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【知財】シリーズ「侵害をチェックするには」方式調査(第2回)

2022年1月29日

テーマ:知的財産

コラムカテゴリ:法律関連

前回、侵害をチェックする検討方法の概要を解説しました。
今回は侵害チェックの第1段階となる方式調査を解説します。

方式調査とは

権利状態等を調べます。権利が今も成立しているか等といった「前提」になる点を調べます。なお、「方式調査」とは通称で「書誌的調査」、「形式事項調査」等と呼ばれることもあります。

裁判等の正式な場では証拠書類として「特許原簿」を取り寄せることになります。
https://www.jpo.go.jp/system/process/toroku/genbo_about.html
その前段階になる「まず調べてみる」のような段階ではオンラインツールで調べるのが手軽で無料です。
特許情報プラットフォーム
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/

特許情報プラットフォーム上では下記のようなポイントがチェックできます。

チェックポイント1:権利満了

特許権は最大20年です。そのため、出願日から20年経過しているのはまず問題のない権利になります。
特許情報プラットフォームの「書誌」には【出願日】が記入されているので、そこから20年を計算してもよいですが、
「経過情報照会」のページに対象となる権利の状態が明示されています。
「本権利は抹消されていない」と記載されていれば、その特許権は有効です。
「年金不納による抹消」や「存続期間満了による抹消」記載されていれば、その特許権は問題ありません。

なお、「最大20年」ですが、特許権は最初の3年以降は「年金」という料金を特許庁に納付していく事務処理がされていないと
権利は20年未満でも消滅します(少し例外はあります)。
また、「出願日から20年」が原則ですが、分割出願等の特殊な出願の場合には、20年の起算日が異なります。

チェックポイント2:登録

中小企業の宣伝等でたまに見かけることがありますが、
「出願」と「特許権成立・取得」は異なります。
「出願」しても審査を経て認められないと「特許権」にはなりません。
なお、厳密には「特許査定」でもまだ成立しておらず、「特許査定」後に登録料を納めて、特許庁で事務処理が行われてやっと「特許権」になります(詳しくはこちらで解説しています)。
権利が成立する前か後かで対処法や権利行使できる内容が異なるため、重要な情報になります。
出願~権利
また、無効審判が他社と行われているか等も調べることができます。

チェックポイント3:関係者

いわゆるライセンスをしているか否か、権利を他社に移転していないか(=正式な特許権者は誰か)等の情報も今度を考えると調べておくとよい情報になります。

チェックポイント4:外国の権利

外国でも特許権が出願・取得されているかも調べることができます。
外国の権利は日本の権利とは別の権利であるため、日本国のと同じような特許権があり、営業展開が外国でもある(≒輸出等)だと同じような問題が起きます。まとめて検討した方が効率が良いので「ファミリー」の出願があるかはチェックポイントになります。

他にも調べるポイントはありますが、まずは簡単にでも上記のチェックポイントを見てみるのはいかがでしょうか
上記の内容で不明な点がございましたら、お手数ですがメール等でお問い合わせ下さい。
以上、ご参考まで。

この記事を書いたプロ

坪井央樹

弁理士・中小企業診断士の資格を持つ知財関連の専門家

坪井央樹(武和国際特許事務所)

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