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解雇が難しいワケ

2015年8月20日 公開 / 2015年8月21日更新

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 解雇 条件退職 手続き

「解雇は難しい」という話を聞いたことがあるのではないでしょうか。
「能力不足」「業務命令違反」などでは会社は社員を解雇することができないのでしょうか。

最近、問題社員に対する解雇のご相談が増えてきました。
解雇には、次のような条文が関係しています。

【労働契約法16条】
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、
その権利を濫用したものとして、無効とする」

つまり、解雇するためには、

1.客観的に合理的な理由
2.社会通念上相当であると認められること

が必要になるわけです。
安易に従業員を解雇してしまうと後々裁判で負け、労力と費用という重~い負担を負うことになります。

客観的理由や社会通念上とは、
 ①就業規則に解雇するための要件の記載があること
   例えば、
  「規律性、協調性、責任性を欠くため、他の従業員に悪影響を及ぼすと
   使用者が認めたときは解雇する。」
   ※具体的にいつ、どのようなことがあったのか、改善要求はしたのか、弁明の機会があったのか
     などの記録が必要となります。
    いわゆる証拠です。


 ②誰から見ても解雇されて当然と思うことをした
   例えば、会社のお金を100万円横領した場合、会社に与えた損害は大きいです。
   誰から見ても解雇相当と位置づけられます。
   一方で仮に1000円横領した場合、会社に与えた損害と解雇のバランスが取れるのかという
  問題になります。


特に①についてはモメたときに最終判断をするのは裁判所になりますので、
いくら証拠をしっかりと取っていたとしても従業員本人が納得せず「解雇は無効だ」と訴えれば
解雇したことが妥当かどうかの判断となるわけです。

ゆえにこれが「解雇が難しい」と言われる理由です。

ちなみに解雇ではなく退職勧奨という合意退職もありますので、いきなり「解雇」ではなく、
このような退職勧奨を行ってみることも一つの方法です。

【編集後記】

高校野球 夏の甲子園ついに決勝戦ですね。
東海大相模と仙台育英 個人的には東海大相模が好きです(笑)

この記事を書いたプロ

北出慎吾

社会保険労務士として企業の成長に寄り添う人事労務のプロ

北出慎吾(北出経営労務事務所)

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