「このスツールの座高を、持ってるソファと揃えたいのですが・・・。」
目次
①三男 土岐直史(23歳)最初で最後の挑戦
「技能五輪全国大会をご存知ですか?」
日本全国の各都道府県代表23歳以下の青年を対象とし、さまざまな職種で課題を通して技術を競い合う技能五輪全国大会。
技能五輪全国大会
昨年に続き今年もコロナ渦のため、選手と関係者以外は入場禁止、入場者は、2回のワクチン接種証明書の提示または2日以内の陰性証明書の提示が義務付けられた中の開催です。
また、各競技の様子が全国で見られるようにと「ライブ配信」という工夫も実施されていました。
私の三男 土岐直史(23歳)は、「家具職人になりたい!」と現在、北海道立旭川高等技術専門学院 造形デザイン科にて勉強中です。
北海道へ行く時の目標としていたのが・・・
「技能五輪全国大会でメダルを取って、じいちゃんの首にかけること」でした。
そして23歳の今年、最初で最後の北海道予選をなんとか突破でき北海道代表選手に選出されたのです。
この写真は、2021年12月15日の北海道新聞のものを、三男 土岐直史がLINEしてくれました。
技能五輪全国大会は、技能競技を通じ、青年技能者に努力目標を与えるとともに、技能に身近に触れる機会を提供するなど、技能の重要性や必要性をアピールすることを目的として1963年から実施されている大会です。
技能五輪全国大会にチャレンジするために、9月からは北海道立旭川高等技術専門学院の通常の授業終了後、先生のご指導の元、毎晩8時まで練習を重ねていたと聞いていました。
そして12月18日(土)~12月19日(月)の2日間、第59回東京技能五輪全国大会に挑みました。
競技選手名リストです。今年は、北は北海道、南は鹿児島まで全国から24人の選手(男15人/女9人)が出場していました。
第59回東京技能五輪全国大会の課題は、下のキャビネットです。これを2日間の合計11時間で完成させなくてはいけません。
しかも、前日には現場での応用力を付けるためにと、上部収納部の構造変更や脚部貫の取り付け位置変更など、仕様変更が8ヶ所も発表されたとのこと・・・。
これには、出場選手をはじめとして指導している先生方も大変だったと聞きました。
上部の扉を跳ね上げ、引き出しを少し抜いた状態です。
②東京技能五輪全国大会 家具職種 競技 1日目
下の写真は、東京ビッグサイト南館2階の競技会場です。
私の三男 土岐直史も作業をスタートさせていました。
上部の収納箱をビスケットジョイントにて組み立てているようです。
私はこれまで、箱物家具をビスケットジョイントで組み立てた経験がなかったため、大変勉強になりました。
③北海道選手団の道具箱
この写真は、北海道旭川市からはるばる運んできた北海道選手団共通の道具箱です。たくさんの手道具や電動工具たちを、取り出しやすいように工夫されているものです。
クランプ類は、ドイツのベッセイ製を使っている選手がほとんどのようでした。
このクランプは、圧着に当て木が不要のようで作業効率が大変向上されているように思われました。
岐阜県選手団の道具箱
各都道府県の選手たちが使っている道具箱はそれぞれでしたが、中でも岐阜県選手団の道具箱は考えられているものと感心しました。
大中小各2杯ずつの引き出しには、のみやかんな、刃物類、定規など幾多の道具たちをわかりやすく整理整頓して収納できるようです。
左右の側板には欠き取りがありクランプなどの締め付ける道具類をスマートに収納・・・大変勉強になりました。
この写真は、上部の収納部を圧着している様子ですが、こんなベルト形式の圧着器具は見たことがありませんでした。
「このベルト形式の圧着器具は早々に導入しないといけない・・・。」と感じました。
④東京技能五輪全国大会 家具職種 競技 2日目
ドイツのフェスツール社製スライド丸のこを慣れた手先で扱う場面を見るなど、三男土岐直史の成長した姿を見るととってもうれしくなりました。
動力機械や電動工具を扱う時は、もしも破片が飛んできた時などの予防策としてメガネ着用が義務図けられていました。
上部の収納箱と脚部を取り付けている様子です。
研磨紙は#100→#240→#400まで掛け、よりていねいな仕上がりを目指していました。
最終調整が、とっても大切ですので、選手全員が最後の1秒まで慎重に作業していました。
⑤東京技能五輪全国大会 課題のキャビネット完成
制限時間内に課題のキャビネットが完成し、”感無量で半泣き状態” の三男 土岐直史です。
キャビネットの扉を開けた状態です。
扉は、ジャスト90° に開かないといけないようでした。これは、スコヤを当てて何度も確認しながらステイ金具(たすき金具)を取り付けしていました。
⑥東京技能五輪全国大会 閉会式
大会会長様の総評とともに参加証書が全員に配られ、集合写真を撮ることができました。
大会関係者のみなさま、準備から会場設営、運営など、コロナ渦の中、大変ご苦労されたことと想像できます。本当にありがとうございました。
三男 土岐直史(写真中)も安堵の様子です。
チーム北海道のユニフォームがカッコイイです。
三男 土岐直史は、愛媛県から北海道立旭川高等技術専門学院へ進学し1年9ヶ月が経ちました。
昨年は、コロナ渦のため緊急事態宣言で休校になることも多くあったと聞きましたし、お正月も帰郷できない環境の中での、精一杯のがんばりで銅賞をいただくことができました。
これは、日々指導してくださった先生方、学校関係者のみなさま、技能五輪全国大会関係者のみなさまのおかげと感謝しています。
昨年春、愛媛県から北海道へ行く時の目標としていた「技能五輪全国大会でメダルを取って、じいちゃんの首にかけること」が達成できて心の底から感動しました。
「北海道でのこれまでの練習の成果を見せてくれてありがとう!ご苦労様でした!」
表彰式は、コロナ渦のためオンラインの「ライブ配信」での開催となりました。
⑤「ひたむきさ」と「向上心」、「あきらめない気持ち」に感動しました。
私は、技能五輪全国大会を見学したのは初めてです。
23歳以下の青年技能者たちの作業を通して、常に一生懸命に作業を続ける「ひたむきさ」と、すこしでも良い作品を作ろうと丹念な調整作業を怠らない「向上心」、最後の1秒まで作業を続ける「あきらめない気持ち」にとっても感動しました。
“大人が忘れているとっても大切なこと” を教えてくれた気がします。
また近年は、行き過ぎた工業製品に飽き飽きしているというお客様の声も聞くようになってきました。
東京技能五輪全国大会で各選手たちが作られた作品は、手加工作業中心で、基本的な動力機械と電動工具を補助的に使ってのものづくりでした。
こんなものづくりが、今後ますます必要になってくる気がしてなりません。
北は北海道、南は鹿児島から集まった23歳以下の選手のみなさん、感動をありがとうございました。
大会が終了して外に出ると、こんなにきれいな夜景が出迎えてくれました。
今回のコラムは、「親バカ的な報告」になったかもしれないところを最後までお読みいただきありがとうございました。土岐泰弘