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中村伸子

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中村伸子(なかむらのぶこ) / 弁護士

あおぞら法律事務所

コラム

薬の副作用被害救済制度/女性弁護士による法律相談@福岡

2013年8月21日 公開 / 2014年3月18日更新

テーマ:時事問題コラムjijico

コラムカテゴリ:法律関連

時事問題掲載サイトJIJICOに
「医薬品副作用被害者救済制度」で救済されるケースについて私が執筆した記事が掲載されました。
http://jijico.mbp-japan.com/2013/08/20/articles3792.html

薬は現在の医療において必要不可欠ですが、その使用に当たって万全の注意を払ったとしても副作用による健康被害を完全に防ぐことは困難です。しかし、これらの健康被害については民法によって損害賠償責任を追及していくことは難しく、多大の労力と時間を費やさなければなりません。

そこで、サリドマイドやスモンなどの医薬品の副作用による大規模かつ重大な健康被害が相次いだことをきっかけに、1980年(昭和55年)、「医薬品副作用被害者救済制度」が創設されました。この制度による救済の対象となるのは、以下の8つの要件を満たした場合です。

救済の対象となる8つの要件

①医薬品であること。医薬品とは、「厚生労働大臣の許可を受けた医薬品」とされていますので、病院・診療所で投薬された薬のほか、ドラッグストアなどで購入した市販のものも含まれます。最近、化粧品による白斑の健康被害が出ていますが、化粧品は医薬品には含まれていませんので、この制度による救済の対象にはなりません。

②適正な目的で適正に使用したこと。医薬品の容器あるいは添付文書に記載されている用法・用量及び使用上の注意にしたがって使用されたことが必要です。

③医薬品の薬理作用によって生じる有害反応である「副作用」または生物由来製品に細菌やウイルスなどが混入したことによる「感染」であること。

④「重い」健康被害であること。入院を必要とする程度の疾病又は日常生活が著しく制限される程度の障害(1・2級)又は死亡の場合に限定されています。通院で完治する比較的軽い健康被害は救済対象とされていません。

⑤医薬品の製造販売業者、医療機関などに損害賠償の責任を有する者の存在が明らかな場合でないこと。これは、この制度が損害賠償責任の追及が困難な場合を前提としているためです。

⑥救命のため、やむを得ず通常の使用量を超えて医薬品を使用したことによる健康被害で、その発生が予め認識されていた場合でないこと。

⑦がんその他の特殊疾病に使用される医薬品で厚生労働大臣の指定するもの(対象除外医薬品)等による被害でないこと。⑥⑦では、被害者が危険を引き受けたと考えられ、この制度による救済の対象にはなりません。対象除外医薬品としては、抗がん剤、免疫抑制剤等が指定されています。

⑧法定予防接種を受けたことによる被害でないこと。法定予防接種の場合は、予防接種法による救済制度の適用となるため、この制度の救済対象とはなっていません。任意接種の場合は救済対象となります。

先日、この制度を知っている人は2割にとどまることが医薬品医療機器総合機構の調査で判明しました。万が一、医薬品の副作用被害にあったときのために覚えておいてください。

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