【第13回】「勉強」とは何か ― なぜ私たちは勉強するのか

佐々木康仁

佐々木康仁

テーマ:教育・ICT教育


「どうして勉強しなければならないの?」

子どもから、こんな質問をされたことはありませんか。

「将来のためだよ」
「良い学校に入るためだよ」
「大人になったら役に立つから」


私たち大人は、そんな答えを返してしまいがちです。

しかし、子どもから、

「じゃあ、この勉強は将来何に使うの?」

と聞かれたら、どう答えればよいのでしょうか。

私自身、子どもの頃は勉強が得意な方ではありませんでした。

決して勉強が嫌いだったわけではありません。

ただ、なかなか理解できないこともありましたし、何のために勉強するのか分からないこともありました。

そんな私が65歳になった今、生成AIやプログラミング、英語など、新しいことを学んでいます。

不思議なものです。

子どもの頃には分からなかった「勉強する意味」が、今になって少しずつ分かってきたような気がします。

今回は「勉強とは何か」について考えてみたいと思います。

勉強はテストのためだけにするものなのか

学校で勉強していると、どうしてもテストの点数が気になります。

100点を取れば褒められる。
点数が悪ければ落ち込む。
成績が良ければ評価される。


もちろん、テストには学習の理解度を確認するという大切な役割があります。

しかし、勉強の目的がテストの点数だけになってしまったら、どうでしょう。

テストが終われば忘れてしまう。
試験に出ないことには興味を持たない。
正解を覚えることだけが勉強になってしまう。


私は、それでは少しもったいないと思います。

勉強とは、本来、自分の知らなかったことを知り、できなかったことができるようになるためのものではないでしょうか。

学校の勉強は本当に社会で役立つのか

「学校で習ったことなんて、大人になったら使わないよ。」

そんな言葉を耳にすることがあります。

確かに、学校で学んだ公式や歴史上の年号を、仕事で直接使う機会は少ないかもしれません。

しかし、学校で身につけたものは、知識そのものだけではありません。

文章を読み、意味を理解する力。
数字を使って考える力。
物事の原因を調べる力。
自分の考えを相手に伝える力。


こうした力は、社会に出てからも役立ちます。

私は長年、店長として店舗運営に携わってきました。

売上を分析する。
利益を計算する。
スタッフへ説明する。
お客様の要望を理解する。
問題の原因を考える。


これらの仕事には、学校で学んだ基礎的な力が関係しています。

例えば算数や数学。
売上、利益率、構成比、前年比。
店舗運営では数字を使って判断する場面がたくさんあります。

国語も同じです。
お客様の話を理解し、分かりやすく説明する。
スタッフへ自分の考えを伝える。
報告書を書く。

こうしたことには、文章を読み、考え、表現する力が必要です。

学校での勉強は、将来使う知識を覚えるだけでなく、社会で考え、行動するための土台をつくっている。

私はそう感じています。

勉強が苦手でも、学ぶ力がないわけではない

私は、ここを特に大切にしたいと思っています。

学校の勉強が得意な子もいれば、苦手な子もいます。

理解するまでに時間がかかる子もいます。

しかし、勉強が苦手だからといって、学ぶ力がないわけではありません。

機械の仕組みに興味を持つ子。
絵を描くことが好きな子。
料理をすることが得意な子。
人と話すことが好きな子。
スポーツに夢中になる子。


そこにも、たくさんの学びがあります。

好きなことなら、自分から調べる。
何度失敗しても挑戦する。
もっと上手になりたいと思う。


これは立派な学習です。

私は、「勉強が得意かどうか」と「学ぶことが好きかどうか」は、必ずしも同じではないと思っています。

だからこそ、学校の勉強が苦手な子どもにも、「自分には学ぶ力がある」と感じてほしいのです。

「分からない」が勉強の出発点

私は今、生成AIやプログラミングなどを学んでいます。

当然、分からないことばかりです。

専門用語が出てくる。
仕組みが理解できない。
プログラムが思ったように動かない。


そんな時、以前なら本を探したり、インターネットで何時間も調べたりしていたかもしれません。

しかし今は、生成AIに質問できます。

「小学生にも分かるように説明してください。」
「具体例を使って教えてください。」
「なぜこのようになるのですか。」


何度でも聞くことができます。

そこで気づいたことがあります。

勉強は、分からないことがあるから始まる。

ということです。

分からないことは、恥ずかしいことではありません。

むしろ「分からない」と気づくことが、次の学びへの入り口なのだと思います。

AIが答えを教えてくれる時代に、なぜ勉強するのか

ここで、今の時代ならではの疑問があります。

「AIに聞けば何でも答えてくれるのに、どうして勉強する必要があるの?」

確かに、生成AIは非常に便利です。

計算を手伝ってくれる。
文章を作ってくれる。
外国語を翻訳してくれる。
難しい内容を説明してくれる。


しかし、私はAIが普及するほど、基礎的な知識や考える力が大切になると思っています。

なぜなら、AIの答えが正しいとは限らないからです。

例えば、AIが売上の分析結果を出してくれたとします。

