自立型人材とは!
「退職勧奨と解雇の違いについて教えてください」
よく質問される内容ですので一度整理してみましょう。
解雇:使用者が一方的に労働契約を終了させること
退職勧奨:使用者と労働者の合意により労働契約を終了させること
解雇は、使用者が労働者に対して一方的に労働契約を終了させるので、30日前の解雇予告や
即日解雇の場合、30日分の解雇予告手当が必要となります。
一方で、退職勧奨はあくまでもお互いの合意によって労働契約を修了させることを言いますので
まず使用者から申し込みがあり、次に労働者が承諾(同意)することによって、双方による合意が
できあがります。
この合意ができあがるまでは合意解約は基本的には成立しません。
但し、退職に同意しないからと言って使用者が労働者に対して、例えば脅迫的言動で行われる
など、社会的に不相当なやり方で行われたと言える場合には、退職勧奨は違法な行為となります。
参考となる判例を紹介します。
【判例 下関商業高校事件 最一小判昭55.7.10】
年齢を基準に選定された高等学校の教員2名に対して、繰り返し行われた退職勧奨が違法か
どうかが争われた事件です。
まず、一人の教員に対しては「3ヶ月間に11回」、もう一人の教育に対しては「5ヶ月間で13回」、
それぞれ時間にして20分~2時間に及ぶ退職勧奨が行われました。
退職勧奨の場で、使用者からは「あなたが辞めれば欠員の補充もできる」
「夏休みは授業がないのだから、毎日来てもらって勧奨しましょう」
などの発言がされたと認定されています。
判決では、
「ことさらに多数回あるいは長期にわたり勧奨が行われることは・・・
いたずらに被勧奨者の不安感を増し、不当に退職を強要する結果となる可能性が強く、
違法性の判断の重要な要素と考えられる」
「退職勧奨は・・・被勧奨者の名誉感情を害することのないよう十分な配慮がなされるべき」
という指摘をしました。
その上で、退職勧奨が違法となる場合と、ならない場合の線引きとして
「総合的に勘案して、全体として被勧奨者の自由な意思決定が妨げられる状況であったか
否かが、その勧奨行為の適法違法を評価する基準になる」
と述べています。
退職勧奨と解雇大きな違いですので、ぜひ整理しておきましょう。