まちづくりアンケートの落とし穴 気をつけたい住民意識調査

谷口庄一

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テーマ:“まちづくり”と“まちおこし”

行政がとりまとめる“まちづくり”関係の基本計画があります。最近は総合計画などもそのカテゴリーに入れている地方自治体もあります。

こういった基本計画などを策定するときには、委員会を立ち上げて学識経験者や業界関係者、市民代表などが委員となって構成されます。

いろいろな資料が提出されるのですが、その中で「住民意識調査結果」なるアンケート調査結果が提示されます。このアンケート調査というのが悩ましいのです。
確かに住民に直接聞いているアンケート調査結果なので尊重しなければなりませんが、本当にこのアンケート結果をそのまま信じても良いのかということなのです。

仮想的な状況下での選好意識

アンケート調査には「仮想的な状況下での選好意識」を問いかけるものと「実際の行動」を問いかけるものがあります。

例えば「持続可能な地球を維持するためにある程度の予算を掛けても自然環境を守ることは大切ですか?」という問いに対して、「とても大切」と回答した人がいるとしましょう。
この意識を持っている人が必ず自然保護活動をしているかどうかと問うと、全く何もしていないという人もいるでしょう。

まちづくり関係などで、「豊かな生活環境をつくるために税金を使って緑溢れる公園は身近に必要ですか?」と設問すると、多くの方が「必要」と答えるでしょう。しかし、現実問題として落ち葉の管理や深夜に人が立ち話をしているといった現実では、「必要ではない」と感じる人がでてくるのです。

「自然を守ることは大切ですか」という仮装的な状況下での回答と、「自然保護活動」という実際の行動での回答は違ってくることがあるのです。

SPデータとRPデータ

前者をStated Preference (SP)データと言い、後者をRevealed Preference (RP)データと言います。仮想的な状況下での選好意識であるSPデータはマーケティングの世界ではよく使われています。一般的な市民意識調査もこのSPデータなのです。

まちづくり計画を策定する際に、この「仮想状況下での選好意識」に惑わされると「本当に必要なの?」と疑問符がついてしまう計画をつくってしまうことになります。

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株式会社リージョナルブレインズ

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