。
しかし、それだけでは少しもったいない気がします。
「仕事を早く終わらせること」と「仕事を良くすること」は、必ずしも同じではありません。
私は、ここにAI活用の本当の意味が隠れているように思います。
私が店長だった頃を思い出す
私は長年、店舗運営や店長の仕事に携わってきました。
店長の仕事は、本当に多岐にわたります。
売上管理。
在庫管理。
スタッフの勤務管理。
販売計画。
報告書の作成。
そして、お客様への対応。
毎日、やることが山ほどあります。
もし当時、今のような生成AIがあったらどうだったでしょう。
売上データの分析。
販売計画のたたき台。
会議資料の作成。
スタッフ教育の教材作成。
こうした仕事をAIに手伝ってもらえたはずです。
では、そこで生まれた時間を何に使うのか。
私は迷わず、こう答えます。
「もっと売場に出る。そして、スタッフやお客様と話す。」
人間にしか見えないものがある
例えば、売上データをAIに分析してもらう。
「この商品の売上が落ちています」
「この時間帯の販売が弱いです」
そんな分析結果が出てくるかもしれません。
でも、売場に立ってみると、数字だけでは分からないことがあります。
お客様が商品を手に取って、すぐに戻している。
スタッフが忙しそうで、声をかけるタイミングを逃している。
売場の案内表示が分かりにくい。
こうしたことは、現場を見て初めて気づく場合があります。
もちろん、AIも映像やセンサーなどの情報を分析できます。
しかし、現場で何を大切にし、どのように行動するか。
そこには人間の経験や判断が必要です。
私は、AIによって時間が生まれるなら、
「数字を見る時間を減らす」のではなく、「数字の向こうにいる人を見る時間を増やす」
ことができれば素晴らしいと思います。
マーケティングでも同じこと
私はマーケティングについても、同じことが言えると思っています。
AIを使えば、市場調査や競合分析、広告文章の作成などを効率化できます。
しかし、マーケティングの本質は何でしょう。
私は、
「お客様が何を求めているのかを理解すること」
だと考えています。
AIが分析したデータを眺めるだけではなく、実際のお客様の声を聞く。
何に困っているのか。
何を期待しているのか。
購入した後、どんな生活を送りたいのか。
こうしたことを考える時間にこそ、AIによって生まれた余裕を使いたいものです。
AIに分析を任せる。
そして人間は、お客様への理解を深める。
私は、この組み合わせが理想的だと思います。
教育の現場でも考えてみたい
教育でも、生成AIの活用が進んでいます。
教材の作成。
問題の作成。
授業計画の検討。
学習内容の整理。
こうした作業をAIが支援することで、先生方の負担を軽減できる可能性があります。
では、そこで生まれた時間を何に使うのでしょう。
私は、子どもたちと向き合う時間を増やせたら素晴らしいと思います。
勉強が分からなくて困っている子。
なかなか自信を持てない子。
何かに夢中になっている子。
一人ひとりの話を聞き、成長を見守る。
AIが教材づくりを手伝い、人間の先生が子どもと向き合う時間を増やす。
これもAI活用の大きな可能性ではないでしょうか。
AIに任せることは、手を抜くことではない
私は、ここも大切だと思っています。
AIを使って仕事を早く終わらせることに、抵抗を感じる人もいるかもしれません。
「自分でやらないと勉強にならない」
「AIに任せるのは手抜きではないか」
そんな考え方です。
確かに、学ぶために自分で取り組むことが必要な場面もあります。
しかし、仕事のすべてを人間が最初から最後まで行う必要があるのでしょうか。
例えば、電卓を使うことを手抜きとは言いません。
パソコンで資料を作ることも、手抜きではありません。
生成AIも同じように、目的に応じて活用すればよいのだと思います。
ただし、AIが作ったものを確認せず、そのまま使うことは別の問題です。
作業を任せても、仕事の責任まで任せるわけではありません。
ここは忘れたくありません。
生まれた時間を「新しい挑戦」に使う
私は65歳になった今でも、新しいことを学んでいます。
Python。
プログラミング。
英会話。
生成AIの新しい活用方法。
正直、若い頃のように何でもすぐ覚えられるわけではありません(笑)。
でも、学ぶことは楽しいものです。
AIのおかげで、分からないことを調べたり、学習の計画を立てたりすることが以前より簡単になりました。
だからこそ、私はAIで生まれた時間を、さらに新しいことへ挑戦するために使いたいと思っています。
そして、仕事だけではありません。
家族との時間。
趣味の時間。
健康のための運動。
何もしないで、ゆっくり考える時間。
そうした時間も大切にしたいものです。
AIによって生まれた時間を、また仕事だけで埋める必要はない。
私はそう思っています。
「何をするか」を決めるのは人間
AIは、いろいろなことを提案してくれます。
効率的な仕事の進め方。
売上を伸ばす方法。
新しい学習計画。
時間の使い方。
でも、最終的に、
「自分は何をしたいのか」
「何を大切にしたいのか」
を決めるのは自分自身です。
例えば、AIによって1時間の余裕が生まれたとします。
その1時間を使って、新しい仕事に取り組む。
家族と過ごす。
勉強する。
散歩する。
どれが正解というわけではありません。
大切なのは、
「AIが何をしてくれるか」だけでなく、「自分が何をしたいか」を考えること。
なのだと思います。
Today's English Phrase
"Make time for what matters."
(大切なことのために時間をつくろう。)
今回のテーマにぴったりの英語です。
"Make time" は「時間をつくる」。
"What matters" は「大切なこと」という意味です。
AIを使って仕事を効率化する。
そして、そこで生まれた時間を、自分にとって本当に大切なことに使う。
そんな考え方を表す言葉です。
私もこれから、
"Make time for what matters."
を意識していきたいと思います。
最後に
生成AIは、これからますます進化していくでしょう。
人間が行ってきた仕事の一部を、AIが代わりに進める場面も増えていくと思います。
そのとき、私たちはどうするのでしょうか。
AIに仕事を奪われることを心配する。
AIに負けないように、もっと働く。
もちろん、そうした不安を感じることもあるでしょう。
しかし、私は少し違う方向から考えてみたいのです。
「AIに任せられることが増えたのなら、人間はもっと人間らしいことに時間を使えるのではないか。」
お客様の話を聞く。
スタッフの成長を支える。
子どもたちと向き合う。
新しいことを学ぶ。
家族との時間を楽しむ。
そして、自分の人生について考える。
AIが便利になればなるほど、人間にとって大切なことを、もう一度考える必要があるのかもしれません。
私は、AI活用の目的は単なる効率化ではないと思っています。
AIを使って、人間の仕事や暮らし、そして人生をより豊かにすること。
それこそが、本当に目指したいAI活用ではないでしょうか。
AIに任せることは任せる。
人間がやるべきことは、人間がやる。
そして、AIによって生まれた時間を、自分にとって大切なことに使う。
これも私が考える、
「ヒューマンAIバランス」
の一つです。
AIが何でもできるようになったとしても、
「自分は何をしたいのか」
この問いだけは、これからも自分自身に問い続けたいと思います。
次回は、
【第23回】AIを使う人と使わない人、本当の差はどこに生まれる?
について考えてみたいと思います。
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