「土岐さんの店にあるような “木枠付きの飛沫防止アクリル板” を作ってください。」
「手づくりの椅子を作ってください・・・!」
と、四国中央市・Ⅰ様からご依頼をいただきました。
Ⅰ様は、手づくりの織物と染物をされている工房を持たれていて、その工房でお使いいただくための椅子とのこと。
Ⅰ様のご希望は・・・
① 見ても使っても楽しそうな椅子
② お子様からプレゼントされた一枚板テーブルの下に、背もたれが入ってしまう椅子
③ 手づくり感が感じられる椅子
こんなリクエストをいただき、私が作れそうな椅子で、考えついたのが・・・
象嵌チェア
象嵌とは、木を削り込み、その削ったところに、違う木を埋め込み図柄を作っていく技術です。
今回の象嵌に使った材料は、けやき(黄色)・ウェンジ(黒色に近い茶色)・埋もれ木(緑色)・かりん(赤色)・ウォールナット(チョコレート色)などなど・・・。
私は、愛媛県立宇和島高等技術専門校時代に、カリキュラムの一つで象嵌の技術を習っていましたので、先生に教えていただいた訓練内容を思い出しながら取り組みました。
座面や背もたれの主材料にはタモ材、強度が求められる脚にはナラ材を使いました。共に、象嵌の図柄が引き立つようにと、白っぽい材料を選んだのです。
およそ40日の製作期間をいただいて、仕上がったのが・・・・下にご紹介する6脚の椅子たちです。
きりんチェアといえチェア
かめチェアとねこチェア
とんぼチェアとツリーチェア
この象嵌は、上でご紹介のいろんな色をもった木材たちを、積み木のように三角形や正方形、長方形に切って、座面の中に埋めこんで作らせていただきました。
「童心に帰るような、楽しい感じがすると思いませんか?」
椅子本体を作るよりも、象嵌細工の作業にとっても製作期間がかかってしまいましたが、私としても納得のいく仕上がりとなりました。
私が木工作業で大切にしていること
私が、家具修理したり、リノベーションしたり、特注製作する上で、大切にしていることは・・・
「自分がお客様の立場だと、ここまでしてほしい・・・。」という線を決めて、それを目標にたとえ1%でも線を越せる作業するということです。
やはり、作業する私が満足できないものは、お客様も満足してくれないと想うのです。
私も当店のスタッフも人間ですから、なかなかむつかしいこともありますが、チャレンジすることが大切だと想うのです。
Ⅰ様、ご依頼いただき、工房内の写真撮影にご協力いただきありがとうございました。土岐泰弘