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貸付金と退職金の相殺は可能なの?

2015年2月12日 公開 / 2021年12月11日更新

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 退職 手続き退職金制度 導入

おはようございます。
久しぶりの「どか雪」に慌ててスコップを出してきた
福井の人事コンサルタント・社会保険労務士の北出慎吾です。
まだまだ2月中旬。立春を過ぎたとはいえ、雪は降りますよね(笑)

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      貸付金と退職金の相殺は可能なの?
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会社によっては諸事情により社員に貸付を行っている所もあると思います。
先日もある会社さんから次のような相談がありました。
「3月末で退職する社員に20万円の貸付金があるのですが、退職金と相殺できますか?」
金銭の貸借契約を交わし、毎月給与から一定額を控除しているとのことですが
今回、退職するにあたり本人との話し合いの中で退職金との相殺という話が出てきたようです。
退職金も賃金の一部ですので、労働基準法24条の全額払いの原則が適用されます。
従って社員への貸付金と退職金を相殺するためには次の条件が必要となります。

1.賃金控除に関する協定が締結され、その中で貸付金を退職金で
  控除(返済)する旨が定められていること
2.貸付契約の中で退職時には貸付金を一括して返還することが定められていること
3.退職時には、退職金と相殺して返済する旨の約定を締結しておくこと
  特に賃金控除に関する協定に退職金の定めがないケースが多いようです。

ただし、判例(○○製鋼事件:最高裁判例平成2年11月26日)では
「使用者が労働者の同意を得て相殺により賃金を控除することは、右同意が労働者の自由意思に
 基づいてなされたものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときには、
 労働基準法24条の全額払いの原則に違反しない。」
とありますので、本人の自由意思に基づく同意があれば退職金との相殺(控除)が
可能ということになります。

自由な意思に基づかない本人の同意、また、本人の同意なしに退職金から控除することは
違法となりますので注意してくださいね。
今後のこともありますので賃金控除に関する協定に退職金からの貸付金控除のルールを
明記しておくことをお勧めします。
いつでもご相談くださいませ。

【編集後記】
建国記念日を知らないと答えた日本人は2割に満たないそうです。
それに対して日本在住の中国人は100%、アメリカ人は90%以上が自国の建国記念日を
答えられたそうです。教育の在り方に考えるところがありますね。

この記事を書いたプロ

北出慎吾

社会保険労務士として企業の成長に寄り添う人事労務のプロ

北出慎吾(北出経営労務事務所)

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