正月の多様性とまちづくり
「モデル事業」の落とし穴
東京のコンサルタントに勤めていた時によくあった話です。
中央省庁の支援を受けることができる地域活性化計画やまちづくり計画づくりといったものがあります。
いわゆる「モデル事業」というものです。
基本スキームは中央省庁で作成し、その事業を全国各地から募集して、そのいくつかを「モデル事業」としてコンサルタント費用や建設費用などの一部が助成金などの形で支払われるというものです。
モデル事業におけるコンサルタントの役割
そういったモデル事業は政府の外郭団体などが管轄することになります。
その外郭団体が東京に集中していますので、結果的に東京のコンサルタントが受注することになるのです。
現場が北海道や東北地方、九州地方や四国地方であっても東京で会議が行われますので、関係者は状況しなければなりません。
そして、一般的に学識経験者を含めた「委員会」が設置され、コンサルタントは委員会の事務局と地域活性化計画やまちづくり計画などをとりまとめることになります。
「地域のテイストを踏まえる」ことの難しさ
コンサルタントとして担当することになれば現地踏査や調査なども行い、関係者や地域の方々の意見などを伺うのですが、このときに「東京みたいなかっこいい計画をお願いします」と声を掛けられることがよくあります。
私からすれば東京にないものを提案したいと思っているのですが、計画対象地の方々はそうは思ってくれません。また、モデル事業のスキームも「地域のテイストを踏まえること」としているにも関わらず、実行できるものは限られており、全国同じものをつくることに向かっているのです。
「東京スタイル」とは「東京スタンダード」から抜けることができないということ
特にまちづくりなどにおいては、東京はとても特殊な都市であり、そこに集まっている人々も日本としては一般的でないと考える方が分かりやすいと考えてます。
生活や仕事に関する選択肢は日本どころか世界と比較しても抱負ですが、自分自身や地域自身でカスタマイズするのは非常にエネルギーが必要であり、東京スタンダードから逸脱することは大変難しいのが「東京スタイル」と言えます。
“ない”ものが“ない”ことの不自由さ
少し分かり辛いですが、「“ない”ものが“ない”ことの不自由」というのが東京スタイルなのです。
一方、地方は「“ない”からこそ自由」というスタイルとは全く違うのです。
まちづくりにおいて「東京をなぞる」ということは考えない方が、未来が広がっていると思ってください。
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