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「三足のわらじ」で知財を守る。特許請負人は元エンジニア

弁理士・中小企業診断士の資格を持つ知財関連の専門家

坪井央樹

坪井央樹 つぼいひでき
坪井央樹 つぼいひでき

#chapter1

ITに特化、強みは弁理士と中小企業診断士のダブルライセンス

 弁理士として、中小企業診断士として、そしてAI(人工知能)などの先端技術に詳しい有識者として。「三足のわらじ」をはいて活動している坪井央樹さん。主な業務は知財関連の支援です。特許の相談から新規出願をはじめ、拒絶理由通知の対応や審査官面接などの中間処理、権利発生後の管理と多岐にわたります。

「企業の知財部としての役割も少し担えるので『特許を取りたいけど右も左もわからない』という方もぜひ相談してほしいですね」

 大きな強みは、特許出願の代理などを担う知的財産の専門家「弁理士」と、経営コンサルティング能力を持つ「中小企業診断士」のダブルライセンスを持つこと。グローバルな視野が求められる弁理士と、深く経営に切り込む中小企業診断士。両資格を持ち“広く深く”企業にアプローチできる専門家は日本に多くないとか。

 たやすくはない道を進んだのは「知財を知る立場から、企業の経営を助けたいと思ったから」。ただ、知財に関する業務だけを粛々とこなすのは性に合わなかったという坪井さん。弁理士業を続けるなか、横断的な立場でコンサルティングをする中小企業診断士の存在を知りました。今後は、知財関連の補助金申請といった経営面に関わるなど、両資格を生かした業務にも注力したいと話します。

 「ディープラーニング(深層学習)」の知識が求められるジェネラリスト検定や、応用情報技術者試験にも合格し、AIやITにも精通。千葉商科大経済研究所の研究員としての一面も持ちます。

#chapter2

特許に詳しくない顧客も大丈夫、「書類は全部作ります」

 「ただ特許の明細書を書くだけの存在ではなく、広い知識から多角的に助言を与えられる存在になりたい」と意気込みを語ります。

 顧客は画像処理メーカーやAI・通信に強いIT企業が中心。依頼主の規模を問わないのが坪井さんの信条です。知財部を持つ大手なら業務の品質とスピードを重視し、中小や個人なら「特許の出願はどうしたらいいのか」という相談から補助金申請まで広くフォローします。

 「出願に慣れていないお客さまなら『こういうアイデアがあるんだけど。特許になるのか』という段階から無料で相談をお受けします。実際のご依頼になれば、ソフトウェア関係ならフローチャートなど、必要な書類は基本的に全部私が作ります」

 特許に関わる仕事の難しさを尋ねると、「人の判断であること」と坪井さん。「発明者も人だし特許庁の審査官も人。同じことを言っているはずなのに、捉える角度の違いでずれが生まれます。そこをどう解決するか。交渉力や緻密な事前準備が問われる仕事です」

 うれしいと感じるのは特許庁から特許査定が出て、顧客へ「取れました」と連絡するとき。特許証を立派な額に入れて喜ぶ顧客の姿を見ると、それまでの苦労も吹き飛ぶといいます。

 坪井さんは、工業系大学院修了後に大手画像処理メーカーに就職。エンジニアとして9年間勤務し、在籍中に知財の大事さを知りました。それから独学で勉強に励むも関連の専門書はとびきり難しく、新聞雑誌から得る情報では読み足りない。そこで出会ったのが弁理士試験用の参考書でした。

坪井央樹 つぼいひでき

#chapter3

特許が株主にも影響を与える時代 よりよい未来のために

 ページをめくり、試しに1問挑戦してみると「あ、解ける」。次第に問題と向き合うことにのめり込み、気がつけば弁理士試験を受けていました。その後、大手特許事務所で弁理士として働き始めます。

 「難しいことが好きなんですね。人がやりたがらないから」

 あえていばらの道を選ぶ理由は、師事した工学者、故・三浦宏文先生の教えがあったから。当時、修士論文の担当教員だった「二足歩行ロボットの生みの親」から「難しいところで戦っていかなきゃ人間だめだ」という姿勢を学んだ様子。「それを実践し、結果を出し続けた三浦先生だからこそ学べた」と坪井さんは振り返ります。

 これまで弁理士として約10年、1000件ほどの案件に関わってきました。以前手がけた一部上場企業の案件では、特許出願中のAR(拡張現実)技術が評判を呼び、同社の株主総会でも話題に。株主からは「この特許はいつ権利になるんだ」と質問も飛び、回答のための文書も作成しました。「まさか総会に関わることになるとは」と、自身の仕事の重要さを再認識した瞬間でした。

 「特許でいろいろなことが起きる時代になってきました。これからはその特許が、SDGs(持続可能な開発目標)に貢献する技術かどうかなども意識していかなくてはいけないと思います」

 よりよい未来の一翼を担うためにも、坪井さんは日々、特許出願の書類に目を通し続けます。

(取材年月:2021年4月)

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