お誕生日
有料老人ホームにお父様(認知症)を預けている娘さんからこんな相談がありました。
「腕に痣ができています。先々月も先月も痣がありました。こんな事は言いたくないのですが、施設の虐待の可能性はありませんか?」
よくよく話を聞いていくと、施設にも痣の事を何度か確認したのですが、「ベッド柵やトイレのペーパーホルダーにぶつけている…」との返答であったようです。実際そうなのですが…。
娘さんが知り合いの介護職経験者に相談したところ、「ベッド柵にクッションカバーをかければ?」と提案されたそうで、なぜ、施設なり、ケアマネなり、デイサービスなり、お父様に関わる人達から、ベッド柵にクッションカバーの提案が無かったのか?残念で仕方ない…との事でした。
また、娘さんより「実は有料老人ホームの施設長が苦手なんです…いつも質問すると話が長くて…施設長からの電話は出ない様にしていました。」と衝撃の発言がありました。
この話を聞いて、介護関係者と娘さんの信頼関係が構築できていないケースだなあと感じました。
娘さん、介護関係者(施設、デイサービス、福祉用具、居宅の各責任者)を施設に集めて、緊急の会議を開催しました。
今回の一番の問題点は、
高齢者の腕に痣ができるのは、日常茶飯事(高齢者あるある)で、介護関係者は、腕の痣の存在は認識していましたが、特別に問題視していなかった…という点です。
これに対して、娘さんは、こんなに腕に痣ができるのは、施設からおかしな扱いを受けているのではないか?という疑いの目を向けていた訳です。また、関係者も腕の痣を放置して、真剣に父親と関わっていないのではないか?と考えていた訳です。
一般の方と介護のプロとの考え方の溝…やはり、これは介護関係者に問題があったと考えます。腕の痣の連絡や説明、痣ができない様にする対処法、関係事業所間の連携不足、施設に対する不信感など、もっと早い段階で動けることが多々ありました。われわれ介護業界に携わる者の怠慢が招いた事態だと考えます。
会議の最後に、関係者全員で、ご本人さんと娘さんに深く謝罪をしました。