子ども達から学ぶ 「自己承認は根っこにある」 ということ
このたびの日大アメフト部の問題については、
元監督、コーチ陣、選手達の話した内容などについて、
関東学生アメリカンフットボール連盟の調査結果等が発表されましたね。
今回は、行き過ぎた上下関係、パワーハラスメントに該当するような言動の
上に成り立つ日大アメフト部の体質が浮き彫りになりました。
今回のように、指導責任者の監督に絶大な権力があり、
間に指導者のコーチ、そして、その下に選手…というような
確かな上下関係が作られている場所で、
選手への明らかにやりすぎな精神的な追い詰め(「日本代表は行っちゃだめだよ」など)
があった場合には、
受け取る側の学生よりも指導者の責任は大きいと感じます。
確かに、指導者が、甘く緩く、楽しく出来るように
ということばかり意識していたのでは、
なかなか選手や生徒は伸びません。
時には、厳しい言葉も必要です。
でも、それは、
信頼関係が構築されている上でなされるからこそ、
良い方向に働くのです。
信頼関係のないところで、ただ力関係だけで厳しく統率され、
その真意が伝わっていない…という場合は、
問題でしかありません。
元監督の言葉は全てを語っていないと感じますが、
語っておられた部分の言葉や表情、態度、
コーチの言葉、表情、態度、
そして、当該選手の会見での言葉、表情、態度を比べても、
この部の問題点が見えてきます。
元監督は、コーチや部員の「感情も含めた状態」を、
充分に観察してこられなかったのではないでしょうか。
元コーチは、
監督の言動の観察はとても多くしていらっしゃるように見受けられましたが、
選手達のことについては、どうだったのでしょうか。
もし仮に、「潰してこい」「やらなきゃ意味ないよ」という言葉の意味について
日大側の言うように「齟齬(そご)」があったのだとしたら、
その時点で、
そういう指導には改善点があるということではないでしょうか。
実は、
これは、スポーツの現場だけの問題ではありません。
他の組織でもあり得ることです。
会社では、上司と部下。
学校では、先生と生徒。
習い事では、講師と生徒。
まずは、確かな信頼関係を築けているか。
その為に、しっかり部下や生徒を観察し、気持ちも含めた今の状態を理解しているか。
それがあって、初めて、厳しい言葉で背中を押すことができるのです。
言葉で語られることは、
コミュニケーションにおける表現の一部でしかありません。
それよりも、
言葉にならない、表情や態度のほうが雄弁です。
ですから、
真摯に部下や生徒の真意を図ろうとするならば、
表情や態度、声のトーンなどの「非言語」を
しっかり観察することが大切です。
非言語をしっかり観察していても、
厳しい言葉を投げかけるタイミングは、とても難しいものです。
それぞれの人達の性格や考え方も関係するからです。
私も、ピアノの指導現場で、悩みながら、模索してきました。
そう、指導者はきちんと悩むべきなのです。
信頼関係を築き、
常に観察し、
相手の性格も考え、
その相手にあった形で、時に厳しく。
これは、ご想像の通り、簡単なことではないからです。
言葉で伝えていること、伝わっていることは、
全てが真実とは限りません。
相手の「非言語」が何を語っているか、相手を観察する。
また、自分の「非言語」についても
抑圧的でないか等、反省を怠らないようにする。
今回のように
本来やる気満々で頑張ってきたはずの人が、その道を絶とうとするなんて、
こんな悲しいことはありません。
上に立つ人、指導に当たる人は、
常に観察を怠らず、本来の目的を見失うことなく
指導をしていって欲しいと、切に願います。
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指導者の方向け、メンタルコーチングも行っております。
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