大量のこいのぼり飾りにみる社会の変容

谷口庄一

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テーマ:まちおこし



4月後半から全国各地で大量の“こいのぼり”が商店街や、河川などを賑わしています。
新しい季節感を感じさせる風景として定着しつつあるようです。

こいのぼりは江戸時代に武家で始まったとされており、男児の出世と健康を願って玄関の前に馬印やのぼりを立てて祝う風習であったものが、庶民にも広がって鯉ののぼりを家庭の庭先で飾られたものと言われています。

高度経済成長以前であれば庭先という空間が存在し、そこにこいのぼりを立てるという事が一般的に行なわれていました。しかし都市部に人口が集中し、団地のような集合住宅が建設されて庭先を持たない居住環境が一般的になるとこいのぼりも立てるというよりも窓やベランダから出すという形に変化してきました。

大量のこいのぼりで賑わいをつくっている地域によっては、その地がこいのぼりの生産地であったりする場合もありますが、昨今の大量のこいのぼりによる装飾は使われなくなったこいのぼりが集められて構成されています。

時代と共にこいのぼりを飾っていた家庭から子供が存在しなくなったり、引き継がれなくなったりしたこいのぼりが集まってきています。

全国で見ることができるこのような大量なこいのぼりの装飾を眺めていると、日本の居住環境や人口構成などの変化を感じるとともに、日本らしい風習が少しずつ形骸化しつつあることを実感します。

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