コラム
(再掲)それは単なるシミではないかもしれません
2019年1月19日
日常の診療で遭遇する機会が多い割に、その疾患についてご存知の方が少ないので再掲いたします。
ADMというのをご存知でしょうか?
これも日頃の診療において高確率で見かけるものです。
Acquired Dermal Melanocytosis の頭文字をとったもので、
後天性真皮メラノサイトーシスといいます。以前は遅発性両側性太田母斑様色素斑とも呼ばれていました。
外見上はシミやソバカスのように見えますが、実際はその名の如く真皮層にまでメラニンが増殖した状態で、組織学的には太田母斑などのアザによく似ています。
両側の頬骨部分に最もよく発生し、同時に小鼻の両側にも見られることがあります。この「両側」というのが特徴です。典型的なものは比較的容易に診断がつきますが、非常にわかりにくいケースも珍しくはありません。
ADMの治療を行なう上で重要かつ覚えておいていただきたいのは、「レーザーは複数回必要であること」と「トレチノインとハイドロキノンによる外用治療の併用が不可欠であること」です。
ADMは俗に言うシミのような単なる皮膚老化ではありません。
専門の治療を必要とするものです。
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