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「平和ボケ」がもたらすもの

青柳尚史

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テーマ:将来の日本

人の心と体、そして時間

日本では、江戸時代末期からの時代を「近現代」と呼んでいます。しかし、それ以前から、人の心と体、そして1日24時間(太陽暦)に関しては、ほぼ違いはありません。

ここ数十年、日本人の食生活の欧米化に伴い、日本人の体は、戦後次第に大きくなり、また体力も向上した結果、スポーツ界で世界に名をとどろかせる人物が、非常に増えてきたように思います。これは、大きな進歩といっていいでしょう。

しかしながら、人の心のキャパシティは、体と同じように果たして大きくなっているのでしょうか?個人的には、甚だ疑問を抱いてしまいます。

先に述べた「近現代」という時代に入り、人間の営みは、大きく変わったように思います。殊に、ここ数十年間は、目まぐるしく変わっています。

「コスパ」、「タイパ」という言葉の罠


ここ数十年、日本国内だけを見ても、インフラレベルで大きく変わりました。物理的インフラで言えば、コンビニの普及、高速道路や高速鉄道、空港の新設などが挙げられます。これらにより、移動時間が圧倒的に短縮され、仕事時間を、間接的に圧迫する結果となっています。

また、いわゆるICT技術の発達により、情報のやり取りに関しても、時間が大幅に短縮されました。30年以上前は、郵便や宅配便でのやりとりが普通でしたので、こちらがアウトプットしてから、どうしても日単位でタイムラグが生じていました。

しかし、ICTは、良きも悪しきも、その時間を大幅に短縮しました。現代では、日単位でのタイムラグが、場合によっては分単位、秒単位でレスポンスが帰ってくる時代になっています。心のキャパシティをしっかりと鍛えている人は、この変化に見事に順応しているのですが、大半の人は、順応するのに必死ではないかと思えて仕方がありません。

心の鍛え方とは?

それでは、どのようにして、心を鍛えていけばいいのでしょうか?やはり、「嫌なことを実行する」ことに対しての「耐性」を繰り返し付けていくことだと思っています。

学生時代においては、外ならぬ「勉強」でしょう。これをある目的をもって、意識的にこなしていけば、いわゆる「学習能力」が徐々に身についていき、やがて、心の余裕につながっていきます。何かをするうえで、「どのようにすればいいのか?」ということが、おぼろげにでも分かっていれば、心に余裕ができるものです。その方法が、最善かどうかは別ですが・・・。しかしながら、「どのようにすればいいのか?」という問いに対して、「まったくわからない・・・」となれば、話は別です。一気に将来が不安になり、まさに「一寸先は闇」という状態に陥ってしまいます。

先ほど、物理的インフラの整備とICTとに分けて、お話ししましたが、後述した「ICT」については、仕事に有用なだけではなく、私たちに大量の「エンタテインメント」と「無駄な情報」を提供してくれます。つまりは、「楽しみ」に利用することも可能なのです。

時間は、どうあっても、1日24時間です。これは、江戸時代も令和時代も変わりません。その範囲の中で、大量のエンタテインメントに、ともすれば、逃げ込んでしまっている人も、多いのではないでしょうか?逆に言えば、提供されるエンタテインメントが、無限大なため、没入してしまい、1日のうちで、「心を鍛える」時間を持てていない人が、急増しているように思えてなりません。

スマホを取り上げればいいのか???


「スマホ」が普及して以来、世界中の研究者たちは、さまざまな研究ならびに社会実験を行っております。結果から言うと、「スマホ」は、たばこや、コーヒーなどの嗜好品による中毒を超えて、人間の三大欲求である「食欲」、「性欲」、「睡眠欲」、に匹敵する欲求につながるものだとの見識が、常態化しています。

したがって、これまで好きなように使ってきた「スマホ」をいきなり取り上げると、場合によっては、過剰な「ストレス」を背負うことになるかもしれません。かといって、そのままの状態で放置するわけにもいかないのが、現状ではないでしょうか?

時間制限という方法もあるように聞きますが、そもそも論として、「嫌なことをやるという努力」を前向きにとらえることができていなければ、仮にスマホを取り上げたところで、他の好きなことを見つけて取り組んでいくでしょう。

いやなことを取り組む時間を毎日少しずつ作ること


中学生にもなると、学校も忙しく、部活動などもあり、なかなか自分の時間がとれません。しかも宿題があり、さらに学習塾のほとんどは、さらなる大量の宿題を出しているようです。

さきほど、サラリと申し上げましたが、「嫌なことをやるという努力」を前向きにとらえることさえできていれば、これらの宿題を活かすことも可能です。しかしながら、どうやって、この意識を教えることができるかが最大の難問となります。

これを教えることができる塾こそ、ほんとうに「ちゃんとした塾」なのです。

日本人は、塾の看板しか見ていない現実


日本人の大半は、個人塾に対して「ちゃんとしていない塾」と考えているようです。何がちゃんとしていないのでしょうか?「経営状態が安定している」から、「ちゃんとしている」のでしょうか?勘違いもいいところです。

本質が見えていない、私たち親世代こそ、時代の流れを正しく認識し、情報リテラシーを学び、これからの時代を担う子供たちに指導していかねばならないのではありませんか?すべて学校や塾任せにしていませんか?

少なくとも、今の学校制度では、不可能です。大半の学習塾も不可能でしょう。なぜなら、講師陣に「その」経験がない人が多いからだと思われます。

「平和ボケ」がもたらすもの


以上のことが、いわゆる「平和ボケ」の象徴的な現象です。政治も含め、平和ボケをどう解消するのか、手をこまねいており、結局ギリギリの段階でようやく実施するという、負の連鎖が続いています。例を挙げると、岸田政権の「異次元の少子化対策」についても、もちろんやるべきなのですが、なぜ20年前、第2次ベビーブームの時に手を施さなかったのでしょうか?内容は、岸田政権が掲げる内容でよいと思いますが、20年以上前からこうなると予想できたのですから、実行できなかった時点で、もう手遅れです。

まして、「嫌なことをやる努力」を知らない人間たちが、どんどん量産されています。ということは、将来を担う世代の実数そのものが少ないにもかかわらず、時代を担う人材となれない人間は、増加の一途をたどっているということです。

これは、まさに危機的状況です。

弱小化した日本のたどる道は、敢えて言うこともないでしょう。今、その瀬戸際に来ているということだけは、認識していただきたいものです。そして、子どもも頑張ってもらわねばならないのですが、我々世代が、もっと学びを深める必要があるように思えて仕方ありません。

私たちの世代は、「氷河期世代」とよばれているようですが、「氷河期」はまだ終わっていません。これから10年、20年、30年、私たちの世代は、もっと厳しい氷河期に入ることでしょう。それを阻止する最後のチャンスが今なのだということを、認識してください。

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専門家

青柳尚史(学習塾経営)

寺子屋二葉理系塾

保護者の費用負担を抑える入塾金無料、授業料の上限設定と、学びたい人への学習機会の提供に工夫。生徒の個性と自由な発言を尊重する授業スタイルで、生徒のいいところ、人間性を引き出し、生きる力を育みます。

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