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「初心を大切に・・・。」

土岐泰弘

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テーマ:TOKI家具館メンテナンスの想い

私には、3人の息子がいます。
そのうちの三男なおふみ(22歳)が、「家具職人になりたい」と、本年4月より、北海道立旭川高等技術専門学院 造形デザイン科にて家具づくりを学んでいます。

本日、息子から初めて作った家具 “三つ引き” が届きました。

直史のチェスト写真①
基本構造は、インセットで本格的な作り方のものです。引き出しの仕込みなど詰めがあまいヶ所があるものの初めて作ったにすれば上出来の印象です。
サイズは、幅380×奥行300×高さ245mm
主材料は、タモ突板、ウレタン樹脂塗装
取手の材料は、ウォールナット無垢材
もちろん、背ウラも化粧仕上げとなっています。
直史のチェスト写真②

引き出しの構造は・・・

前板(タモ材合板をプレス)と側板の接合は、動力機械のダブテールマシンによるアリ組みの仕口です。
直史のチェスト写真③
側板と向こう板の接合は、動力機械のロッキングマシンによるあられ組みの仕口です。
側板と向こう板の仕上げは、手かんな仕上げで ピカピカと光っています。
直史のチェスト写真④

旭川クラフト家具らしいポイントが・・・

これは、引き出しの取手ですが、ウォールナット無垢材にアクセントでタモ材の象嵌を入れたオリジナルのようです。
この取手が、とっても旭川クラフト家具らしいと想われました。
なお、この取手の形状は作るのがむつかしかったと想像できますし、引き出し前板との取り付けもネジ止めではなく、だぼ接ぎによる圧着だと思います。
直史のチェスト写真⑤
 私も、愛媛県立宇和島高等技術専門校時代は、取手まで作って、家具に取り付けするようなことをしていましたが、
近年では、家具金物メーカー様が出している既製品ばかりを使っていましたので・・・。

気が効いている点!

それは、取手下側の微妙な掘り込みです。動力機械の昇降丸のこ盤にて切れ目を入れたようです。
この切れ目があると、引き出しを引く時に、指が滑らずに引きやすいです。
こんな一手間が使う人にとって便利で喜ばれると想います。この仕事は、私も見習うべきと感心しました。
直史のチェスト写真⑦

「初心を大切に・・・。」

この息子が、作った家具を見ていますと、家具づくりの基本が集約されていると想いました。
家具づくりのあらゆるご指導をいただいている、北海道立旭川高等技術専門学院の職員様には、本当に感謝しています。

コロナ渦の現在、ますますネット販売が進んでいます。
これは、実店舗の存在理由が問われる最後のチャンスだと、私は捉えています。

変えてはいけないところ ~ 手作業中心の木工技術の探求
変えなくてはいけないところ ~ ネット販売向きな既製品家具販売からの撤退
このことについて、初心を大切に、しっかりと見据えて前に進みたいと想います。
「なおふみ、ありがとう! この三つ引きは大切に使わせてもらいますよ・・・。」
直史のチェスト写真⑥

今回のコラムは、親ばか的なコラムとなったかもしれませんが、私としたら初心と基本に立ち返るよい機会となりましたので書かせていただきました。最後までお読みいただきありがとうございました。土岐泰弘

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専門家

土岐泰弘(家具の製作・販売・修理業)

有限会社土岐家具店(屋号:TOKI家具館メンテナンス)

私は、経営者+家具職人+営業マンです。“めんどくさい系”の家具の仕事である修理、リノベーション家具製作の相談に、心を込めてお受けしています。令和2年、商標登録「家具の想談館」を取得しました。

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