その数字が正しいのか。
分析の前提に問題はないか。
提案された方法が自分の店舗に合っているのか。


こうしたことを判断するには、人間にも知識と経験が必要です。

AIに質問するためにも、何を知りたいのかを考える力が必要です。

AIが答えを出す時代だからこそ、その答えを理解し、確かめ、使いこなすための勉強が必要になる。

私はそう考えています。

勉強することで選択肢が増える

では、なぜ私たちは勉強するのでしょうか。

私なりの答えの一つは、

「人生の選択肢を増やすため」

です。

知らなければ、選べないことがあります。
できなければ、挑戦できないことがあります。
しかし、新しいことを知ると、今まで見えなかった可能性が見えてきます。


私は65歳になった今も、新しい技術を学んでいます。

生成AIを学ぶことで、これまでできなかった仕事に挑戦できるようになりました。
プログラミングを学ぶことで、自分で仕組みをつくる可能性が広がります。
英語を学ぶことで、これまでより多くの人と交流できる可能性が生まれます。


勉強することは、必ずしも資格を取ることや収入を増やすことだけが目的ではありません。

自分の世界を広げること。
新しいことに挑戦すること。
そして、自分の人生をより豊かにすること。


それも勉強する大きな意味だと思います。

大人が勉強する姿を見せたい

私は、子どもたちに「勉強しなさい」と言うことだけが教育ではないと思っています。

むしろ、大人自身が学んでいる姿を見せることも大切ではないでしょうか。

親が新しいことに挑戦する。
先生が知らないことを調べる。
祖父母がスマートフォンやパソコンを学ぶ。


大人が、

「これは面白い!」
「こんなことができるようになった!」


と楽しそうに学んでいる。

そんな姿を見れば、子どもたちも勉強に対する見方が変わるかもしれません。

私自身、孫たちに伝えたいことがあります。

それは、

「勉強は学校を卒業したら終わりではないよ。」

ということです。

65歳になっても知らないことはたくさんあります。

だからこそ、まだまだ学ぶ楽しみがあります。

「勉強しなさい」より「何を知りたい?」

子どもに勉強してほしいと思うのは、親や先生として自然なことです。

しかし、

「勉強しなさい!」

と言われるだけでは、勉強が義務や苦痛になってしまうこともあります。

そこで、少し言葉を変えてみてはどうでしょう。

「何に興味があるの?」
「どうしてそうなると思う?」
「一緒に調べてみようか。」

興味を持つ。
疑問を持つ。
調べる。
考える。
試してみる。


そこから勉強が始まります。

もちろん、学校には苦手でも取り組まなければならない学習があります。

しかし、その中でも「なぜ学ぶのか」「何につながるのか」が分かれば、取り組む気持ちは変わるかもしれません。

勉強をさせることだけでなく、勉強したくなるきっかけをつくること。

それも教育の大切な役割だと思います。

勉強とは、自分の未来を広げること

ここまで「勉強とは何か」について考えてきました。

私は、勉強が得意な子どもではありませんでした。

しかし、大人になってさまざまな仕事を経験し、65歳になった今も新しいことを学んでいます。

そんな私が今、子どもたちに伝えたいことがあります。

それは、

「勉強は、誰かに評価されるためだけにするものではない。」

ということです。

テストで良い点数を取ることも大切です。

進学や資格取得のために勉強することも必要でしょう。

しかし、それだけではありません。

知らなかったことを知る。
できなかったことができるようになる。
今まで見えなかった世界が見えてくる。
そして、自分の可能性が広がっていく。


それが勉強することの素晴らしさではないでしょうか。

AIがどれほど進化しても、私たち自身が学ぶ意味はなくならないと思います。

むしろ、AIという新しい道具を手に入れたことで、学ぶ可能性はさらに広がりました。

勉強とは、自分の未来の選択肢を増やすこと。

そして、その勉強に年齢制限はありません。

65歳の私も、まだまだ勉強の途中です。

次回は、

【第14回】「考える力」とは何か ― AIが答えを出す時代に必要な力

について考えてみたいと思います。

Today's English Phrase

Learning opens new doors.
(学ぶことは、新しい扉を開く。)


勉強は、テストのためだけにするものではありません。

新しいことを知り、自分の可能性を広げるためのもの。

何歳になっても、新しい扉を開くことはできるのではないでしょうか。

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佐々木康仁(ITコンサルタント)

株式会社CNCコンサルティング

対面と非対面を組み合わせた独自のマーケティング手法、ChatGPTを活用するための基礎的な講習、小学校などでのICT教育支援を事業の柱とする。数々の職業を経験し“現場感覚”でサポートできるのが強み。

佐々木康仁プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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