押し買い
さて、今日は、「押し買い規制」についてお話したいと思います。
このコラムでも折に触れ「悪徳業者による金やプラチナなど貴金属の押し買い」についてお話してきましたが、ここに来てようやく「押し買い規制」が施行されます。今回はこの「押し買い」と「押し買い規制」についてお話したいと思います。
まず、そもそも「押し買い」とは何?
「押し売り」という言葉は皆様聞いた事があると思います。少し前の事例でいくと、消火器の押し売り、というような押し売りがあったかと思います。この「押し売り」は言うまでもなく、お家に押し掛けて来て買うまで帰らない、というような、いわゆる「押し売り」ですね。
では、「押し買い」とは何でしょうか。お家に押し掛けて来て…という所は同じですが、この押し買いは、何かを買わせようとするのではなく、何かを「無理矢理買おう」とするのです。この「買おう」とする時の買取価格が適正な価格であれば、まだ良いのですが、不当に安い値段で買取ろうとするのが、この悪徳業者の手口なのです。
例えば、あなたは今日の金の買取価格をご存知ですか?
どうしてこのような「押し買い」という悪徳業者が跋扈する状態になってしまったかというと、法律の不備という側面もありますが、最近の「金価格の高騰」という背景がこのような「押し買い」という悪徳業者を生み出した背景なのです。
一般の方々は、普通、今日の金の買取価格を知りません。知っている方もいらっしゃるかもしれませんが、普通の方は知らないと思います。
悪徳業者は、ここにつけ込んできます。
例えば悪徳業者の手口はこうです。
悪徳業者:「こんにちは」
Aさん:「はい、何でしょうか」
悪徳業者:「実は今日、不要な貴金属の買取でこの地域を回っていまして、こちらに使わなくなった指輪やネックレスなどありませんか?」
Aさん:「そうですねぇ、使わなくなったものも少しはありますけど...」
悪徳業者:「今なら高く買取らせていただけますので、ちょっと見せてもらえませんか?」
Aさん:「ええ、いいですよ。…これなんですけど。」
悪徳業者:「おー!こちらのネックレスなら3万円で買取りが可能ですよ!」
Aさん:「えっ、3万円も頂けるんですか???」
悪徳業者:「はい、本日だけのキャンペーン価格なので、明日になるともう少しお安くなるんですけど...」
Aさん:「じゃあ、売ります!」
悪徳業者:「ありがとうございます、では、こちら3万円です。今回は私が買取しましたので、こちらの領収書にご記入願えますか?」
Aさん:「はいはい、これでいいですか?」
悪徳業者:「どうもありがとうございました。また何かあれば買取に伺いますのでご連絡下さいね」
Aさん:「まぁまぁご丁寧に。ありがとうございました」
と、このようなやり取りで、まんまと騙されてしまう訳です。
実は、上の写真のネックレスは、池田質舗であれば、141,500円で買取らせて頂いております(2/19時点での買取価格)。
今回の悪徳業者とのやり取りの例では、3万円で買取、としましたが、私どものような正規の買取業者であれば、3万円の買取価格が不当だと分かるのです。しかし、一般の方々は金の買取相場をご存知ありませんので、この3万円という買取価格が高いのか安いのか、いまひとつ分からないのです。
では、こんな悪徳業者を何故今まで野放しにしていたの?
お家に押し掛けてきて、「布団」や「消火器」などを無理矢理売りつけるするような、いわゆる「押し売り」については、消費者保護の観点から法律で規制していました。しかし、「押し買い」については、被害者が「消費者」ではないとみなされ、消費者保護の法律の守備範囲外だったのです。
ですので、今までは、法律的には、不当に安い買取価格で貴金属を売り渡してしまっても、泣き寝入りするしかなかったのです。
じゃあ、どう法律が変わったの?
改正かれた法律のポイントは以下の4つです。
・売り主からの依頼がないと業者は買取が出来なくなる
・契約から8日間であればクーリングオフが適用
・契約してもクーリングオフ期間中ならお品物を引き渡さなくて良い
・契約時に購入価格、業者の連絡先えお明記した書面を交付しなければならない
さて、いかがでしたでしょうか。
ようやく法律が押し買いへの規制を行いました。
しかし、油断は禁物です。いくら業者の連絡先が書かれた書面をもらっても、連絡したらつながらない、なんてのは悪徳業者の典型的な手口です。
金の価格が高騰している限り、悪徳業者はなくなりません。
法律で規制されたからといって油断せず、十分注意して下さい。
少しでも、皆様の暮らしのお役に立てれば幸いです。
それでは、また、次回コラムでお会いしましょう。
有限会社池田質舗