革の種類

池田正一

池田正一

テーマ:質屋

さて、第11回のコラムですが、革の種類についてお話したいと思います。
ブランド品と革は、切っても切れない関係ですね。
色々な種類がありますので、コラムを読んでからショップでお品物を触ると、
より身近に革を感じられるのではないかと思います。

まずは、革の基礎知識。
知っているようで知らないのが、「皮」と「革」の違いです。
一体何が違うのでしょうか。
「皮」・・・動物の皮膚をそのまま剥いで、何も加工していない天然のもの。
「革」・・・なめした皮のこと。

なんとなく違いが分かったのではないでしょうか。
では、「なめした皮」の「なめし」とは何なのでしょうか。
〜〜〜なめし〜〜〜
古代文明の人々は、動物の皮を衣服?として身にまとっていました。
しかし、皮のままで使っていると、硬くなったり腐食してしまいます。
そこで、皮を煙でいぶしたり、皮を動物の脂や草木の汁を使って加工することで、皮の欠点を補おうとしていました。
この加工の工程が「鞣し(なめし)」です。

ですので、「皮」とは動物から剥いだそのままの状態のもの、「革」とは人間の手によって加工が施されたもの、と言えるでしょう。

ちなみに、英語にするとより一層「皮」と「革」の違いが明確になります。
「皮」・・・skin
「革」・・・leather

と、このように普段それほど意識はしませんが、「皮」と「革」は大きく違うのです。


次は、革の種類。
革には、牛、豚、羊、ダチョウ、ワニなど、色々な動物からとった革があります。
それぞれの革に特徴がありますので、以下、列挙します。

〜〜〜牛革〜〜〜
腹仔(はらこ)
産前の仔牛。美しい毛並みが特徴。

カーフスキン
生後6ヶ月以内の仔牛の革。最も高級。非常に美しく、薄くて軽い。キメが細かいのが特徴。但し、仔牛のため、サイズが小さい(大きな物を作ることが出来ない)。

キップスキン
生後6ヶ月から2年までの革。カーフよりもややキメが粗い。カーフよりも厚みが増し、丈夫。カーフについで上質の素材。ヨーロッパのバッグは、この革が主流。

カウハイド
生後2年以上の出産経験有りの牝の成牛の革。キップよりもキメは粗い。比較的傷が少ない。

ステアハイド
生後3~6ヶ月の間に去勢し、生後2年以上経った牡牛の革。非常に厚く強い革。去勢しているため優しい手触り。サイズを大きく取れるので、鞄やベルト、車のシートなど幅広く使用可能。

ブルハイド
生後3年以上の牡牛の革。傷が多く、キメは粗い。最も厚くて非常に丈夫。傷が多いので、傷が目立たないように、型押し・ベロアなどの加工をして使用されることが多い。

〜〜〜豚革〜〜〜
ピッグスキン
人間の肌に最も近い。きめが細かく、毛穴が3つずつ並んでいるのが特徴。

〜〜〜羊革〜〜〜
ヘアーシープ
軽くて柔らかい。強度に優れており、良質。

ウールシープ
軽くて柔らかい。やや強度が劣る。

ラムスキン子羊の革。
とても柔らかく軽い。

〜〜〜ダチョウ革〜〜〜
オーストリッチ
クイルマークと呼ばれる羽を抜いた後の突起があることが特徴。非常に丈夫。

〜〜〜ワニ革〜〜〜
クロコダイル
独特の美しいうろこが特徴。最高級の革として用いられる。腹部の四角形のものが最も美しいとされている。その次が、横腹の丸いうろこの部分。丈夫で耐久性にも優れる。

*この他に、鹿、カンガルー、ヘビ、カメ等、まだまだ色々な種類の革があります。

人間が最初に手にした衣服「皮」
人間が工夫を加え、使い込む程に味が出るようになる「革」
革からは、人間の歴史を感じますね。

少しでも、皆様の暮らしのお役に立てれば幸いです。
それでは、また、次回コラムでお会いしましょう。


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